経営理念・ビジョンはとてつもなく有効な経営ツールである(前編)

2018.10.12
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先日クライアントの会議で経営理念の意義について議論しました。

そのとき出席者7人中3人が「経営理念って本当に必要なんでしょうか・・?」
という意見でした。

経営理念・ビジョンがなぜ必要か?は、多くの会社において意外と理解されていません。

経営理念は上手く活用すれば非常に強力な経営の武器となります。

しかし、まだまだ活用しきれていない会社が多いので、
その意義と活用法について考えてまいります。

経営理念・ビジョンの弱い組織

冒頭の会社の会議で出た意見のように、「経営理念って本当に必要なんですか?」という社員の問いは私もよくわかります。

「お客様に貢献して、ちゃんと社員に給料払って、会社に利益が残るならそれでいいじゃない!」
と言われたら、あなたは何と答えますか?

かつて私が新卒入社した会社は大手鉄鋼業でした。

経営理念はありました。
しかし仕事場で理念を意識したことはなく、そういう会話が周囲でされていたこともありません。

配属されたのは新規事業としてまだ歴史の浅い不動産事業部。

上司も先輩方も事業の経験は少なかったものの、非常に仕事熱心で優秀でした。

業界トップクラスの企業に学びながら、どんどんノウハウを得て、事業体としてきちんと稼げる状態になりました。

しかしなぜでしょう?

その事業部が物凄く伸びるとか、業界をあっと驚かすような事業に成長する感覚はありませんでした。
突き抜ける感がありませんでした。

人材も資金力もあったにもかかわらず。。

今思えば、その理由は事業部としてのビジョンの欠如だった気がします。

事業部に毎年の予算はありましたが、「5年後に業界〇位!」とか「不動産の〇〇分野で最も顧客評価の高い会社になる!」といったビジョンはありませんでした。
事業理念もありませんでした。

だから組織の凝縮性が弱い。求心力が弱い。
どこに向かっていくか、お互い共有するものが少なかったのだと思います。

私自身、経営理念やビジョンの大事さ、そのもたらす力を理解できていませんでした。

経営理念は弱いけど、ビジョンがある組織

次に勤めた外資系のコンサルティング会社では「世界で業界3位以内に入る!」という明確なビジョンがありました。

市場が拡大し、どんどん新しい人材も入ってきて、非常に成長していく感がありました。

ところが当時は(今はわかりませんが)、個が集まっただけでチームプレーは弱い組織でした。
もともとコンサルティング会社なので一匹狼タイプが多いのはありますが、そうはいっても組織力に課題がありました。

理由は色々ありますが、その1つに経営理念の弱さがあったと思います。

ちなみに経営理念とは何か?については、色々な見解があります。

一般的に言われている経営理念の定義は、

  • 会社が何のために存在しているのか?の明示
  • 会社を経営する上での強い思い
  • 経営の価値観、判断基準
  • 道徳観、倫理観

といったものです。

私の中では、

  • お天道様に見られて恥ずかしくない仕事の姿勢
  • 自分の子供に堂々と伝えられる仕事の姿勢

を各社各様に事業に応じた表現で伝えているものが経営理念だと思っています。

コンサルティング会社にグローバル共通の経営理念はあったと記憶しています。

しかし日々の仕事からは距離感のある概念だったので意識されませんでした。

共通の経営理念が弱いので、社員同士を繋ぐ価値観、共通の認識など、お互いをいい意味で束縛するものがなかったのです。

経営理念型の組織

その後10年いた人材会社は非常に経営理念を重んじる会社でした。

経営者自ら考え抜いた理念なので、トップがどういう集団を作りたいと思っているかが明確。

それを常々語っているので社員全員がよく理解していました。

入社当時はその徹底ぶりにびっくりしましたが、この結束力は伸びる会社だなと感じたものです。

その強みが具体的にどこにあらわれていたかと言うと、

  • 基本的に人がいい、社内政治がない
  • 仕事熱心
  • 何か方針を決めると一斉に組織がその方向に動き出す
  • チームのまとまり、凝縮力があるので、1人1人の能力は並であったとしても組織としてパフォーマンスを発揮する

強みは弱みの裏返しなので、個々の考える力や柔軟性に欠ける面はありましたが、
弱点を補って余りある強みがありました。

人をつなぎ止めるのも経営理念の出番

中国にいた頃、京セラ創業者の稲盛さんの経営を学ぶ盛和塾の会員がどんどん増えていました。

稲盛流理念経営を学ぶ経営者が増えていたのは、社員をつなぎ止めるのに皆苦労していたからです。

私も苦労した1人でしたが、育てた優秀な社員がどんどんライバルに高い給料で引き抜かれていきます。
引き抜かれた人材は、しばらく経つとまた別の会社に更に高い給料で引き抜かれていきます。

競争社会なので止むを得ない連鎖とはいえ、あまりに頻繁に生じるので多くの経営者が疲弊していました。

給料とポジションだけでは人心をつなぎとめられないと気づき、

・もっと会社の魅力や個性を高めよう!
・同じ釜の飯を食い、同じ目標を目指す同志にしていこう!

と考える経営者が多く出現したのが、盛和塾が注目された要因でした。

中国の急速な経済成長に並行して、企業理念の重みが増し、愛社精神心や連帯感を重視する会社が増えてきたのは非常に興味深い動きでした。

以上、経営理念・ビジョンはとてつもなく有効な経営ツールである(前編)でした。

次回(後編)は、
経営理念・ビジョンをうまく活用すると具体的にどのような効果が得られるか、
その効果を加速するための工夫などについてお伝えします。

後編はコチラ ➔ https://tsudoi-katsuyaku.com/1397/

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筆者紹介

竹居淳一
株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、人材育成・組織開発のコンサルティング、トレーニング、人材育成プログラムなどを提供しています。

筆者プロフィール詳細