人材育成に悩む企業の経営者が知っておくべき人材育成の基本(前編)

2018.04.15
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人材育成に悩んでいる企業はたくさんあります。

「どんな研修をやったらいいですか?」
と相談を受けることもあります。
私は人材育成にはお金をかけるよりも、知恵(&汗)をかけることが大切だと思っています。

中小企業は予算がなく、「なかなか人材育成ができない」という声を聞きますが、
中小企業であっても十分に人材を育成できます。

その具体的なやり方についてお伝えしていきます

 

企業の人材育成は研修とは限らない

人材育成というと、外部講師を呼ぶ「研修」をイメージされがちです。

しかし、優れたビジネスパーソンが皆研修を受けているとは限りません。

ではビジネスパーソンは何から学んでいるのでしょうか?

 

米国のLominger社による有名な調査で「70-20-10の法則」というものがあります。

リーダー人材達が過去に何から学んだか聞いたところ、

・ 実際の仕事の経験  70%
・ 他者(**)からの学び  20%
・ 研修  10%

という結果でした。

**「他者」:上司、先輩、同僚、メンター、コーチ、ロールモデル、その他話を聞いた第三者など

 

この比率は恐らくあなたの肌感覚に近いのではないでしょうか。

10%に相当する研修も有効な手段ではあります。
しかし何より大事なのは、70%を占める「仕事の経験」による学びです。
日常の仕事の中でいかに育てるか、つまりOJTの学習効果をいかに高めるかという事ことにほかなりません。

10%に相当する研修も有用ですが、何より大事なのはまず70%を占める「仕事の経験」による学びです。
日常の仕事の中でいかに育てるか、つまりOJTの学習効果をいかに高めるかという事にほかなりません。

 

人材育成を行う企業はOJTの中身を注視すべき

ただし、この“OJT”というのが曲者です。

【 とりあえず現場に放り込めば勝手に育つ = OJT 】
みたいな感覚をあなたはお持ちではありませんか?

確かに現場に放り込むのは事実ですが、放り込まれる先は一体どんな現場でしょうか?
放り込むと人が育つ現場もあれば、なかなか育たない現場もあるという事です。

 

新卒の学生が入社してきた場合を想像してみて下さい。
新人が働く環境を2つのパターンで対比してみます。

  • 先輩社員が一生懸命働いている VS やる気なさそう
  • 仕事の目的や役割が明確 VS 目的や役割が曖昧
  • 参考にする先輩や基本手順がある VS 参考にするものが何もない
  • 自分の成長や課題に気づく機会がある VS 気づきの機会がない
  • 上司や周囲が関心をもってくれる VS 上司や周囲が無関心
  • 仕事が単純 VS 頭を使って工夫する余地がある

敢えて両極端のパターンで比べてみましたが、どちらの環境の方が人が育つでしょうか?

 

70%を占める“実際の仕事の経験”における育成効果を高めるには、現場での仕事のさせ方や環境が非常に重要な要素になります。

 

 

人材育成が加速する企業のOJT現場とは?

仮に同じ能力を持った2人が同時期に転職し、医療機器の営業を開始したとします。
Aさんはa社にて、Bさんはb社にて。

担当する業務は一見同じですが、3年後の成長ぶりに大きな差が出ました。

差が生じる主な理由は、70%を占める実際の仕事の経験の“質”と“量”にあります。
医療機器営業という同じ仕事であっても、どのように仕事をするかという質と量によって、成長度合いが大きく変わるのです。

では実際の仕事を通じた(OJTでの)育成効果を高めるには、どのような観点を意識したらいいでしょうか。

仕事の難易度/工夫の余地

仕事で頭を使い、工夫、改善する機会がありますか?

例:a社Aさんの場合

トラブルの多い難しいお客様を担当し、関係づくりから提案まで相当な工夫が求められます。
早々に新規開拓営業もスタートしました。

a社b社ともに業務の詳しい手順書があります。
その中でa社は手順を守りつつ、その手順が実態に合わない場合は柔軟に変更が可能です。
かつ手順書を顧客ニーズに応じてブラッシュアップすることが求められます。

例:b社Bさんの場合

安定取引の続く既存顧客のサポートばかりで、あまり頭を使う場面がありません。
a社b社ともに業務の詳しい手順書があります。
b社ではその手順を遵守して進める事が求められます。

さて、AさんとBさんの3年後はどうなっているでしょうか?

仕事の面白み

仕事はしんどい事もたくさんありますが、仕事のおもしろさに気づいた人は強いです。
仕事をおもしろいと思った人は、他人が強制しなくても勝手に自ら知識を吸収し仕事のやり方を改善し、成果を上げていきます。

つまり仕事のおもしろさを本人に気付かせてあげられるか否かは大きな分かれ道と言えます。

そこには、先輩社員が仕事を楽しんでいるかなど、企業文化の影響も大きく関係しています。

目標と測定

本人が心の底から目指そうと思っている目標はありますか?
あなたの会社の社員は「今年はこういう事をやり遂げたい、達成したい」という目標があり、それに向かって努力しているでしょうか。

もし与えられた目標があったとしても、本人がそれを目指す気がなければ意味がありません。

目標は、それが高いか低いかということより、自分の思いと納得感が重要です。
人に言われたから嫌々目指す目標ではなく、自分自身が目指すべきだと思える目標が頑張る原動力となります。

目標を立てたら、その測定も重要です。

定期的に目標の進捗状況を測定し、何が不足しているか、何を改善するか考える場が欠かせません。

他者からのフィードバック

あなたの会社の社員は、他者からフィードバックをもらう機会がありますか?

自分の仕事ぶりを客観的に見るのはなかなか難しい事ことです。

例えば、

  • 顧客に良かれと思ってしているサービスが実は嫌がられている
  • 周囲に配慮しているつもりが、まわりからは全然そう思われていない
  • 自分では効率良く仕事していると思っているのに、実は同僚と比べて最も業務効率が悪い

なんてこともあります。

こういう気付きは、他者が指摘しない限りなかなかわかりません。

  • 叱咤激励
  • 客観的な意見
  • 具体的な指導

などなど、他者のフィードバックを普段の仕事の中で得られることに意味があります。

年間まとめて1回というよりは、日常の中で小さなフィードバックがたくさんある方が効果的でしょう。(間が空くと、伝える方も忘れてしまうので)

経験の量

Aさんは年間200社の社長に提案を行っています。
一方のBさんは年間50社だけ。
1年も経てば、顧客の理解力、提案力、得られる情報など全てにおいて、AさんがBさんを凌駕するはずです。

今の時代は働き方改革等の一環で残業がしづらくなっているのは確かですが、
仕事の能力は経験の“量”に比例する側面があることは否定できません。

特に経験値が浅い人が仕事を覚える段階では、「質より量」であることを忘れてはいけません。

 

人が育つ仕事環境をつくることが人材育成の近道

ビジネスパーソンは仕事そのものを通じて育ちます。
従って日々の仕事をどのようなやり方で行うかによって、人の成長は大きく左右されます。

OJTと称して単に現場に放り込むだけでは人が育つとは限りません。
先に述べた5つの観点を備えた現場にぜひ放り込んで頂きたいと思います。

 

以上、『人材育成に悩む企業の経営者が知っておくべき人材育成の基本(前編)』でした。

 

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筆者紹介

竹居淳一
株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、人材育成・組織開発のコンサルティング、トレーニング、人材育成プログラムなどを提供しています。

筆者プロフィール詳細