(番外編)2017年夏 ベトナムの今! Report 

2017.08.18

 

8月のど真ん中、熱帯気候並みの東京を離れ、熱帯の本場、ベトナムはホーチミンへ視察旅行に行って参りました。

情けないことに、初日からタクシーでぼったくられるという強烈な先制パンチをくらいましたが、
その後はベトナム人の笑顔とメコン川の自然と食事に癒され、ベトナム大ファンになって帰ってきました。

 

今回のブログは、やや番外編的に「2017年夏 ベトナムの今! Report」とさせて頂きます。

 

ベトナムの発展はまだまだこれから

ベトナムは、人口9300万人、国土は日本の約9割。サイズ感が日本にとても近い国です。

経済成長率5-6%、平均年齢29歳ですから、若くて勢いがありますね。

ホーチミンからバンコクまで飛行機で1時間半。中国と隣接、フィリピン・マレーシア・シンガポール・インドネシアとは海を挟んで隣人という、アジアの中心に位置します。

 

夜ホーチミンのタンソンニャット空港に着き、市内に向かう途中、車窓からプルデンシャル生命やアムウェイの看板が見えました。豊かな人が増えている証拠です。

とはいえ、マクドナルドがホーチミンに初出店したのは3年前。

ユニクロは今でも出店していません。GAPはありました。
H&Mは1店舗目が工事中で間もなくオープンという段階。
まだまだこれからです。

ホーチミン初の地下鉄が市内の目抜き通りで工事中ですが、開業は2020年予定です。
私はついつい以前暮らした上海と比べてしまいますが、上海で初めて地下鉄が開通したのは1995年。その後現在に至るまで、22年かけて22路線が開通しました。

ホーチミン市内中心部の脇にはサイゴン川が流れていますが、川向うは今は殆ど草っぱら。
上海では何もなかった川向こうに、1992年から約10年かけて巨大な摩天楼群ができあがりました

 

そうなんです。ベトナムは正に今後10年、20年かけて発展という段階にいます。

 

ベトナムの発展スピードはいかに?

ベトナムは企業の進出先(工場としても市場としても)として非常に魅力があると思います。

若い人口、安価な労働力、一定以上の教育水準、都市化の波、外資の導入政策など、発展に必要な基本要素を備えています。

ただし中国ほどの大胆で早いスピードで進むかというと難しく、じっくり安定的に発展していく国なのかなと感じました。

 

そう感じた理由は、都市政策です。

ベトナムは社会主義国家なので土地は国有です。
中国同様にあっという間に住民を立ち退かせて開発を進めるのかと思っていましたが、実はそうではなく、個人の権利に配慮して立ち退き交渉にちゃんと時間をかけるようです。

民衆の権利を重んじる良いやり方ですが、発展スピードの観点では不利ですね。

実際ホーチミンの中心地は道路が狭くて殆ど一方通行です。

地下鉄もないので多くの人がバイク通勤ですが、その膨大なバイクが街中に溢れ、置き場が不足。歩行者との共存も難しい位です。

 

 

マイカーを持つ人が増え、渋滞も激化しています。

市内では、100年続くような風情ある建物が沢山残っており(中に洒落たカフェやブティックが入っていたりする)、空間の高度利用もまだまだですが、建替えも簡単には進まないでしょう。

経済発展は都市の発展とセットなので、ベトナムでは都市整備が経済発展のスピードを遅らせる気がしました。

ベトナムは、いわゆる「経済発展の方程式」のようなあり来たりの都市政策ではなく、独自の都市政策をとった方が良いのかもしれません。

 

人材の強みをどう生かすか?

ベトナムは人材の強み、魅力がある国だと感じました。

ホーチミンの人は基本的にフレンドリーで世話好き。ホスピタリティが高いです。
ベトナムコーヒーの飲み方が分からず困っていたら、若い店員が喜んで代わりに淹れてくれました。

仏教徒が8割で、儒教の文化も残っているため、安定感があります。

賄賂はあるけど、そこまで無茶な金額ではなく、収賄した側がそのお金を積み立てて皆で飲みにいくような連帯感もあるそうです。

 

向上心が強いのも特徴のようです。

現地で飲食店を経営する知人が言っていましたが、従業員は非常に熱心に自主的に仕事を学ぶそうです。
若い社会人は、仕事帰りに語学やプログラミングなどの勉強に行く人も多いようです。

 

もう1つびっくりしたのが、デザインのセンスがいい事です。
飲食店や建物のデザインがとてもいい感じでした。暖かみと洗練された雰囲気が調和していて。

ベトナム人は手先が器用とは聞いていましたが、センスと細やかさが強みのようです。

 

 

国としてIT技術者の育成に力を入れ、日本からのオフショアも盛んですが、既にIT技術者の平均賃金は13万円/月に達しており、オフショアの魅力はあと何年続くでしょうか?

大卒の就職は非常に厳しいらしく、7割は卒業後仕事につけないそうです。

まだまだ大卒を吸収できる産業が少ないので学生は大変ですが、この人材の厚みをどう生かしていくかは、国にとっても進出する日本企業にとっても重要なテーマですね。

 

日本との友好関係を生かさない手はない

ホーチミン初の地下鉄は日本のODAプロジェクトです。
工事現場に「VIETNAM-JAPAN」という大きな友好&感謝の看板が掲げられていました。

ベトナム人の日本および日本人に対する印象はとてもいいそうです
日本企業が現地人材をマネジメントしたり、消費者に日本製品を売るには、非常に有難い環境ではないでしょうか。

ベトナム人は日本人と感覚が近い部分もあると思います。
儒教文化の影響を受け、仏教が生活にある程度入り込んでいるのも同じです。
手先が器用で向学心があるのも日本人と近いですね。

ビールが大好きというのも共通点です。

お互い中国と関係が悪いのも共感し合える理由かもしれません(笑)

 

ただし街で一番見かける外国人は韓国人でした。

K-POP、韓国化粧品の人気は抜群。SamsungやLG製品が溢れています。
日本車も人気ですが、シェアトップは起亜自動車です。

駐在員の数も圧倒的に韓国人の方が多いようです。

上海にいた時も感じましたが、韓国人駐在員のスピードとパワーは強烈です。
本国からの厳しい業績プレッシャーの元に現地社会に入り込んでいく姿勢は、自分も含めて日本人が学ぶべき点が沢山ありました。

ベトナムで奮闘中の日本人の方々には、韓国人に負けずに頑張って頂きたいと、心から応援いたします。

 

今回のホーチミン滞在中は、前職の会社のベトナム子会社の駐在員、上海で知り合い今はベトナムで活躍中の方、現地を良く知るベトナム人の方など、多くの友人にベトナムの事を教えて頂きました。

本当にどうも有難うございました。

 

筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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