「 理想の組織 」
強い組織は、組織の中の縦の流れと横の流れが上手くかみ合っている状態です。
縦と横はハードとソフトと言ってもよいかもしれません。
「縦の流れ」とは、各部署や個人の目標、役割、ルール、仕事の管理、上司部下の報連相といった、組織の経営や階層を軸に流通する要素です。
「横の流れ」とは、組織間のコミュニケーションや個人間のコミュニケーション、情報共有、関係性、相互サポートといった、人と人が組織のために協力し合う要素です。
今週のブログは、「縦の流れと横の流れの両者がかみ合う会社がなぜ強いか?」「あなたの会社の縦横の流れはどのような状態か?」についてお伝えします。
組織の縦の流れとは?
組織には縦の流れと横の流れの2つの力が作用しています。
次の図は縦の流れを表したものです。
この縦の流れは組織を機能的に動かすために重要です。
高い目標に向かって組織を牽引していくためには、この流れが無駄なく重複なくスピーディーに流れていく状態になっていることが必要です。
組織は縦の流れだけでは機能しない
ところが組織は縦の流れだけでは十分に機能しません。
例えば各部署の役割を明確に決めたとしても、すぐにどちらの部署の仕事か曖昧なものが出てきます。
その場合、速やかに部署同士で擦合せをして、抜け漏れがないように調整する必要があります。
仮に縦の流れのみの組織だとしたらどうでしょう。
担当者が隣の部署に何かをお願いしようと思ったら、「上司のマネージャー→部門責任者→経営者」と長い道のりで相談が上がり、
今度は経営者から隣の部署に指示が下りていくというまどろっこしい流れになります。
いちいちこんなステップを踏んでいては、市場変化のスピードに組織が置き去りにされます。
機敏に動くためには、担当者から隣の担当者にダイレクトに情報が流れる横の流れが必要となります。
また、さまざまな会社でありがちなのが「営業部門」と「生産部門」の対立です。
顧客の要望に合わせて臨機応変に対応したい営業部と、計画的な製造を進めたい生産部門は利害がぶつかりやすい関係です。
この対立を防ぐためには、双方の部署のつながり、相互信頼、いざという時に協力し合える関係性、普段からの小まめな情報共有といった横の流れが不可欠です。
組織の横の流れとは?
このように、組織は縦の流れだけでは成り立たず、横の流れが必要です。
次の図は組織の横の流れを表したものです。
部署間だけでなく、同じ部署に所属する担当者同士の間でも同じように横の流れが必要です。
例えば同じ部署内にて、ある社員が自分の業務に関わる領域で、担当者がはっきりしない(人と人の間に落ちる)ポテンヒット業務を発見した時、その社員はどういう行動をとるでしょうか?
① 知らん顔をする
② 上司に報告だけする
③ 他人に押し付ける
④ 自ら買って出て、その業務を担当する
⑤ 当該業務を誰が担当するのが最適か、関係者間で相談の場をもつ
①と②はそもそも無責任であったり、横の人に対して興味関心が薄い状態です。
③は横の人との関係性に問題があり、お互いに協力する姿勢がない状態です。
④は一見模範生のようですが、組織としては必ずしもよい解とは言えません。
「横の人と相談しても意味がないから自分がやるしかない」というような発想の場合があります。
⑤が理想的な組織です。
⑤が可能となるのは、この人自身の責任感はもちろんのこと、普段から周囲のメンバーとコミュニケーションがあり、信頼関係がある状態です。
理想的な⑤を目指すために、組織内における横の流れが重要です。
縦の流れ偏重の会社の典型
最後に、あなたの会社の縦横の流れはどのような状態かを診断してみましょう。
該当するものにチェックをつけてみてください。
□ 社内で雑談や会話が少ない
□ 中途入社で新しい人が職場に入ってきても皆無関心で話しかけない
□ 部署間の交流が少ない。隣の部署の人のことをほとんど知らない
□ 隣の部署の担当者に何かを頼むと「その話はうちの上司通ってますか?」と聞かれる
□ 「私は聞いていません」発言がよく起こる
□ 部署同士の話し合いに、毎度経営者が同席しないと話がまとまらない
□ 部署責任者同士のコミュニケーション、やり取りが少ない
□ 部署間や個人間で仕事の押しつけ合い、責任のなすりつけ合いがよく起きる
□ 特定の部署が忙しい時に、他部署が何らかのサポートをしない
□ 会議というほどではない、擦合せや情報共有目的のちょっとした打合せが見られない
チェックが1つでもついてしまうなら、あなたの会社は縦の流れに対して横の流れが不足がちな状態と言えます。
チェックがたくさんつくとしたら、横の流れが麻痺しかけている状態です。
上記のような問題が顕在化しているならば、早いうちに何らかの手を打たない限り、発展の支障になりかねません。
横の流れが弱い問題の怖いところは、長年その状態が続いていながら、何の改善もなされていない場合が多いことです。
品質不良やコストアップ、売上減少など目に見える問題についてはすぐに手が打たれますが、
横の流れの不足は目に見えづらい問題なので、何の対策もないまま、じわりじわりと組織を蝕んでいくので要注意です。
まとめ
あなたの会社では縦の流れに対して、横の流れが十分に機能していますか?
横の流れは、仮になくても今すぐに事業活動が止まるものではありませんが、会社の発展のためには不可欠です。
上手く機能すれば、縦の流れを増幅し、盤石なものにする原動力になります。
縦と横がバランス良くスムーズに流れているか? どこかで目詰まりを起こしていないか?
マネジメントはここを常に注視しておくことが大切です。
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