マネジメントスキル
マネージャーの育成は多くの企業が頭を悩ます課題です。
マネージャーを育成するためには研修も有効な手段の一つですが、何よりも「日々の実践の場においてマネジメントスキルを磨けているか」が重要です。
本日のブログでは、マネジメントスキルをより早く、より高いレベルで身に着けるためには、どのような実践が必要となるかについてお伝えします。
マネージャーの育成方法を検討している方は、どのような経験を積ませればよいかのヒントとして参考にしてみてください。
目次
マネジメントスキル 習得は実践が命

マネジメントスキルを習得するには、実践における失敗/成功体験、そして試行錯誤が欠かせません。
例 会議の運営
会議の運営に悩んでいる場合、おそらく会議のやり方について各種教材を通じて効果的な方法を学ぶことはできます。
そこには、会議における事前準備や目的共有の重要性、参加者から意見を引き出すコツ、最後のまとめ方などが書かれています。
すぐに行動に移せる人ならば、次回の会議から事前準備を明確に定め、会議の目的をしっかり伝え、ファシリテーションのやり方を色々工夫するはずです。
実際にやってみると、普段全然意見を言わない人から発言を引き出すのがいかに難しいかを身をもって知るでしょう。
そもそも、会議に参加する意義を皆が感じ、皆が会議の当事者であると意識しない限り、決してよい会議にはならないということも痛感するはずです。
このような経験を重ねた分だけ、実践的な会議運営スキルを体得していくことができます。
一方で、会議のやり方をせっかく学んだとしても、「論語読みの論語知らず」のように知識ばかりつけて実践しない人がいます。
会議運営スキルは頭で理解しただけでは何も変わりません。
実際の会議の場で実地訓練を重ねない限り、決して上達することはないのです。
その他にもマネージャーに求められる以下のスキルの類は、会議のやり方同様です。
- リーダーシップ
- コミュニケーション力
- メンバーの動機づけ
- 部下育成(コーチング・フィードバック)
- プレゼンテーション力
いずれのスキルも実際の仕事場でトライ&エラーを重ねてこそ身につくものです。
マネジメントスキルが誰よりも早く磨かれる6つの経験
同じ時期にマネージャーになった人同士であっても、マネジメント力の習得スピードは人それぞれです。
若くして優れたマネージャーになる人もいれば、管理職経験だけは長いのにマネジメント力が不足している人もいます。
その違いは本人の能力、努力による部分も大きいですが、それ以上に置かれた環境によって習得スピードは大きく左右されます。
どのような環境に身をおいていると、早い段階で卓越したマネージャーになれるのでしょうか。
以下6つのケースをご紹介します。
絶対に組織としての結果を出さねばならない状況

マネージャーの仕事は個人成果を出すことではなく「組織として成果を出すこと」です。
自分一人だけ頑張って結果を出すのはマネージャーに求められている役割ではありません。
チームの成果を問われ、チームとして何が何でも結果を出す環境に身を置いた人はマネージャーとしての進化が人一倍早いでしょう。
例えば次のような環境です。
その年度で結果を出さない限り部署が解体され、事業をたたまざるを得ない
営業部内に5つの課があり常に激しい競争をしており、今期は絶対にトップを目指さなければならない
ある開発中の商品を今年中に市場投入しなければ、競合にシェアを根こそぎ奪われる
背水の陣に置かれたマネージャーは「できることは何でもやる」というマインドです。
「人が足りない」「予算が足りない」「●●部がやってくれない」という言い訳をしている余裕などありません。
他人に頼れないなら全て自分で引き取ってやりきる覚悟をします。
やる気のない社員を放置する余裕はなく、何としてもその社員に力を発揮してもらう術を試すでしょう。
新人スタッフの業務習得スピードが遅ければ、あらゆる方法を考え抜いて、なんとか短期間で育てる工夫をします。
一方で、特に目標もプレッシャーもなく、のんびりした組織のマネージャーだったらどうなるでしょうか?
差し迫るものがなければ、徐々にぬるま湯環境に慣らされ、挑戦もせず、改めて新しいマネジメントスキルを試すこともしないので、結果としてスキルは磨かれません。
「必要は発明の母」です。
自分の組織で何としても成果を出す!と固く決め、必要とあらば何でも求め、神にもすがる気持ちで真摯に取り組む人は、やがて結果を出します。
幾多の経験を重ねて自分なりのマネジメントスタイルを確立していきます。
自らのチームをつくる経験
「自らのチームをつくる」は、1から部署を立ち上げたり、新規事業の中心となって推進したりする際に経験します。
逆に言うと、多くの人は「自らのチームをつくる」経験をあまりしていません。
例えば、既に存在している部署に人事異動で管理職として着任した場合、最初からそこにはメンバーがいて、その部署が何をやる組織かも基本的には決まっています。
まずはその既存のメンバー達と関係を構築し、順応していくだけでも及第点をもらえるのではないでしょうか。
一方、新規事業のメンバーを増やしていく過程では、最初は自分一人からはじまり、段階的に一緒に働く仲間を探し、自ら採用します。
採用した人の給料も自分で決めます。
自分で採用した人間に対しては人一倍責任感を感じ、何が何でも育てようと奮闘します。
最初は赤字続きで大した報酬も払えませんが、夢を掲げ、皆が必死についてくる環境をつくろうとします。
時には大きな衝突、方向性の違いによる決裂もありますが、それも乗り越えていかねればなりません。
このように「自らチームをつくる」プロセスは非常に大変で骨の折れる仕事ですが、チームづくりでの渦中で肌身に感じた経験により、一皮も二皮もむけたマネージャーになります。
未経験の業種や職場のマネジメントを担う

中小企業では職種間の異動が少ないため、入社した時からマネージャーになるまでずっと同じ部署、同じ職種の人が多いです。
その職種を知り尽くしている強みはありますが、部署内は分かったもの同士、阿吽の呼吸で進めることができるので説明力が磨かれません。
長年よく知っている部下のマネジメントなのでやりやすく、業務も知り尽くしているので経験と勘で意思決定も何とかなります。
しかし、このような環境はマネジメントスキルを育てるには不向きです。
よく分かっているが故に、従前の考え方にとらわれ、斬新な発想や柔軟な発想ができなくなるリスクもあります。
マネジメントスキルとは、特定の業種や職種に限定されるものではなく、それらを超えて応用できる汎用的なスキルです。
だからこそ、さまざまな環境を経験するほど厚みと迫力が増していきます。
一方で、単一の業種や職種または特定企業でしかマネジメント経験を積んでいない場合、その環境では通用しても、別の現場では機能しないスキルになりがちです。
仮に転職して、全く新しい環境でマネジメントする場面を想像してみてください。
知らない環境でマネジメントを担うと、部下より業務を知らないため、「高い業務スキル&豊富な業務経験」で部下を率いることはできなくなります。
代わりに、マネジメントそのもので組織を率いていかねばなりません。
仕事の目的・目標を定め、どのようにPDCAサイクルを回し、どのように部内情報共有を行い、どのように関係性をよくし、どのように人を育て、いかに働きやすさを高めていくか、といったマネジメント面で組織に貢献する仕事が求められます。
多様な人材を率いる経験

例えば全社員が新卒採用入社で、自分の部下は全て年下という組織でのマネジメントの場合、正直難易度は低めです。
部下が自分より年下ばかりならば、年上という年次パワーである程度コントロールすることができます。
新卒入社文化であるならば、社員一人一人が共有している価値観や体験が近いので、異論反論が出ずらく、方針を決めて実行することが容易いためです。
社内でしか通用しない特殊な用語もバンバン使ってマネジメントできます。
一方で、メンバー全員が中途入社で、年齢も国籍も性別も様々だとしたら、皆を同じ船に乗せて、価値観を共有するのは非常に難儀なことです。
背景や考えの相違を認めつつ、対話を重ねながら、同じ方向性に向けていくところに、相当なエネルギーを割かねばなりません。
文化も自分達で作り上げていく必要がもあります。
私自身、海外での仕事経験がありますが、最初につまずいたのは「伝わらないこと」でした。
そもそも語学力の問題がある上に、ベースとしてもっている価値観が全然異なるので、日本では当たり前と思っていることが理解してもらえません。
いかに物事をわかりやすく、シンプルに、かつ相手に伝わる(刺さる)言葉で伝えるかということを、日夜考えさせられたものです。
低迷組織の再生

順調な組織を前任者から引き継いでマネジメントを行う場合、苦労は少ないでしょう。
しかし低迷組織の再生を託されたならば、それは困難を極めることになります。
・業績がところん落ち込んでいる組織
・人心が荒廃している組織
・負け癖のついている組織
・誰も責任をとらない組織
これらを引き継いだら、あなたはどうするでしょうか?
前任者のやり方が悪いからこうなっている以上、前任者の路線を踏襲とはいきません。
引き継いだあなたは、普通にマネジメントしていたら何も良くならないどころか、さらに悪化する可能性すらあります。
このような状況におかれたら、腹を括って組織を再生するしかありません。
ありとあらゆる手を尽くして、ありとあらゆる人の力も借りながら、何とか道筋をつけていく仕事です。
もし上手く再生させた暁には、あなたのマネジメント手腕は卓越したものになっていることでしょう。
とてつもないボスの下でのマネジメント

マネージャーにも上司がいます。
その上司がどのようなタイプかによって、マネジメント能力の伸びが変わります。
「とてつもない」には色々なタイプがいますが、どのタイプでも「とてつもなければ」自分のマネジメント能力をつける機会になります。
とてつもなく厳しい、要望度が高い
とてつもなく優秀、商売センスがある
とてつもなくスピード感がある
とてつもなく逃げる(責任をとらない)
とてつもなく出来が悪い
上3つは、その上司に必死についていくことで力が引き上げられます。
下2つは、反面教師として自分を戒めたり、とことん上司を助けることで自分の能力が高まります。
「そこそこ優秀で、優しくて、面倒見がよく、とてもやりやすい上司」の下でマネジメントを行っている場合、実は自分の力はさほど伸びません。
胆力、決断力、信念といったマネジメントの底力となるような能力は、とてつもないボスの下で一層磨かれます。
6つの観点を管理職採用、マネージャー育成に活かす
人材採用やマネージャー育成においては、相手のマネジメント能力がどの程度であるかを類推、判断する必要があります。
一般的な採用面接では、マネジメントしていた部下の人数、マネージャーとして何を行ってきたかが聞かれますが、上記の6つの観点を見極めることで、その人のマネジメント手腕がより深く理解できます。
転職先という従来とは異なる環境においても通用するマネジメント能力を備えているか否かを身極めることが可能になります。
6つの観点を面接で使える質問形式にアレンジしてまとめてみましょう。
マネージャーの採用面接用 6つの質問
組織として絶対に結果を出さねばならない状況に置かれたマネジメント経験を聞かせてください
「既にあるチーム」のマネジメントではなく、自らチームを作り上げた経験はありますか?
経験がない業界や職種の組織マネジメントを行った経験はありますか?
自身とはバックグラウンドが異なる多様な人材をマネジメントした経験はありますか?
低迷する企業や組織を再生した経験はありますか?
とてつもないボスの下でマネジメントを担った経験はありますか?
以上の観点により、その人のマネジメント能力の汎用性、根の深さ、土台の強さを伺い知ることができます。
さらに、マネージャーの育成に向けて、6つの観点をどのように実際に経験させていくかというプランも検討してみてはいかがでしょうか。
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