管理職になりたくない

管理職になってもメリットがない!? 「 管理職不足問題 」を解消し、次代の候補人材を発掘する方法

2021.01.21

管理職不足問題 は多くの会社に共通する課題です。

時代と共に管理職の仕事の難易度は上がってきました。

背中を見せるだけでは駄目、命令して厳しくやらせるだけでも駄目、職場や働き方の多様性も広がり、昔ほど残業もさせられません。

管理職の難易度と専門性が高まるにつれ、管理職の仕事は責任と負担が増すばかりのネガティブイメージが強く、成り手不足、候補者不足の問題が生じています。

専門職志向が強まり、ジェネラリストより特定分野のスペシャリストを目指す人が増えたことも背景にあると言えます。

 

このような環境下であなたの会社が管理職候補人材を安定的に生み出していくには、どうすればいいでしょうか。

今回のブログではその方法をお伝えします。

 

今の管理職に後継者育成を意識してもらう

管理職になりたくない

 
次代の管理職の担い手が育たない理由では、現在の管理職が次代の育成を意識していないことがボトルネックになっています。

意識していないので、部下にマネジメント業務を少しずつ経験させたり、本人を動機づけしたりという行動をとっていません。

人によっては、後継候補が育つと自分の立場が危うくなると考え、次世代管理職の芽をつまんでしまう恐れもあります。

まずは現在の管理職に対して、「次代の管理職候補者の育成」が大事な“業務”であることを徹底して伝えましょう。

 

管理職のネガティブイメージを払拭する

 
若手の中には管理職にネガティブなイメージを抱く人が多くいます。

「人の管理なんて面倒くさい」「責任ばかり負う仕事より専門能力を高めてそちらで勝負した方がいい」と思われています。

その原因としては大きく3つ考えられます。

 

  1. 「管理職=仕事を管理する面白くない仕事」というイメージが強過ぎる
  2. 年功序列で管理職登用したり、仕事はできるけど管理職適性のない人を管理職にしたため、
    管理職の仕事ぶりが悪く社員から信頼されていない
  3. 管理職になると残業代がつかず手取りが減るなど、報酬に魅力がない

 

ということで、この3つのマイナス要因をプラスに転じて管理職の魅力を感じてもらいましょう。

下記で具体的な方法を挙げてみます。

 

管理職=面白くないというイメージを払拭する

 
管理職の仕事は、経営資源(人・モノ・金・情報)を最適に組み合わせて事業の成果を出す役割。

ゴールに向かって人と組織の力を最大限に引き出す大事な仕事です。

“管理”という言葉から想起されるような、部下の仕事の進捗を把握して指示を出す(プレッシャーを与える)仕事は全体の業務の一部でしかありません。

本来はオーケストラの指揮者のような、とてもやりがいある格好いい仕事

会社として管理職の役割の魅力をもっと打ち出していくといいでしょう。

 

管理職の登用ルールを見直す

 
管理職不適格者をすぐ交代するのは難しいかもしれません。

しかし管理職のスキルは担当者として仕事の成果を出す能力とは別物なので、管理職登用は慎重を期す必要があります。

より的確な管理職登用ができるように、次の「報酬」と併せて登用ルールを見直しましょう。

 

管理職の責任に見合った魅力的な報酬にする

 
会社によっては、管理職になった途端残業代がつかず給料が下がるという笑えない冗談のような事態も起きています。

今の時代の管理職はプレイングマネージャーであることがほとんどなので、限られた時間で自分の仕事もこなし、マネジメントの仕事をこなし、部署として成果を上げなければなりません。

非常に難易度が高く責任の重い仕事であるため、ぜひ報酬もそれに見合った魅力あるものにしましょう。

その代わりといっては何ですが、今までのような「何となく管理職をやっている存在」を許容してはなりません。

管理職に期待する役割を明確に定め、それを着実に遂行できる人材を登用し、任せていってください。

 

管理職は少数精鋭に絞る

 
管理職は誰もが向く仕事ではありません。

他人に関心がなかったり、専門業務スキルを高めることにとことん集中したい人には向いていません。

よって優秀な管理職をたくさん育てることは難しいということも理解しておくべきです。

管理職はたくさんいるほどバラつきも多くなるので、なるべく少数精鋭の管理職で効率よく組織マネジメントする道をさぐりましょう。

 

いきなり登用する前に小さいチームを持たせる

 
管理職に登用する際、いきなり未経験の状態から登用すると準備がなさすぎて上手くいきません。

正式な管理職になる前に、1〜2名の後輩指導を経験させたり、マネージャーの業務の一部をやらせて管理職の仕事を体感させておきましょう。

その段階で管理職としての素養や向上度合いも分かるので一石二鳥です。

 

管理職のキャリアの先を示す

 
管理職の経験を積むことが将来のどのようなキャリアにつながっていくかも示してあげるといいですね。

キャリア設計上、専門領域の能力を高めることはとても大事です。

同時にマネジメント能力が掛け算されれば、さらに市場から必要とされる人材になれます。

下図はこれからの時代のキャリアステップを模式化してみたものです。

 

管理職不足問題

 

ここでいう定義

■オペレーター = 専門性の高くない仕事や定型的な仕事をこなす人材
■事業家 = 専門家を束ねながら事業やプロジェクトを中心的存在として推進する人材
■スペシャリスト = 高い専門能力で価値を提供する人材

 
若い時の仕事はオペレーターの要素が高いですが、徐々に専門能力をつけて事業家またはスペシャリストに歩んでいく流れです。

従来はオペレーターのまま長く働く方も多くいましたが、

テクノロジーが人間の労働を徐々に代替するに伴い、事業家またはスペシャリストへのシフトを迫られます。

スペシャリストの土俵へキャリアアップする道もありますが、

事業家(マネジメントのプロ)も世の中では明らかに不足しており、ここに大きなチャンスと余地があります。

 

まず管理職としての経験値をつめば、将来的に事業家キャリアへの可能性が十分に期待できます。

スペシャリストの道に行く場合であっても、マネジメントスキルを持っていれば必ず武器になります。

仮に将来独立してフリーランスで働く人にとっても、管理職としての経験は大いに役立ちます。

どの道へ進むにしろ、「管理職経験は本人にも価値があること」をしっかり伝えてあげられるといいですね。

 

まとめ

 
管理職は会社の根幹を支える非常に重要なポジションですが、そこに本人の意志がなければ成り立ちません。

ぜひ今回のブログを参考に社員の「管理職になりたくない」問題を解消して、この先も安定的に優秀な管理職人材を生み出していきましょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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