以前放映していたドラマ「下町ロケット」にすっかりはまっていたときのことです。
放映される日曜の夜はオンタイムで観ると子供の受験勉強の邪魔になるので、いったん録画。
家族が寝静まった月曜の夜12時から毎週見ていました。
このドラマ、現実離れした場面がたくさんあって気になったものの、阿部寛演じる佃社長の心意気と現場技術者のひたむきさに、ついつい共感してしまいました。
社長の絶対方針が覆る瞬間
その「下町ロケット」で、こんな場面がありました。
国産ロケットの打ち上げを進めている大企業「帝国重工」の、杉良太郎演じる藤間社長には金科玉条の原則があります。
それは「ロケットの部品を全て内製化する」という絶対方針です。
ところが部品の中核をなす「バルブシステム」で内製が難しくなり、佃製作所という中小企業から部品調達する案が出ます。佃製作所の部品の方が圧倒的に品質が良いからです。
吉川晃司演じる財前部長がその方向に舵を切ろうとしますが、部下も上司も周りは皆大反対。
「内製化は社長の絶対方針だぞ」と反対します。
そしてハイライトは財前部長が取締役会で藤間社長を説得する場面。
役員達が声を張り上げて反対する中、財前部長は社長の魂に訴えかけ、最終的に佃製作所からの部品供給(=100%内製化を諦める)を認めてもらいます。
こういう事って皆さんの周りでもおきていませんか?
どういうことかというと、誰もが社長の絶対方針だと信じて疑わなかったことが、意外にも覆る瞬間。
逆に周りの方が「社長の絶対方針だったじゃないですか。いいんですか、本当に?」みたく、肩透かしをくらうような場面です。
社長は最後は冷静に判断する
社長という立場は最終意思決定のぎりぎりにいるので、何だかんだ言って最後は合理的な結論を下すものです。
“絶対方針”とこだわっていても、別の方法が正しいと思えば案外当初の方針を引っ込めるものです。
帝国重工で一番大事な目的は、「国産ロケットを飛ばすこと、必ずそれを成功させること」でした。
「部品の内製化」は大目的を実現する上で、同時に達成すべき第二の目的でした。
ところが社長の絶対方針「100%内製化」にこだわる社員達は、いつしか「内製化」自体が最終目的化してしまったのです。
社員は思考停止に陥りやすい
これって結局思考停止なんですよね。
社長が言う絶対にこだわりすぎ、本来何が正しいか、何をすべきかという目的を考えなくなってしまうのです。
その方が頭を使わなくていいし、仮に失敗しても「社長の方針を守りました」と言い訳ができるから逃げ道にもなる。
だから人は社長のような絶対権力者の指示を前にすると、思考停止になりやすい。
しかし社長は一番大切な目的をちゃんと理解しているので、納得すればこだわりを捨てることができるのです。
異議を唱える 能力
いい仕事をしようと思ったら社長の“絶対方針”とは上手く付き合い、異議を唱える能力が必要です。
絶対方針を片側で守りつつ、他方では「本当にそれでいいのか?」と考え続ける。
盲目的に従うのではなく、自分の頭で考えることが大事です。
自分の頭で考える習慣は、人が成長する最も大切な条件の1つであり、人の上に立つには欠かせない資質でもあります。
そして、将来につながる非常にいい仕事の習慣です。
異議を唱える能力 を育てよう
社長の方針に異を唱えるなんてできない・・。そう思う人もいるでしょう。
確かに社長の絶対方針を覆すのは簡単ではなく、非常にタフな仕事です。
社長もこだわりがあるから「絶対方針」と言っていたわけで、覆そうとしたら最初は激しい反対に合うかもしれません。
しかし自分の感覚ってとても大事です。
好きか嫌いか、正しいか正しくないか、そういう自分の研ぎ澄まされた感覚と本音の意見をぶつければ、説得できる時があるはずです。
自分の感覚や思いを我慢し続けていたら、いずれ仕事がつまらなくなりますよね。
とりあえず、思い切ってぶつけてみる。
説得して駄目なら駄目で、それはその時ですよね。
以前私の同僚で、社長の説得が見事な方がいました。
横で見ていると、非常に堂々と自信をもって説得していましたが、後で聞くと、背中は冷や汗でビショビショだったといいます。
しかもその説得のために、前の晩に半徹夜して説得方法を考えたそうで、心から敬服したものです。
正にプロの仕事です。
ぜひ、こういった「異議を唱える能力」を育て、いい仕事ができる土壌をつくっていきましょう。
こちらの記事もおすすめです。