かつてこんな笑い話がありました。
転職面接で「あなたの得意な仕事は何ですか?」と質問された人が、「部長ができます!」と答えたというものです。
これが何を物語っているかというと、「部長のやるべき仕事」がとても曖昧だということです。
これは笑い話では済まされません。
本来の仕事が何かを知らずに「部長という役職っぽい仕事」に甘んじている部長が多くいたら、会社の競争力を弱めかねないからです。
あなたの会社の部長は、部長にふさわしい仕事をしていますか?
改めて点検してみましょう。
目次
会社の未来を左右する「 部長の仕事 」
中小企業においての部長というポジションは、営業、開発、製造、経理、人事などの重要な機能を統括している人たちです。
上司は社長であり、常に社長の考え方や会社のビジョンや方針を理解しながら、現場を動かしていく要の存在(キーマン)です。
キーマンであるということは、もし保守的で現状維持タイプの部長がいれば、会社の変革は思うように進みません。
組織マネジメントが苦手な部長がいれば、社員の能力を十分に引き出すことができず、会社の足を引っ張ります。
中小企業にとって「部長が日々どのような仕事をしているか」は事業発展の生命線と言えます。
こんな部長は危ない
1週間、部長が主にどのような仕事をやっているかを書き出してチェックしてみましょう。
例えば【営業部長】の場合、以下のような業務が並ぶようならば、会社は危険な状態にあると言えます。
仕事ができない営業部長
■各支店の業績確認
■営業部内会議の主催
■社長への報告・報告書作成
■勤怠や経費など各種申請の承認
■契約書の押印
■顧客とのトラブル・クレームへの対処
■問題社員への対応
■製造部との打合せ
■経営会議への出席
なぜだめなのでしょうか?
それは、「営業部長として会社を発展させるために動いていない」からです。
これらはただのルーティン業務で、躍動性が全く感じられません。
会社のキーマンである営業部長がこのようなルーティン業務に埋没してしまっている場合、会社の未来は明るいとは言えないでしょう。
部長が本来やるべき仕事
営業部長が「本来やるべきことを意識して仕事をしている」ならば、1週間の仕事として以下のような業務が並ぶはずです。
仕事ができる営業部長
■各支店の予実ギャップを埋めるための施策検討・指示
■営業データ推移(顧客別、商品別など)を踏まえた対策検討
■顧客の声の把握と対策
■市況および競合動向の把握と対策
■各支店長のマネジメント支援・指導
■社員のモチベーション動向の把握と対策
■人材育成施策の検討、実施
■次期キャンペーンの企画
■商品改良・次世代商品に関する開発部との打合せ
■残業削減のための営業事務プロセス改善打合せ
■社長への報告
ここに書かれた仕事からは、ビジネスのダイナミズムが伝わってきませんか?
ポイントは下記です。
- 営業の様々な社内外の動きやデータから課題を見出し、それに対する対策を実施している
- 現状の課題を踏まえ、商品改良など中長期的な仕事も進めている
- 自分の直部下である支店長のマネジメントを育てつつ、各社員の育成やモチベーション維持にも気を配り、組織の強化発展を進めている
現状維持ではなく、常に改善・進化を意識しているのが分かります。
もちろんこれら多岐にわたる業務全てを同時には無理ですが、やらなくていい仕事もありません。
優先順位を見極めながら進めていく必要があります。
部長の仕事は現状維持ではなく未来への布石
世の中の多くの部長は、現状維持のための業務に埋没していますが、現状維持だけでは発展できません。
本来は部長がやるべき仕事を社長が巻き取ってしまい、部長は現状維持的な仕事とどまっているケースもよく見られますが、それではどんなにスーパーマン社長であっても、会社は壁にぶつかります。
会社がもう一段上のステージに上がっていくためには、部長が下記のような状態であるべきです。
- 「現状維持の仕事」は部長の下のポジションに任せている
- 部長自身は「未来に向けた改善・進化」に時間を使えている
あなたの会社の部長は未来に向けた仕事に時間を使えていますか?
改めて部長の仕事を再設計してみてください。
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