「管理職になりたくない問題」の対処法(後編) 管理職不足 を解消する3つの観点

2021.11.18

前回のブログでは、「管理職になりたがらない人」が増加している背景と、今の時代の管理職の難易度の高さついてお伝えしました。
 

 
今回のブログでは、それに起因する管理職不足、管理職の成り手不足をいかにして解決するか?について具体的な対策を考えていきます。

 

部下が魅力を感じない管理職の日常

 
先週ある会社にて若手メンバーたちに「管理職が魅力的に見えない理由」をざっくばらんに語ってもらったところ、次のような意見がありました。
 

■上司が「管理職になったら残業代がつかないので手取りが減った」と嘆いていた

■我々部下の管理だけでなく自分の業務も抱えて大変そう

■よく残業をして上への報告資料作りをしている。

■報告会議が多い。 しょっちゅう部長に呼ばれプレッシャーをかけられてしんどそう

■何かと調整業務が多くて、実務能力がつかなそう

 
これでは若手メンバーたちに「よし、いずれ私も管理職になろう!」とは思われませんよね。

 
この状態から脱却する対策について、

「管理職の社内ブランディング」、「管理職サポート」、「管理職を楽にする業務改善」

という3つの観点から具体的な方法をお伝えします。

 

管理職の社内ブランディング

 
若い社員達が管理職に憧れる、もしくは挑戦してもいいかなと思わせる社内ブランディングが必要です。

 

管理職をヒーローにする

 
多くの会社の管理職は、経営陣と社員の間に挟まれ、部署目標達成の責任に追われ、いつも苦しそうな顔で仕事をしています。

しかし会社にとって、管理職はちょうつがいの左右をつなぐ大切な基軸の役割。

経営の考えを現場に伝え、現場の動きを経営に伝える、企業の発展の命運を握る存在と言っても過言ではありません。

そんな存在こそ「ヒーロー」にすべきではないでしょうか。

経営陣は管理職が会社にとって大切な存在であることを様々な場面で公言し、厳しい要望を出す一方で暖かく見守り、感謝します。

各部署で奮闘している管理職にもっとスポットライトを当てましょう。

 

働きに相応しい報酬を与える

 
ヒーローはその働きに相応しい報酬をもらうべきです。

前回お伝えしたように、管理職の難易度はどんどん上がっています。誰でもできる仕事ではありません。
 

例えば入社8年目、30歳の人が管理職に登用され、従前の年収が400万円、管理職になって500万円になったとします。

100万円のアップは嬉しいものですが、従前は月に5万円程度の残業がついていたので、実質の増加分は年40万円です。
 

これを経営の費用対効果で見た場合、以下のように40万円の投資(給与アップ)は大したコストではないと言えます。

 

管理職の給与アップ 費用対効果

 

■管理職のマネジメントのお蔭で社員の離職を1人防止できたら、後任を採用するコストや教育費用を大きく削減できます。

■管理職によるメンタルケアを厚くすることで休職する社員を1人防止できれば、その効果は非常に大きいです。

■管理職のよい指導で5人のメンバーの売上が上がれば、会社のリターンも大きく増えます。

  
このように費用対効果を計算すれば、管理職の報酬を厚めにすることは経済的にも十分利に適っています。

報酬を魅力的にすれば、管理職になりたいと思う人は自ずと増えます。

このようなことから、管理職の「報酬アップ」は実はコスパのよい投資と言えます。

 

「管理職はこうでなきゃ」という先入観を変える

 
管理職になる人は、「優秀でよく働き、リーダーシップがあって強い存在でなければならない」と思っている人も多くいます。

よって「自分に管理職は無理・・・」と尻込みしたり遠慮する人がいます。
女性に特に多い気がします。
 

しかし今の時代の管理職はもっと多様です。

統率型のリーダーもいれば、育成型・民主型のリーダーも求められています。

指示してその通りやらせるリーダーよりも、メンバーの話をよく聞き、メンバーが主体的行動するのを促すリーダーが時代には合っています。

 
ステレオタイプの管理職像を脱し、色々な人が管理職になれるよう裾野を広げていきましょう。
 

 
また、「管理職はフルタイム勤務である必要」も見直していいのではないでしょうか?

リモートワークも普及した今、育児休暇明けの女性が週2日勤務と一部リモートワークを組み合せトータル週3日で管理職の任務をこなすことだってできます。
 

管理職を選ぶ基準や、管理職の働き方など、もっともっと多様であっていいと思います。

それによって管理職予備軍を今よりもずっと増やせるでしょう。

 

管理職サポート

 
管理職が何をする仕事なのかよく分からないまま、管理職になるケースがあります。

心の準備も覚悟もないまま放り込まれるので、溺れてしまいがちです。
 

新任管理職が管理職につく前には、「管理職とはどのような仕事か?」を、期待することと共に説明します。

その上で管理職として最低限必要なスキルや考え方について学ぶ場も設けましょう。
 

管理職が活き活きと仕事をしていれば、それを見る部下たちにも魅力的に映ります。

管理職不足

 

管理職同士で助け合う場をつくる

 
孤独な戦いをしている管理職がいるものです。

部下との関係性に苦労していたり、マネジメント業務とプレイヤー業務の両立に苦しんでいたり、色んな悩みを1人で抱えて苦悩しているのです。

管理職同士が集まり、お互いの悩みを相談したり、互いに学び合う場を用意してみてください。

管理職の育成やモチベーション維持に効果があるでしょう。

 

社員に自律的に仕事させる

 
何でもかんでも上に聞いて判断を仰ぐ人がいると、管理職の仕事がどんどん増えてしまいます。

部下がもっと自律的・主体的に行動してくれれば、管理職は本来やるべき事に集中できます。

日常の指導にはじまり人事制度や業績評価まで、会社全体で「社員の主体的な取り組み」を促す仕組みにしていきましょう。

 

管理職を楽にする業務改善

 
常に業務に追われ忙しくしている管理職を、少しでも楽にしてあげられないでしょうか。

時間に余裕ができれば、
・長期的な大事な仕事に手をつける
・メンバーとのコミュニケーションを深める
・気分転換する

などなど、バランスのいい仕事ができます。

 

 

業務IT化の徹底 

 
今は様々なクラウドシステムが出ており、それらを活用することで事務作業やルーティン作業を大きく効率化することが可能です。
 

 

  • 営業データの集計
  • 各種報告書類の作成
  • 勤怠管理のチェック
  • 残業や休暇などの承認
  • 稟議承認、経費などの申請承認
  • 業績評価入力 など

 

これらについて、できるだけITツールを取り入れて自動化・効率化を進めましょう。

管理職の仕事の時間を分析すると、半分近くは事務作業やルーティン業務などに埋没している場合があります。

管理職には管理職たる価値の高い仕事をやってもらい、その価値に見合う報酬をもらえる仕事にしていきましょう。

 

上への報告や調整業務を減らす

 
上司と部下にはさまれる中間管理職は、報告や調整業務に相当な時間を費やしている場合があります。
 

例えば
 

  • 上司に報告する準備のために、部下の仕事の状況を確認する
     
  • 現場で使われている資料を、上司報告書用に作り直す
     
  • 上司から「〇〇の件はどうなっている?」と聞かれ、〇〇担当の部下に確認した上で上司に報告する
     

 

 
これらの業務に共通するのは、中間管理職の役割が間に入る伝書鳩に過ぎないということです。

伝書鳩業務に膨大な時間を使っているのは非常に勿体ないですし、中間管理職にとって仕事のやりがいを感じません。能力も退化していきます。
 

先のIT化にも関係しますが、現場が使っている報告書から自動的に上司報告書類が作成できるようにするか、現場の報告書と上司向けの報告書を統一した方が良いでしょう。

また、部下の仕事の状況は週報などで中間管理職もその上の上司もいつでも確認できるようにします。

中間管理職は上司報告のためではなく、部下の業務が上手く進むための指導や支援に重点を置いた仕事ができるようにしましょう。

 

まとめ 管理職は経営者への第一歩

 
管理職はゼネラルな能力なので、特定分野の専門家より価値が低いと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

管理職は経営者への第一歩です。

管理職として組織を束ね、組織目標の実現に向かって総力結集していける人は、やがてより大きな事業の責任者となり、さらに経営陣へと上がっていくことが期待されます。
 

管理職とは、“経営”という仕事の専門性を磨く場です。

決して、上と下に挟まれ、プレッシャーと部下の尻ぬぐいと大量の調整業務に追われるだけの存在ではありません。
 

企業の発展の要である「管理職」を決して埋没させず、大きく育てていきましょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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