「 求人に応募が来ない 」と嘆く採用担当者へ|採用が成功する求人サイトの選び方

2023.07.28

 

中途採用を進める際の有効な手段として求人サイトの活用が挙げられます。

求人サイトは基本的に掲載に対して料金が発生するので、仮に1人も採用ができなかったとしてもお金は戻ってきません。
 

実際にあなたもこんな経験があるのではないでしょうか。

時間とコストをかけて求人掲載したにもかかわらず、ほとんど応募が集まらず、採用はゼロ。

こんな時は、まるで求人サイトの会社に寄付したような気持ちになります。
 

しかし、適切なアプローチをとれば求人サイトの活用は大きな成果を生む可能性があります。

今週のブログでは、求人サイトの中から自社の採用に適したサイトをどのように選んだらよいか?についてお伝えします。

 

求人は「釣り」と同じく「ターゲット」が大事

 

求人サイト選定の参考として、釣りを例にお話します。
 

釣りはどの魚を狙うかというターゲット設定が大事です。

釣り人から水中の魚の様子を直接見ることはできませんが、水深によって泳いでいる魚の種類が異なるということはわかっています。

仮に水深3メートルの池であれば、水底付近を泳いでいる魚、水深2メートル付近を泳いでいる魚、浅瀬の水深1メートル前後を泳ぐ魚と、それぞれ水深によって魚の種類が違います。
 

したがって、どの魚を狙うかによって、釣り糸の長さを調整する必要があります。

例えば水深2メートルエリアの魚を狙うのに、釣り糸の長さが水面から1メートルであれば決して魚は引っ掛かってくれません。 

 

また狙う魚の口の大きさに応じて針のサイズも変える必要があります。

大きな魚を狙うのであれば、大きな釣り針でなければなりません。
 

当然、魚によって餌も異なります。

狙う魚の好きな餌をつけてあげなければ、興味を示してくれません。

 
そしてもっと大事なことは、釣り糸を垂らしているエリアにそもそも魚がいるか?ということです。

そこに魚がいなければ、餌、釣り針、糸の長さを完璧にセットしたところで、釣果は得られません。 
 

求人サイトの選定、活用も同様です。
 

欲しい人材がそもそもその求人サイトにいるか?

その人材がサイトを訪問した時に自社の求人原稿が適切に表示されるか?

求人内容が対象の人材の興味を引くものになっているか?

 

以上の3点を事前にしっかり設計しながら求人サイトを選ぶこと。これが採用成功にとても重要です。

 

【大前提】求人サイトの担当者と良い関係を築く

 

求人サイト選定の大前提として頭に留めておいて欲しいことがあります。

それは「求人サイトの営業担当者と良い関係を築いておくこと」です。

なぜなら、求人サイトに関する詳しい情報は一般には公開されていないので、営業担当者から直接情報を得る必要があるからです。

「質問して教えてもらうべきこと」がたくさんあるので、協力してもらえる関係性を普段から作っておいてください。

これにより、求人サイトの特長や効果的な活用方法を的確に把握することができます。

 

採用ターゲットを決める

 

まず最初に採用ターゲットを「明確に定める」必要があります。
 

例として、コーヒーチェーン運営企業の関西エリアにおける正社員採用を考えます。 

この会社の理想的ターゲットは「20代若手、意欲的な人材」ですが、昨今の人手不足により理想的な人材の採用が困難になっています。

そこで新たなアプローチとして、子供がある程度大きくなって働く時間がとれるようになった「主婦層で30代~40代」をメインターゲットとすることにしました。

転勤のない地域限定職種とし、フルタイム勤務だけでなく、週4日勤務も選べるようにしました。
 

次の話とも関係してきますが、採用は企業のニーズと求職者のニーズがマッチして初めて成立するものです。

よって、転職市場に存在する求職者層を念頭に、どのような求職者が我々の会社に興味を持ってくれるかをよく分析し、採用ターゲットを明確に設定することが重要です。

 

ターゲット人材が求人サイトにいるか?を確認する方法

 

先ほどターゲットとして設定した「関西エリア、30代~40代の主婦層」がその求人サイトに存在しているか、求人サイトの担当者に確認します。

 
求人サイトはよく、「登録会員〇百万人!」などとアピールしていますが、このような数字は一切気にする必要はありません。
 

その理由は2つあります。

①    登録会員の多くは、過去に登録したまま放置していたり、既に転職が決まったけど脱退していない、また様子見で登録している人たちも含まれているため、実際に今現在転職活動しているアクティブな登録者数ではない

②    「〇百万人」というのはサイト全体の数字のため、実際に採用したい「30代~40代かつ関西エリアの主婦層」とは直接関係がない。

 

はっきりした数字を知るためには、求人サイトの営業担当者に

「アクティブ会員かつ30代~40代の主婦層で関西エリアの人は何人いますか?」

と個別に確認します。

 
アクティブの定義は難しいですが、「過去3カ月以内にサイトに登録した人の数」を尋ねるのがいいでしょう。過去3カ月以内に登録であれば、転職活動を始めて間もない人たちなので、アクティブに動いている可能性が高いです。

これにより、ターゲット人材が実際に求人サイトに存在するかどうかが明らかになります。

 

求人に応募が来ない

 

続いて、上記のアクティブな会員数のうち、さらに「接客業に興味がある人」がどの程度いるかを確認してください。

ターゲットとする「関西エリアで30代~40代の主婦層」がいたとしても、接客業に全く興味がなければ、採用につながらない可能性があります

さらに、同様のターゲットで募集している同業他社(または近い業種)の実績事例を聞いておきましょう。

「関西エリア、30代~40代の主婦層」をターゲットに募集した接客業の求人に、実際に何人の応募が集まり、何人の採用に至ったか?を確認することで、その求人が効果的かどうかを検証できます。

(違う会社の事例であるため、給与額や条件面の差異はあるので、そこは比較考慮する必要はあります。)

 

 

最後にもう1つ、求人サイトの登録者数の今後の見通しについて聞いておくべきことがあります。

求人サイトは生き物なので、前回応募が多かったからといって、必ずしも今回も同じように多くの応募があるとは限りません。

サイト自体が広告予算をかけて会員獲得に力を入れる時期は登録者がたくさん集まりますが、広告を減らせば自ずと減少します。つまり、常に会員獲得力は変化しているのです。
 

したがって、求人サイトとして今後どのような広告展開をする計画かを知ることが重要です。

これにより、求人サイトが現在活発な会員数を維持するか、あるいは減少するかを把握し、今すぐのタイミングで求人を出すべきか? または少し待ってから出すか? などの判断が可能になります。

 

ターゲット人材が自社の求人情報を見てくれるか?を確認する方法

 

ターゲットとする人材がいることが分かったら、次はその人材が確実に自社の求人情報を見てくれるか?を検証することも必要です。

どんなに会員数が多くても、その人たちに自社の求人情報を見てもらえない限り、応募は来ません。

よって応募にいたる可能性を予め知ることが重要です。

 

求職者が求人にたどり着く方法

 

求職者が求人サイトに掲載されている個々の会社の原稿にたどり着く方法は主に5つあります。
 

求人サイト上での検索

勤務地、年収、職種などの希望条件を入れて検索し、ヒットした求人情報を見る
 

②求人サイトからのお知らせ

定期的に送られてくるメールやアプリのおすすめに記載されたプッシュ求人情報のうち、気になるものをクリックする
 

③求人サイトの特集

求人サイト上の特集記事(例:「働きやすい飲食店の仕事特集」)をクリックしてそこに出ている求人情報を見にいく
 

④Google等での検索

検索サイトで「関西 転職 接客」などのキーワードで検索して表示される求人情報を見る(検索結果に自社の求人情報が上がってくれば見てもらえる可能性が高まる)
 

⑤スカウト

求人情報を掲載した企業から送られてくるスカウトに興味をもって見にくる

 

 

①求人サイト上での検索については、掲載検討中の求人サイトにはどのような検索軸が利用され、「30代~40代の主婦かつ関西エリア」の人材がどのような検索方法で探しているか確認しましょう。

その検索のやり方に近い形で自社の求人情報を設定できれば、見てもらえる可能性が高まります。

 

②求人サイトからのお知らせは、サイトのメールやアプリからのおすすめ求人が、誰にどのようなロジックで送られるか確認し、自社の求人情報をどのように設定すると見てもらえる確率が高まるか、求人サイト担当者に相談しましょう。

 

③求人サイトの特集については、当該求人サイトにおいて近いタイミングで「飲食店の募集に関する特集」や「接客業務特集」など応募促進施策が予定されているか聞いてみましょう。

 

④Google等での検索は、最近はindeedの情報が上位に表示されることが多いため、当該求人サイトの原稿がindeedに検索されやすいかどうか、ややテクノロジーの話にはなりますが、聞いてみてください。

 

⑤スカウトは自社から求職者にラブレターを送れる機能です。

何通までスカウトを打つことができるかの制限数や、スカウト送付に対する開封率や返信率などの実績データも確認しましょう。

 

以上のステップで確認をすることで、ターゲット人材が自社の求人情報に気づき、興味を持って応募する可能性がわかります。

こうした情報により、どの求人サイトが、今回の「30~40代の主婦層かつ関西エリア」の募集に適しているかが明らかになります。

 

ターゲットに訴求する求人原稿をつくる

 

ターゲット人材がいることがわかり、原稿を見にきてくれる可能性も高めたら、最も大事なのは「求人原稿がターゲット人材に関心をもってもらえる内容になっているかどうか」です。

 
せっかくターゲットの「30代~40代主婦層」が原稿を見てくれても、「20代若手に働きやすい職場」と感じさせてしまったり、男性中心の職場に見えてしまう原稿になっていたら、応募に至りません。

ターゲット層に魅力を感じてもらえる原稿に仕上げられるか否かが決め手となります。
 

同業他社や類似業種の直今の求人原稿事例を見せてもらい、当該求人サイトの原稿のクオリティをチェックしましょう。

似たようなありきたりの内容になっているか、会社毎の個性を引き出した原稿になっているか、その違いに注目です。
 

ただし、求人サイト運営企業が抱える原稿制作スタッフの能力や原稿クオリティはバラバラです。

もし過去にいい原稿を書いてくれたケースがある場合は、その時のスタッフを指名してお願いするのも一つの方法です。

 

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一番よくないのは丸投げです。

求人サイトのスタッフに完全に任せてピントのずれた原稿を作成されてしまったら、それまでの努力が全ての水の泡となります。

だからこそ、決して手を抜かずに一緒になって原稿を作り上げる姿勢でいきましょう。

場合によっては、求人サイトの原稿の出来が悪ければ彼らに頼らず、全て自分で原稿を書き上げるくらいの気合がある方が成功しやすいです。

 

まとめ

 

有料求人サイトの掲載は失敗すると投じたお金が全て無駄になってしまいます。

「 求人に応募が来ない ・・・」という事態になってしまう前に、どのサイトを選定すべきか、綿密に比較検討しましょう。

適した求人サイトを選んで採用を成功させるためには、以下のステップを着実に行ってください。
 

1 採用のターゲットを具体的に設定すること

2 そのターゲット層が求人サイトの会員としてそもそも存在しているかを確認すること

3 求人原稿がターゲット層にきちんと見てもらえる動線が確保されるかを確認すること

4 ターゲット層が興味を持ってくれる求人原稿が作成されること

 

何より大事なのは、企業の採用担当者が絶対に結果を出す意志を持って進めることです。

求人サイトの営業担当者の提案に乗っかってすべてをお任せするのはおすすめしません。

自分の頭と目でどの求人サイトが有効かを見極め、良い原稿を完成させるところまで、自らしっかり入り込んで進めるのが成功への近道です。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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