上司の言うことは絶対 ?
あなたの「上司」は誰ですか?
あなたの仕事の内容を決めるのは誰ですか?
どちらの質問も、上司の方のお名前をお聞きしたいわけではありません。
一般的には
「上司 = 部下の仕事内容を決め、仕事の優先順位を指示し、業績評価をする存在」と考えられています。
そうすると、あなたの上司とは「組織図上であなたの上に位置する人物」でしょうか?
禅問答のような質問になってしまいましたね。失礼いたしました。
「Mission is Your Boss」 という言葉があります。
「仕事のミッションがあなたの上司」という考え方です。
今週のブログは「ミッションが上司」という思考の重要性に焦点を当て、この思考を持つことがいかに大切で、それが長きにわたって良い仕事をする秘訣であるということを詳しくお伝えします。
Mission is Your Boss
Mission is Your Boss
これは、真の上司はあなたの組織図上の上司ではなく、仕事のミッションであるという考え方です。
ミッションとは、会社単位で言うと「会社が果たすべき使命」「社会における会社の存在意義」です。
会社のミッションをあなたの所属する組織に置き換えると、「会社の果たすべき使命に向けて部署としてやるべきこと」が組織ミッションです。
さらに一社員に置き換えると「会社/組織のミッションに向けてあなたが為すべきこと」が個人ミッションです。
「Mission is Your Boss」とは、組織ミッション/個人ミッションがあなたのボスであり、それに従って仕事をするという考え方です。
例えば、上司の指示が「Aのやり方で進めなさい」であったとしても、
あなたがミッションと照らし合わせてBのやり方でやるべきだと強く思うなら、上司を説得して(説得できなくても)Bのやり方で進めます。
つまり、上司の指示よりもミッションが優先されるのです。
上司を絶対視するリスク
会社員である以上、上司の指示に背くことは勇気を伴います。
上司の言っていることがおかしいと思っても、上司からの評価が気になり、ついつい従わざるを得ないものです。
しかし、それが本当に会社のため、社会のため、上司のためになっているでしょうか?
さらに、あなたのキャリア、人生のためになっているでしょうか?
以下2つの事例をご紹介します。
事例1:品質不正
製造業では品質不正の問題が頻繁に発生し、その都度ニュースになります。
その問題の構図はどれもほぼ同じです。
厳しい品質基準をクリアしたいが、現場の技術やコストの制約で基準に追いついていない
↓
しかし上司からは「絶対に期限までにクリアしろ!」という強いプレッシャーがかかる
↓
担当者はもはや手立てがなく、「品質基準をクリア!」という偽造書類を作る
↓
それを上司が見て見ぬふりをする
この一連の行為において、関係者それぞれのボスは誰でしょうか?
社長や役員からの評価を恐れる部長がいて、その部長からの評価を恐れる課長がいて、さらにその課長からの評価を恐れる担当者がいる。
このように、各々が自分の上司からの評価や社内の立場ばかりを気にしています。
しかし彼らの行動は会社のミッション実現につながっていません。
会社はお客様に価値ある商品・サービスを提供し、その対価で利益をあげます。
持続的に会社が発展することで、株主にも喜んでもらい、何よりも従業員とその家族が安心して働ける環境を維持する。
それがミッション(存在意義)のはずです。
ところが不正問題の発覚は、ミッション追求とは真逆の事態をもたらします。
お客様の信頼を失い、業績が悪化し、雇用を守れなくリスクすら出てきます。
もし、部長も課長も担当者も「自分のボスは直上司ではなくミッションだ」と思っていたら、どうなっていたでしょうか??
事例2:部長がOKでも社長から却下
部長の指示に従って業務を進め、部長からはOKをもらったものの、社長の最終承認で却下されることがあります。
例えば「子供の笑顔と心身の健康」をミッションの1つとして掲げている保育ビジネスの会社があります。
昨今の食材の値上がりを背景に、部長から担当者のCさんに給食の見直しが指示されました。
「給食費を値上げするとともに、食材の見直しやおかずを減らすことも念頭に、事業利益率を昨年を上回る水準で着地させるように」
ところがCさんは、この指示に心の底では賛成できませんでした。
子供たちはいつも給食をとても楽しみにしており、子供の健康を良く考えた食事は父兄からも評判だったからです。
事業利益率も大事だけど、そう簡単に割り切ってしまってよいのかCさんは逡巡しました。
しかし上司に逆らうことはしたくないと考え、結果的に指示通り仕事を進めました。
いよいよ社長から承認をもらうミーティングの日です。
Cさんと部長で作成した改善プランを部長が説明したところ、社長は大反対でした。
「食材の高騰は確かに問題だが、単純におかずを一品減らしていいのか?」
「食材クオリティをそこまで落としていいのか?」
「それで父兄は納得するのか?」
「子供の笑顔と健康というミッションは守れるのか?」
「利益率のためだけにそんな判断をしていいのか?」
と、ボコボコにされました。
社長が喜ぶ提案をしたと思っていた部長は真っ青になっていました。
加えて、社長から
「Cさん、あなたも本気でこの案がいいと思っているのですか?」
と聞かれてしまいました。
部長が横にいる手前、「私はそうは思いませんでした」とも言えず、もごもごして終わりました。
部長とCさんは、改めて、子供、父兄、会社がそれぞれ納得できる解決案を検討することとなりました。
1からの検討やり直しです。
ここからいくつか教訓が学び取れます。
上司の言うことが常に正しいとは限らない。上司も間違うことがある
部長は利益率改善の案を持っていけば社長は喜んで承認すると思い込んでいたが、それは誰のための提案であったのか?目的のずれた仕事をすると、結果として余計に手間がかかる
上司の指示に対して、Cさんは何かおかしい?と思った以上、それをスルーして進めるのはよくない。結果として誰のためにもならない
仕事は上司を喜ばせるためにやるものではない。上司に言われた事を何も考えず実行することでもない
部長もCさんも「Mission is Your Boss」という考えが足りませんでした。
この考え方は、短期的には上司と衝突することもあります。
しかし、会社は社会あっての存在である以上、ミッションを追求し続ける使命を負っています。
しんどい道であっても、この道を追求することで結果として会社は良い方向に進み、最も効率よく解に辿り着くことができます。
まとめ
変化のスピードが早い時代、社長であっても上司であっても、常に正しい判断ができるとは限りません。
その時々の状況に応じて会社として適切な判断をするためには、現場を熟知している最前線の人たちがとても重要です。
その人たちが、自らミッションのために何をすべきか考え、自分の考えが上司と違っても意見をぶつけられる会社は発展していけるでしょう。
逆に、上司の顔を見て仕事する人しかいない会社は、早晩マーケットから取り残されていくはずです。
「ミッションが上司」は、決して直属の上司に従わないという意味ではありません。
ミッションに照らし合わせて何をすべきか考え、その考えを上司にも伝え、仮にお互いの意見にずれがあれば議論して摺り合わせていきます。
上司とあなたはチームです。
お互い目指すところは同じなので、その目的、目標を意識しながら、今自分達は何をすべきか話し合いましょう。
あなたが本気で考え行動しようとしているならば、その熱意は上司に伝わり、上司も納得してくれるはずです。
Mission is Your Boss!
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