中途採用はなかなか手強い仕事で、手間がかかる割に成果が出にくいと感じている人は多いと思います。
特に中小企業は知名度や際立った特徴がなく、条件面では見劣りすることも多いため、なかなか 中途採用がうまくいかない ・・・と悩むこともあるでしょう。
時々いい人材に巡り合い、喜んで内定を出しても、結局は他社を選ばれてしまうという悔しい思いを何度もされているのではないでしょうか。
今週のブログでは、採用弱者が弱者なりの戦略で採用を成功に導く方法について、事例とともにお伝えします。
目次
「ピカピカ人材」にこだわるのは非合理的
「若くて・意欲的で・実務経験があり・コミュニケーション力が高く・しかもタフで・長く働いてくれ・給料は高すぎない人材」
このような「ピカピカ人材」が要らない会社は、恐らく世の中には存在しないでしょう。
採用活動を頑張っていれば、ごく稀に奇跡的にこのような人材を採用できるかもしれません。
しかし、継続的に何度も成功させることは不可能です。
ピカピカ人材を求めて1年以上採用活動を続け「採れない・・・」とぼやく会社もありますが、このような採用活動は非合理的な「戦略なき採用」です。
それでは採用弱者は一体、どうしたらいいでしょうか?
弱者の戦略
ここで考えるべきは、「弱者の戦略=他社がやらない方法で採用活動に勝ち抜くこと」です。
ピカピカ人材の要件に対して、以下のような疑問を投げかけてみましょう。
■若い人
- 若くなければできない仕事か?
■意欲的な人
- 与えられたことを着実にコツコツこなす人では駄目か?
■優秀な人
- 業務に必要な部分ができる人であれば、他の弱点は目をつぶれないか?
■実務経験のある人
- 本当に経験がないとできない仕事か?入社してから習得させられないか?
■コミュニケーション力がある人
- 周囲とあまり交流せず黙々と業務に集中する人では駄目か?
■タフな人
- (幹部採用はともかく)一般社員の採用でそこまで必要か?
- 周囲のサポートで何とかならないか
■長く働ける人
- 今の時代はいずれ転職する前提で考えていいのではないか?
■正社員
- 本当にフルタイム稼働でなければならない職種か?
- 週3日など、兼業の人では駄目か?
このようにしてピカピカ人材の要件を緩和し、現実的に採用できる人材ターゲットに落とし込んでいきます。
もちろん全ての要件を緩和する必要はありませんが、自社の考え方に応じて、募集する職種に応じて、緩和できるところは緩和することで、採れる可能性が高まっていきます。
隠れた原石を探せる穴場ゾーン
職種によりますが、多くの会社が書類選考段階ではじく人材こそ、弱者にとって思わぬ良い人材に巡り会えるチャンスがあります。
以下の穴場ゾーンは隠れた原石が埋もれている可能性があるので、狙ってみる価値が十分にあります。
年齢が高い人
昔は「35歳以上は転職できない」などと言われていました。
今は年齢制限はゆるくなっているものの、やはり40歳超、さらに50歳超になるにつれ、書類選考で通る確率が落ちていきます。
しかし40代、50代で十分な経験を積んだ方々は多くいるので、そこは1つの狙い目です。
正社員経験が少ない人
派遣社員時代が長い人や一度専業主婦になった人など、正社員経験が少ない人はなかなか採用されません。
しかし派遣社員の中にも優秀で積極的に仕事をしてくれる人材がいます。正社員以上に頑張っている人もいます。
あなたの会社にも既にそういった方がたくさんいるのではないでしょうか。
一度は専業主婦になった人の中にも、以前はバリバリに働いていた営業ウーマンなど実力のある人材が埋もれています。
そういう人材が眠っているにもかかわらず、書類選考で落とす会社が多いので、チャンスがあります。
体調を崩した経験がある人
体調を崩した経験がある人は採用されにくい傾向があります。
しかし、あなた自身や同僚を見回してみてください。
多くの人が一度くらい仕事の負荷やストレスで体調やメンタルが揺らいだ経験を持っているのではないでしょうか。
もちろん、どのような場面、どのような人間関係の中で体調を崩したかはよく確認する必要がありますが、普通の環境であれば十分に活躍できる人もいます。
ロイヤリティが高くない人
一般的には「ロイヤリティが高い人材=受容性が高く会社の文化に適応しやすい人材」が求められがちです。
一方で、一見愛想がなく、自分の世界を強く持っている人は「うちの文化に合わない・・・」と敬遠される傾向があります。
しかしそのような人材の中には、仕事へのプロ意識が高い人、他人の意見に振り回されずにやるべき仕事を追求する人も含まれています。
会社の根本理念に反する人材は避けた方がいいですが、
理念さえ共有できれば、「タイプの異なる人材」は積極的に取り込んだ方が、会社にとってはプラスになるでしょう。
「弱者の戦略」事例
法務の専門性ある人材がおらず、総務担当者が何とか兼務でこなしているA社では
「法務課長」となる人材を探しましたが、なかなか採用ができませんでした。
特にネックになったのが、「活発で、コミュニケーション力が高く、企業文化に合う人」を求めていた点でした。
中小企業では法務専門の人材自体が少ない上、タイプ的には静かにじっくり仕事に取り組む人が多いからです。
そこでその条件を緩和し、「愛想が悪くても現場に厳しい指摘をしてくれる人材、実務を確実にこなしてくれる人材であれば十分」としたことで、30代後半の法務課長を採用することができました。
経理は需要に対して人材が足りないので、なかなか中途採用がうまくいきません。
経験が可視化されており転職しやすい職種ということもあり、採用してもすぐに転職してしまうケースもあります。
経理担当者が辞めた後の後任の補充を進めていたB社。
当初は「実務経験があり、30代までで、長く続けてくれそうな人材」を求めていましたが、うまくいきませんでした。
そこで一旦、年齢にはこだわらず「実務経験と仕事への意欲、プロ意識」を優先して探したところ、採用が成功しました。
採用できたのは50歳超の女性。正社員経験は長くないですが、高い成長意欲とプロ意識を持って仕事をしてきた人でした。
法人向けIT商材を手掛けているC社では、営業部長を探していました。
これまでは社長が営業部長を兼任していましたが、会社の拡大と共に専任を置く必要が出てきたためです。
当初は「法人営業の管理職経験が豊富で、人材管理も育成もしっかりでき、人格的にも尊敬されるような人材」を求めていました。
良い人材は面接には来るものの、これらの条件に適う人材は当然他社も欲しがるため、度々内定辞退されていました。
そこで考えたのが、週3日正社員という方法です。
業務分析をしたところ、営業部長の本質的な仕事は必ずしも週5日フルタイムは必要ないことがわかりました。
事務的業務や承認業務は権限を課長に下ろし、部長には週3日で「業績を伸ばす」「人材を育成する」業務に絞って仕事をしてもらうこととしました。
残りの2日は他社で仕事をしてもらっても構わないし、ご本人の自由に任せることにしたので、非常に特徴のある求人に転換することができました。
結果として、2社で営業責任者経験があり、独立志向も強い方を採用することに成功しました。
まとめ
採用弱者が採用を成功させるために大事なことは、「どこの会社も欲しがるようなピカピカ人材」を求めるのではなく、「隠れた原石」を掘り起こすことです。
どのような人材を狙えば、他社が見落としている良い人材を採用できるでしょうか?
ぜひ合理的・戦略的に考えてみてください。
募集職種の業務内容、求める役割をしっかり見極め、色々な可能性を広げて採用を成功させていきましょう。
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