【 未経験者採用 のすすめ 】経験者にはない未経験者のメリットに注目

2021.07.15

2021年5月の「求人数」は前年同月比16.2%増、前月比2.1%増となっています。

「転職希望者数」は前年同月比27.2%増、前月比3.6%増となっており、企業側も求職者側も動きが活発化しつつあるのがわかります。

「doda 転職求人倍率レポート」より)

 

私がお客様と話をしていても、中途採用への意欲を強く感じます。

しかし、採用意欲の割にいい人材が採用できている会社は多くありません。

やっといい人材に出会って内定を出しても、優秀な人材は複数企業から内定をもらうため、辞退されてしまうケースが多いのではないでしょうか。

このような激しい人材争奪戦において、中小企業が中途採用で狙うべきは「 未経験者採用 」です。

今週のブログは未経験者採用を上手く進めるための方法についてお伝えします。

 

経験者採用からの発想転換

 
一般的に中途採用ではこのような方法を取ります。

① 「業界経験者×職種経験者」の即戦力を求める。

② ①が難しい場合は業界の経験はなくとも職種経験はある人を探す。

①も②も難しい場合は未経験者を中途採用することになりますが、その場合は社会人3年目位までの若手採用になることが多いです。

この発想を少し変えて、未経験者採用をする場合でも20代後半~30代前半の層をターゲットとして考えてみてはいかがでしょうか?

以下でその理由を説明します。

 

未経験者採用のメリット

 
「業界経験者×職種経験者」の採用はレッドオーシャンで、なかなかいい人材を採ることができません。

経験者採用の安心感や即戦力としての活躍は当然メリットですが、実は未経験者採用にも相応のメリットがあります。

 

採用がやりやすくなる

 
採用ターゲットを未経験者に転換すれば、対象者のパイが大きく広がるため採用がやりやすくなります。

 

吸収力がある

 
経験者は前職での癖がマイナスに作用する場合もありますが、未経験者は経験がない分、フレッシュな気持ちで新しい仕事に取り組んでくれます。そのため、新たな職場環境に馴染みやすく、吸収力があります。

 

報酬を上げる余地がある

 
経験者採用は他社との取り合いで報酬が高くなりがちですが、未経験者であれば比較的リーズナブルな報酬からスタートできます。

スタートが低い分、入社後に報酬を上げる余地が十分あるので、頑張って成果を出してくれれば給料をどんどん上げて、意欲喚起することができます。

 

周囲との関係性が良い

 
経験者採用の場合、上司や同僚が「お手並み拝見」的なスタンスになり、採用した人材を放置しがちです。

未経験者の場合、周囲が責任をもって教えようとするのでチームに早く溶け込むだけでなく、上司や同僚も指導を通じて自ら学びます。

 

このように、「即戦力になる」と言われる経験者採用と比較しても、未経験者採用には十分なメリットがあります。

 

未経験者採用の成功事例

 
未経験で採用され、新たな仕事で活躍している人はたくさんいます。

その一例をご紹介します。

 

広告会社の営業企画係長Aさん

営業事務の経験しかありませんでしたが、営業企画の担当者として、28歳の時に採用されました。入社当初は事務業務が中心でしたが、徐々にカバー範囲を広げ、受注後の事務フローの効率化、商品パンフレットや販促ツールの制作などを担うようになりました。

更に顧客管理システムを新たに導入するタイミングで、社内責任者として外部専門家と共にシステムの企画~開発に関わり、社内の営業担当者との調整や指導まで行いました。

今や最も営業の業務フローに精通した人材となり、営業企画課長として活躍しています。

 

人材派遣会社の営業部長Bさん

飲食店の支配人などを経験していたBさんは、30代後半の時に知人の縁で人材派遣会社の営業部長として採用されました。

業界経験も営業経験もありませんでしたが、人心掌握や組織マネジメントに長けており、誠実な人柄と共にすぐに組織に受け入れられました。

向学心が旺盛で、新しい仕事に必要な知識を貪欲に吸収し、前任営業部長より遥かに高い成果を出せる部署に育てました。

 

未経験者採用で活躍する人の共通点

 
ご紹介した2人以外にも、「研修会社の営業 → ITプロダクトの事業責任者」「メーカーの営業 → システム開発会社の人事」などなど、色んなパターンで未経験者採用成功例があります。

未経験者採用でありながら、新たな仕事で活躍する人には5つの共通項があります。

この5つは実際に未経験者を採用する時に、ぜひ見極めていただきたいポイントでもあります。

 

前職でしっかり仕事をしていた

 
当たり前かもしれませんが、職種が何であれ、前職の仕事でしっかり信頼される仕事をしていたかは何より重要です。

面談で聞くことができますし、場合によっては本人の了承を受けて前職上司に話を聞いてみるのもいいでしょう。

 

感じが良い

 
一緒に仕事していて気持ちのいい人は誰にも好かれます。
特に未経験者採用で入る人は周囲から仕事を教わる必要があるので、好かれる人柄であることは欠かせません。

 

前向きで新しいことに飛び込める

 
経験のない仕事に取り組むので、チャレンジ精神がいります。
どうやっていいわからなくても、上手くいくかわからなくても、思い切って飛び込んでいけるマインドがある人がいいですね。

その人の過去の行動や意志決定から見極められると思います。

 

思考力・論理性がある

 
全く新しい環境、仕事内容で早期に立ち上がっていくには、一定以上の思考力や論理性が求められます。

面接での会話はもちろん、適性検査等の活用で見極めることが可能です。

 

学習力(人から聞く、本で学ぶ)がある

 
新しい業務を習得するためには自ら主体的に学ぶ力が必要です。他人が教えてくれるのを待っているだけでは限界があります。

他の人にどんどん聞いて教わる姿勢であったり、本などを通じて高速でインプットしていく積極的な学びができる人材がふさわしいですね。

過去の仕事においてどのような学び方をしていたか、是非聞いてみましょう。

 

未経験者採用を成功させるために

 
未経験者採用では、その人の過去の経験や能力が新しい仕事にどう活かせるか?という判断を正しく行なわねばなりません。

上記で共通項を5点お伝えしましたが、募集職種によっては、その職種特有の適性もあるはずです。

例えば、企画系業務であれば「数字に強い」、営業であれば「話のわかりやすさ、伝える力」、採用業務であれば「営業的な開拓力や量をこなす力」などなど。

募集職種に応じたスキル条件が明確になれば、面接で何を聞けばよいか、見極めるべきポイントは何かが明確になり、内定を出す決断がしやすくなります。

 

なお募集を出す際に、単に「未経験者可」と書くだけではインパクトに欠けます。

未経験者が興味を持ってくれるよう求人の出し方に工夫をしましょう。
 

採用担当者の採用ならば、

「採用未経験者歓迎。営業経験があり、行動力や折衝力に自信のある方はぜひご応募ください。」
 

労務担当者ならば、

「労務未経験者歓迎。細やかな事務作業が得意で、法律など学ぶことが好きな方。組織を裏方から支えるのにやりがいを感じる方のご応募をお待ちしています。」
 

このように記載することでターゲットに興味を持ってもらうことができます。

 

まとめ 

 
あなたの会社で採用が思うように進まないならば、思い切って未経験者から良い人材を採用する方向に舵を切ってみてはいかがでしょうか。

日本の労働人口は減少を続けているため、未経験者採用で間口を広く設定しておくことは非常に大切です。

経験者採用とは違った未経験者採用のメリットも考えながら、会社の発展の原動力となる人材を広範囲から探していきましょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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