あなたの会社の「 採用力 」はどのくらいあるでしょうか?
今の時代の人材採用は、ただ漫然と求人広告を出して応募を待っているだけでは、なかなかいい人材を採用できません。
必要なのは、採用を成功させるための必要条件を見極め、それに応じて適切な打ち手を講じていくことです。
詰め将棋のように一歩一歩課題をつぶしながら、PDCAを回して改善を継続し、採用力強化につなげていく・・・
このような点で、「人材の採用」は今や非常に科学的な仕事と言えるでしょう。
今週のブログは、採用力を高めるための「採用成功の方程式」についてお伝えします。
この方程式を用いて会社の採用力を検証し、課題を可視化してみましょう。
※以下は中途採用を念頭においた内容です。新卒採用には当てはまりませんのでご注意ください。
目次
採用力 を検証!採用成功の方程式
採用は企業活動の生命線の1つですが、その活動を体系的科学的に行えている会社はまだまだ少ないです。
あなたの会社の採用力を、以下の方程式で検証してみましょう。
この6つの要素の掛け算が、採用成功する会社とそうでない会社の分かれ道です。
ちなみに、「どの求人サイトだと応募がくるか?」「人材紹介会社はどこがいいか?」 という議論は⑤に含まれます。
⑤は重要度の高いものではありますが、そこだけ解決すれば採用力が高まるというものではありません。
ぜひこの方程式全体で考えてください。
それでは6つの要素をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
会社の魅力
会社の事業内容、歴史、企業風土、事業のおかれている市場環境、成長性、安定性、社長の魅力などの要素です。
停滞企業よりは成長企業の方が求職者にとっては魅力的です。
あまり成長していない会社であっても
- 業績が安定している
- 社会貢献度の高い事業
- 社長の魅力
このようなことが応募者を惹きつけることもあります。
もし会社の魅力が十分にアピールできないとしたら、②以降で求職者に魅力づけしていきます。
組織の魅力(共に働く人の魅力を含む)
求職者にとって「どのような人達と一緒に働くか?」も重要な観点です。
- 自分の上司はどんな人か?
- 同僚になる人達と一緒に働きたいと思えるか?
- 組織に馴染めそうか?
などをじっくり見きわめます。
このようなことから、選考プロセスの途上において、
上司や同僚と対話してもらう時間をとり、実際に応募者が一緒に働くことになる人材の魅力を伝えるステップが欠かせません。
一緒に働くことになる人と会うことで、職場で働くイメージがわき、求職者に安心感を醸成する効果もあります。
仕事内容
言うまでもありませんが、求職者にとって自分がどんな仕事を担当するかはとても大事な要素です。
- 自分の能力や経験に合っているか?
- 強みを生かせるか?
- やりがいはありそうか?
- 自分の働き方に合っているか?
- その仕事を通じて成長できそうか?
いずれも求職者にとっては将来の自分のキャリアを左右する大事な観点です。
- 内勤か外勤か
- 事務作業中心か対人やりとり中心か
- ノルマはきついかゆとりがあるか
このようなことも多くの人が着目する視点です。
どのような仕事が適しているかは人それぞれなので、募集業務の内容を丁寧にわかりやすく具体的に、嘘偽りのないリアルな姿を伝える姿勢が求められます。
ターゲット設定 × 募集条件
「募集条件」には、待遇、勤務地、勤務時間、休日、福利厚生や、最近ではリモート勤務の可否などが含まれます。
そしてこの募集条件と深く関わるのが「ターゲットの設定」です。
経験豊富でスキルの高い人を採るには当然報酬も高くなりますが、未経験者を採用して自社で育てるならば待遇がさほど良くなくても人材は集まります。
市場では若手は需要>供給という状態ですが、年齢にこだわらなければ対象が広がります。
採用市場動向も見据えながら、業務内容と照らし合わせてターゲットをどのような人材に設定するかは、正に人事の腕の見せ所ではないでしょうか。
3つの例で説明します。
①仕事の大半は事務作業でたまに労務関連の知識が問われる労務事務の採用で、労務関連知識を必須条件にする。
→労務関連知識を必須条件にする必要はあるでしょうか?
労務の専門知識は社労士に都度確認することとし、業務内容をその後の事務的作業に特化させれば、そこそこ賢い事務経験者でも十分に対応可能です。
②BtoBビジネスの会社が営業担当者を採用する場合、BtoB営業経験があり、能力も高くて性格もいい人を採ろうとする。
→BtoC営業経験しかない人も対象とし、BtoB特有のお作法は入社後に教えればよいと割り切れば、対象範囲が広がります。
その分ポテンシャル能力をしっかり見きわめ、人間性に重点を置いて採用すれば、長期的にいい人材が採れる可能性があります。
③非常にニッチな専門領域の技術者を採用する場合、ずばりその業務経験者を採用しようとする。
→仮にその専門知識を発揮する業務が全体の仕事の2〜3割程度であるならば、正社員としての採用は必ずしも必要ではなく社外顧問などを考えてもいいでしょう。
社外の専門家に短時間勤務してもらって、通常業務部分は社内の担当者と連携しながら進めることも考えられます。
採用活動
この⑤採用活動の部分はさらに次の方程式に分解できます。
a. 採用手法
「採用手法」はどのような方法を使って採用を進めるかということです。
採用ターゲットや採用期間に応じて、求人サイト、人材紹介会社、転職フェア、自社HP運用などの手法を組み合せます。
同じ求人サイトでもどこの会社のサービスが適切か比較検討を行います。
求人サイト等では募集記事を掲載して応募を待つだけでなく、自らスカウトを打つなどアクティブな活動も組み合せます。
さらに、人材紹介会社には単に求人を依頼するだけでなく、信頼関係作りや自社を深く理解してもらうコミュニケーションも欠かせません。
その後の進捗を見ながらの目線合わせや、人材紹介会社の担当者が積極的に動いてくれるような関係を構築しましょう。
その他、今は様々な採用手法があります。
- 自社の社員紹介を促進する
- SNSやyoutubeを活用する
- indeedなどを活用して自社で広告運用する
その中からいかに最適な方法を組み合せつつ、PDCAを回しながら検証して成果を出せるかは、採用担当者の経験値と情報収集力、粘り強い活動が支えとなります。
b. 採用プロセス
採用の選考を進めるプロセスも、採用成功に大きく影響します。
プロセスとして以下6つの観点に留意しましょう。
入社後定着化促進(オンボーディング)
採用活動は入社して終わりではありません。
入社から数ヶ月で退職したらそれまでの全ての活動が水の泡となるので、「入社後に仕事に馴染んで定着するまでのサポートも採用業務の一部」と捉えましょう。
入社から数日間
入社した人には、下記のような仕事のベースとなる部分にしっかり時間を使ってもらいましょう。
- 社長や幹部との交流
- 所属組織メンバーとの交流
- 上司との今後の仕事に対する期待や役割などの擦り合わせ
- 他部署業務の理解
- キーパーソンへの紹介
- 社内ルールの理解
- 業務システムの理解 など
いきなり業務だけ与えて放置して、何か分からないことあったら聞いて!というのは避けましょう。
なお上記のサポートは、人事側で行うことと配属先で行うことが混在していますが、両者でその役割分担をしっかり調整してください。
細かいことですが、名刺やメールアドレス発行などは入社日に即渡せるように準備しておきましょう。
入社1週間後~1ヶ月
人によっては入社1週間くらいで不安や心配が増大していることがあります。
人事の担当者から「何か不便や困ったこと、不安や心配などありませんか?」と簡単な面談の場をもつのがおすすめです。
聞いた結果は必要に応じて上司にしっかりフィードバックをしましょう。
入社1ヶ月後
実際の業務も進み始めた中で、入社時に聞いていた仕事内容と違うとか、上司の指示がおかしいとか、同僚と馴染めない、などの問題が発生している場合があります。
ここも同様に、人事の担当者が話を聞く場を設けてください。
状況次第では、人事担当者と上司と本人の3者で話す方が良い場合もあります。
入社3ヶ月後
入社3ヶ月後は、その業務で十分な戦力として活躍していけるかそうでないか、先行きが見えてくる時期です。
よって、入社2~3ヶ月の間くらいで、業務の状況、人間関係、入社前に想像していたこととのギャップなどをしっかりヒアリングしましょう。
なお、同時に上司からも「本人に対する評価や懸念点」を聞きましょう。
まとめ
採用はかつてに比べると非常に難易度が高く専門性も問われる仕事になりました。
採用が思うようにいっていないとしたら、何が課題かを構造的に把握し、課題に対処していく必要があります。
ぜひ上記の採用成功の方程式の6つの要素から検証してみてください。
見えてきた課題を1つ1つ解決していく中で、会社の採用力が上がっていくでしょう。
決して「どの求人サイトがいいか、どこの人材紹介会社を使うべきか」といった採用手法の議論だけで終わらせず、採用業務全体の中から改善を進め、あなたの会社ならではの強い採用力を作り上げていってください。
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