管理職の仕事の型(2. 管理レポート編)管理職の 週報 ・月報を改善しよう

2021.12.16

 
中小企業の管理職育成においては、まず最初に管理職として仕事の型を習得してもらうことが効果的です。 週報

前回のブログでは、「1. 時間管理」についてお伝えしました。
 

 

今週のブログでは、全3回の第2弾として、週報を提出してもらう際などに活用できる「管理レポート」についてお伝えします。

 

「管理レポート」の意義

管理レポート

 

ここで言う管理レポートとは、管理職が部下から報告を求める際のレポート、および管理職がその上の上司に報告するためのレポートのことです。

あえて「報告書」と言わずに「管理レポート」と呼んでいることには意味があります。

 
「報告書」というと単に報告事項になりがちですが、「管理レポート」は報告が目的ではなく、自分の仕事に対してPDCAを回すための自己管理資料です。

自己管理がしっかりできる資料であれば、そのまま上司への報告にも使えるので、報告目的も兼ねた管理レポートとなります。
 

報告書 = 報告事項のみ

管理レポート = 報告も兼ねる自己管理資料

 
そして、この管理レポートは標準化が大事です。

個々のやり方に任せるのではなく、会社としてきちんと書式を定め、その活用を徹底することに意味があります。

 

社員が管理職に提出する管理レポート

 
管理職が部下に求める「週1回の報告(週報)」の場合、次のような報告書式がよく見られます。
 

 ※ここでは医療器具・備品の営業職を例にします。
 
 

「部下が金曜の夕方に・メールやチャットで・上司に送る」報告書イメージ
 

■今週の商談数(実績/目標):8件/10件
 
■今週の受注実績(実績/目標):100万/90万
 
■今月の受注額(実績/目標):210万/350万
 
■今後の受注見込み額:350万
 
■課題と対策

社員が管理職に提出する管理レポート

 

この報告書式の場合、最低限の進捗確認はできますが、それ以上の価値は生まれません。
 

「自分の仕事の進捗を分析し、課題を深掘りし、次のアクションにつなげる」というPDCAサイクルが起きづらく

大抵の場合、社員はこの書式に数字を埋めて提出するのが目的化、ルーティン作業化してしまうからです。

 

そこで、次のようなフォーマットを定めて、毎回そこに書いてもらうようにしてみましょう。

 

週報

 

こちらの管理レポートは、前者の報告書に比べて次のような違いがあります。
 
 

■主たる目的が「報告そのもの」ではなく「自分の仕事を振り返る習慣づけ」
 
■週の活動を振り返るだけでなく、(年度目標、月次目標に向けた)現在地が可視化される
 
※営業は週の数字、月の数字、さらに年度の数字を積み上げていく仕事なので、その時間軸で考える癖をつけてもらう。
 
■「顧客からの声」の項目があるので、これを毎週振り返ることで、顧客の発言や要望を受け流すことなく、しっかり受け止めて会社に共有させる意識が養われる
 
■自社製品の課題、要望についても同様の効果がある
 
■競合の動向を意識することで自分のやり方や対策を見直す機会になる
 
■常に自分の営業力を磨いてもらう必要があるので、自身の営業力についても振り返り、成長を意識することができる。

 

管理職は、上記のメリットを加速させるべく、報告内容をよく読み込んで、部下に適切な指示やアドバイスや気づきを与えてください。

きちんと書かない人には粘り強く指導する必要もあります。

 

管理レポートは共有する

管理レポートは共有する

 

上記の管理レポートは、上司1人が確認するだけでは非常に勿体ないです。

営業部内、できれば全社にオープンで誰もが見られるようにして、レポートの活用価値を高めましょう。
 

製品の課題/要望
→ 企画部隊にとって貴重な情報になる

顧客の声や競合情報など
→ 経営陣にとって有用なデータ

 
さらに営業メンバー同士でも、お互いの営業成績や課題認識を知ることは大いに学びとなります。

「管理レポートは価値ある情報」という意識を持たせ、「価値ある情報をシェアして会社として活かす」という仕掛けが大事です。

 

管理職の管理レポート

 
続いて、管理職が経営陣に報告する管理レポート(月次)です。

先ほど同様に医療器具・備品の営業を例にします。
対象の管理職は、東京・大阪・名古屋の3拠点、計8人のメンバーを束ねる営業部長です。

 

管理レポートの書式は会社が定め、それに基づいて毎月経営陣と営業部長で議論を行う形が望ましいです。

 

月報

 

上記の管理レポートは、営業部の毎月の健康状態を把握するコックピットのようなもの。

営業活動の動き、変化、未来に向けた課題をタイムリーに把握し、対策を講じるためのものです。
 

このレポートの使う手順は、まず営業部長が自部署の1ヵ月をしっかり振り返った上で、自ら翌月の対策を考えます(PDCAのCの部分)。

考えた結果を経営陣に報告し、お互いディスカッションした上で対策を定め、翌月の実行(PDCAのAの部分)に移っていきます。

 

 

「管理職用管理レポート」の具体的な利点は
 

■単月の達成度の議論だけでなく、年度達成状況、前年比、前月比など多角的な数字を見る力をつける
 
■受注の総額だけでなく、エリア別や製品別等の内訳データを見て課題の深掘りを行う
 
■競合動向から自社の課題を浮き彫りにする
 
■自社の受注額だけでなく、市場シェアを把握することでマーケットにおける自社のポジションがわかる
 
■顧客の声、製品の課題などから一歩先の手を考える
 
■メンバー育成ができているか、どうやったら育つかを常に意識してもらう
 
■問題点ばかりでなく、良かった点に着目し、それを伸ばす意識をもってもらう

 

管理職が月に1回、しっかり時間をとって現在と未来の両方をじっくり考えるのはとても貴重な機会です。

年にたったの12回ですから、仮にその時間すら取れないという管理職がいたら、マネジメントができているかを心配した方がいいでしょう。

 

まとめ

管理職の週報

 
ここまで営業部を例にとって「一般社員用」「管理職用」の2つの管理レポート例を紹介しました。

業界や扱う商材によってレポートの書式は異なりますが、基本的な考え方は共通です。ぜひ、参考にして作成してみてください。
 

この管理レポートの書式を定めるにあたって、管理上どんなデータが必要で、そのデータをどのように活用するか?ということが明確化されます。

さらにデータの動きを見ながら、メンバーからの報告や顧客の声、競合動向などを組み合わせて経営判断する力も問われます。

これは正に経営の仕事の根幹ですよね。
 

 
管理職の目線を経営者レベルに近づけるためには、日々の仕事の中で適切なPDCAを繰り返す基本動作が必要です。

管理職にお任せの報告書式は卒業し、管理職の経営者視点を養うような「管理レポートフォーマット」を、社長や経営陣が一緒に作り上げていきましょう。

 

次回の第3弾は「会議の開催・設計」についてお伝えします。
 

 
 
 

筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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