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仕組み化とは ? 属人化を防ぎ、誰がやっても一定水準の成果を出せる組織を作るには何をすべきか

2026.09.30

仕組みづくりとは、特定の人の能力や頑張りに依存せず、誰がやっても一定水準の成果を持続的に出せる状態をつくることです。

つまり、属人的にならず、担当者が変わっても一定の品質で仕事が進み、その状態を継続できるようにすることが重要です。
 
 

「仕組み化」「仕組みづくり」が大事だとよく言われます。

業務の質を維持し、持続性を担保するためには仕組みが欠かせません。
 

仕組みづくりの視点がなければ、マネジメントの仕事はつとまらないとさえ言えるでしょう。
 

ところが最近感じるのは、「仕組み」という言葉がビジネス現場でよく使われる割に、それが一体何を意味するのか、理解できていない人が意外に多いということです。

経営陣が「仕組みづくりが大事だ」と発破をかけても現場でそれが進まないのは、仕組みを作るために一体何をしたらいいか?の解像度が低いために、第一歩が踏み出せないのではないかと思います。
 

今回のブログでは、「仕組みづくり」とはつまりどういうことか?を事例も交えて深堀りしていきます。

 

仕組みづくりとは?

 

仕事における「仕組みづくり」とは、

「特定の人の能力や頑張りに依存することなく、誰がやっても一定水準の成果が持続的に出る状態をつくること」

です。
 

ここではいくつかの重要な意味が含まれています。
 

「特定の人に依存しない」ということは、ベテラン社員であっても、最近異動してきた新人であっても、誰がやっても一定水準以上出せなければなりません。

「一定水準」なので、及第点に到達するレベルが求められます。個人の能力による差がなくなることはありませんが、一番下のレベルの人でも及第点がとれる状態です。

「持続的に」ということは、今回何とか乗り切るのではなく、今月も来月もその先も、安定的に仕事が進む状態を作らなければなりません。「再現性がある状態」ともよく言います。

 

逆に、仕組みがない状態(=仕組み化の余地がある)というのはこのような状況です。
 

この仕事はAさんにしかできない( ← 属人的の典型 )

Bさんがやめたら誰も引き継ぐことができない。どこに何の資料があってどう使われているか誰もわからない( ← 属人的の典型 )

上位2割の優秀な人材は売れるが、残りの8割の人材は売れない( ← 一部の人にしかできない )

誰が担当するかで品質にバラツキが生じる( ← 一定水準を維持できない )

毎月末に人員をかき集めてぎりぎり乗り切っている業務( ← 持続性がない )

前回はうまくいったけど、今回はうまくいかない( ← 再現性がない )

 

あなたの会社でも思い当たる業務が1つや2つあるのではないでしょうか。
 

つまり、「特定の人に依存していないか」「誰でも一定水準の成果が出ているか」「持続性や再現性があるか」という視点で自社の業務を見ると、仕組み化すべき仕事が見つけやすくなります。

 

仕組みができている部署とそうでない部署の違い

仕組みづくりの理解をさらに深めるため、仕組みが整っている営業部とそうでない営業部が具体的にどのように違うか、みてみましょう。

 

 仕組み有り仕組み無し
業務のやり方システム化が進んでおり、定型作業や手間のかかる仕事が少ない人手に依存し、定型作業や手間のかかる仕事が多い
業務習得手順がまとまっている標準的な手順がなく、上司の空いた時間で教わるしかない
複雑な商品群を一目で理解できるような商材マップとその説明が整理されている商品理解が非常に難しく、説明できるようになるまで相当な時間を要する
受注するための道筋がデザインされている個人の経験と勘に頼っている
資料保管基本資料は全て共有。保管場所のルールもあり個人保管
ファイルの名称づけ決まりがある個人の自由
業務報告いつ何を報告するかが決まっている担当者が報告したい事を報告
可視化皆の仕事の進捗が一目で分かる個別に聞かないとわからない
情報共有お互い必要な情報を共有する場や、資料共有などのルールがあるいちいち個別に聞きにいかないと分からない
定例会議基本的な議事内容、事前準備など決まっている特に決まりがなく、何となく問題を共有し合う


資料共有やファイルの名称など、かなり細かい話だと感じたかもしれません。

しかし、仕組みづくりで大切なのは「誰がやっても一定水準の成果出せる状態」をつくることです。
 

例えば、上表の右側の仕組みが無い部署に、中途採用者が配属された場合、次のようなことが起こりやすくなります。
 

共有ファイルを探そうとしても、どこにどの資料が保管されているか分からず迷子になる

資料の保管場所を見つけても、各々のファイル名称がバラバラで、1つ1つ開かないと目的の資料を見つけられない

人に聞いた方が早いと思っても、誰に聞いたらよいかもよくわからない

営業知識をどのようにつけていくかの標準型がないので、忙しい上司の合間時間に教わりながら少しずつ覚えるしかない

上司があまり教えるのが上手ではない場合、どうやったら受注できるか、手探りで1つ1つ覚えていくしかない

見積り承認、経費精算、出張申請などの業務ルールが整理されておらず、都度先輩の時間を取って聞かなければならない

 

これでは、せっかくお金をかけて採用したのに、その人に成果を上げるなと言っているようなものです。

「誰がやっても一定水準の成果」にはほど遠く、長年会社に在籍し、経験を積んだ人しか成果を出せない状態になっており、非常にもったいないことだと思います。

 

下積み重視論について

 

このような話をすると、

「仕組みを整えて何でも上げ膳据え膳で整えてあげるのは本人のためにならないのではないか」

「多少の苦労はあっても、自分であちこちぶつかりながら仕事は覚えていくのも必要ではないか」

という意見をいただくことがあります。
 

私も、仕事の習得を身につける上で、効率だけでは割り切れない下積みや試行錯誤の経験がプラスになることは否定しません。
 

しかし、今の時代や働く人の価値観を考えると、「苦労して覚えること」を前提にしたやり方が、これからも持続するとは限りません。

その考え自体をアップデートしていかなければならないと思います。

 

そう考える理由はいくつかあります。
 

転職が増え、社員の在籍期間が短くなればなるほど、入社後早い段階から成果を出してくれないと採用や育成にかけた投資を回収できない

優秀な人材がなかなか採れない時代、普通の人を採用して成果を出せる状態を作らない限り、永遠に人の問題で困り続ける

下積み期間として価値の低い仕事に時間を使わせると、その人の成長が遅くなる。付加価値の低い仕事に時間を使わせず、もっと高度な業務に時間を使ってもらった方が、会社にとっても本人にとってもベター

寿司や建築などの職人の世界では徒弟制度の考えは古くなり、下働き期間をショートカットして効率的に技を習得する考えが広がているように、世の中の風潮がそうなってきている

仕組みのない会社ほど、社員間の摩擦が増え、人間関係の問題なども生じ、組織の効率が大きく落ちる

AI活用も含めて仕組みの整っている会社も増えてくる中、仕組みのない会社は相対的に敬遠される可能性がある

 

このように、仕組みが整っていない会社は、正直に言うとデメリットだらけになっているのが現実です。

下積み重視の考えが強い人には、仕組みづくりを無理に推進しなくていいのではないか?というスタンスがあるため、その人の周辺業務ではより一層仕組み化が進まないということになりかねません。

改めて「仕組みづくり」がいかに大事であるかを強調したいと思います。

 

仕組みづくりの事例

では実際に、「属人的な仕事」をどのように仕組み化していけばよいのでしょうか。

ここからは、営業、新人育成、経営レポート作成の3つの例を具体的に見ていきます。

具体的な仕組み化のケースなので、あなたならどうするか?を考えながら読んでみてください。

 

<A社のケース> 営業案件のフォロー


従前

法人営業部では、営業担当者が展示会や問合せで獲得した見込み客に対して、その後の商談化を目指してフォローしている。しかし、担当者によって商談化率にかなり差がある

営業部長から、「見込み客には、タイミングを逃さずきちんとフォローしてください」と指示している

営業担当者は、個々に自分の判断でフォロー電話やメールをする。忙しい担当者はフォロー連絡を忘れることもある。積極的な担当者は何度も連絡する一方、そうでない担当者は一度メールを送って終わっている

 

仕組み化後

展示会で受領した名刺や問合せ情報をCRMへ登録

翌営業日までに初回連絡というルール

初回連絡時に話した内容をCRMに登録すると、次のアクションが自動表示される

以降、3日おきに、進捗に応じて次にやるべきタスクが通知される

週1回、次のアクションが遅れている案件が営業システムに一覧表示される

月1回、商談化率ランキングがチーム単位で表示される

 

仕組み化のポイント

「タイミングを逃さず」、「きちんとフォローする」といった曖昧な指示を排除し、商談進捗毎のやるべきことを明確化

本人の心がけに委ねると連絡漏れが生じたり連絡しっぱなしが起きるので、システムが管理して指示を出す

実際にどのように進んでいるかがシステム上で可視化され、部署として抜け漏れや遅れが管理できる

 

<B社のケース> 新人の早期戦力化


従前

毎年5~10名の新入社員が入社しているが、「どこの部署に配属されるかによって、新人の立ち上がりが全然違う」という問題が起きている

人事から配属先の上司に「現場に放り込むだけでなく、業務の指導、マインド面の指導を丁寧に行い、先輩同僚も協力的な環境をつくってください」と依頼

ある部署では、上司が毎日時間を取って指導するが、忙しい上司の部署では「分からないことがあったら聞いて」と言われるだけ

新人自身も、何をどこまで覚えればよいのか手探り状態

 

仕組み化後

配属時に、受け入れ部署の育成責任者が3か月間の育成計画を人事と経営陣に提出。新人にも説明

計画には、1週間後・1か月後・3か月後までに習得すべき内容、その区切り毎のゴールを明記

業務内容ごとに教材があるものは明示。担当指導者を指定

指導担当者と毎週進捗確認のミーティングの場をもち、指導担当者は事後にコメントを入力(コメントは上司と人事に回付される)

1か月後・2か月後・3か月後に本人と上司間で習得状況をチェック

遅れている項目があれば、上司から担当指導者に指示を出す

 

仕組み化のポイント

新人育成を部署まかせ、上司まかせとせず、会社として一定水準まで育てられるやり方にしている

いつまでにどのようなことを習得すべきかを明確にし、それを新人も指導者も共通のものとして理解している

担当指導者を設置し、教える側にも責任を持たせている

習得が順調に進んでいるかを確認する場が用意されている(=やりっぱなしにならない)

 

<C社のケース> 月次経営レポート作成の仕組み化

 
従前

毎月、経営会議で使用する「部門別売上・利益・人員・生産性レポート」を経営企画担当のKさんが作成している

レポート自体は特別な分析をしているわけではないが、完成までの作業が非常に複雑

具体的には、営業部、経理部、人事部などから、それぞれ別々のExcelファイルが送られた後、ファイル毎に異なる項目名や並び順を修正、データの紐づけ、マスタデータとの照合、欠損データのチェック・修正、別ファイルから必要なデータをコピペ、グラフの作成、一部データをマクロで加工、集計結果を提出先別フォーマットに加工、といった作業を毎月実施

これらの作業自体に、毎月初に2~3日を要している

作業手順が非常に複雑で属人的になっている。マニュアルもなく、ファイルには複雑な計算式やマクロが入っているので、他の社員は触ることができない。月初にKさんが休んだら完全に止まる

Kさんにはそろそろ異動して別の仕事を経験してもらいたいが、引き継げる人がいないため異動がしづらい。複雑な割に付加価値の高い仕事ではない仕事なので、このままではKさんの能力も上がらない

 

仕組み化後

各部門からの提出フォーマットを見直し(記入する様式の統一など、後で加工しやすいように)

データチェックルールを登録し、間違いや記入漏れだけエラー表示されるようにした

データ加工を自動化(データ紐づけ、不要列削除、集計、グラフ作成など)。毎月各部署からの新しいデータを所定のフォルダへ入れれば、「更新」ボタンを押すだけで最新データに置き換わる状態にする

経営レポート提出先に応じたアウトプットも自動作成

基本操作を覚えれば誰でもこの業務を担当できるようになり、作業時間も数時間に短縮

 

仕組み化後のポイント

Kさんの従前の業務は非常に複雑で再現の難易度が高いので、それをマニュアルにするだけでは誰でも持続的にできる業務とはならず、仕組み化とはいえない。そこで、業務のやり方そのものを見直して仕組み化を実現した

クリエイティブな要素、判断の要素がほとんどない仕事は、人がやるべき仕事ではないという考えのもと、人に依存する要素を排し、ほぼ自動化の方向で改善した

Kさんには、レポート結果も踏まえた経営改善などより高度な業務を担ってもらうようになった

 

仕組みづくりについてよくある質問

 
Q. マニュアルを作れば「仕組み化」したことになりますか?

必ずしもそうではありません。

マニュアルがないよりあった方がいいですが、使い手にとってその内容が理解しやすく、実行しやすいものになっているかが大事です。

びっちり文章が書かれたマニュアルよりも、業務の流れに沿って順次ガイダンスが出てくるようなオンラインマニュアルの方が使い勝手がいいと思います。

また、ケース3のように、もともとの業務が非常に複雑な場合、その手順をそのままマニュアル化しても、誰がやっても一定水準の成果を持続的に出せる状態にはなりません。

必要に応じて業務のやり方そのものを見直し、特定の人に依存せず、誰が担当しても一定水準の成果を出せる状態にすることが大切です。

 

Q. 仕組みを整えると、社員が自分で仕事を覚える機会が減りませんか?

下積みや試行錯誤の経験そのものを否定する必要はありません。

一方で、付加価値の低い仕事に長い時間を使わせるより、そうした仕事はできるだけ効率化し、より高度な業務に時間を使ってもらった方が、会社にとっても本人にとってもプラスになります。

仕組みづくりは、仕事を何でも簡単にすることではなく、不要な遠回りを減らすためのものと考えるとよいでしょう。

 

Q. 仕組み化が必要な仕事は、どのように見つければよいですか?

「特定の人にしかできない」「担当者によって品質にバラツキがある」「毎回ぎりぎりで乗り切っている」「前回はうまくいったのに今回はうまくいかない」といった仕事は、仕組み化の余地があります。

中途採用で入社して未経験者が、入社から早い段階でキャッチアップして成果を出せる状態になっているか?という観点から検証するのもいいでしょう。

 

Q. 仕組みづくりには、必ずシステム化が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。

業務習得の手順をまとめる、資料の保管場所やファイル名称のルールを決める、報告方法を統一するといったことも仕組みづくりです。

一方で、A社のケースやC社のケースのように、システムを使うことで抜け漏れを防いだり、作業そのものを自動化したりする方が適している業務もあります。

 

まとめ


仕組みづくりとは「特定の人の能力や頑張りに依存することなく、誰がやっても一定水準の成果が持続的に出る状態をつくること」です。

仕組みがない職場では、特定の人しかできない仕事があったり、担当者によって品質にバラツキが出たり、同じ作業なのに毎回結果が変わったりします。
 

一方、仕組みが整えば、業務の進め方やチェック方法、情報共有、教育などが一定の形に整理され、担当する人が変わっても仕事を進めやすくなります。

あなたの職場は、上述の「仕組みができている職場とそうでない部署」の比較において、どちら寄りでしたか?
 

現状、仕組み化できていないのはどこか? を明らかにした上で、仕組み化推進の優先度や、具体的な仕組みづくりの方法を考えてみてください。

個人の努力に依存するのではなく、仕組みの力で皆が一定水準の成果を出せる状態を目指しましょう。
 

その土台の上で、個人が能力を発揮し、さらに高い成果を出していけるのが望ましい姿です。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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