ふとカーリー・フィオリーナ氏(元HPのCEO)を思い浮かべてしまう女性がいました。
私の友人が勤める一部上場企業の女性(30代前半)ですが、フィオリーナ氏のような可能性を感じさせる、なかなかすごい方なのです。
ちなみに、カーリー・フィオリーナ氏は1999年にHPのCEOに就任し、受付からCEOまで駆け上がった人として話題となりました。
その後HPの業績は芳しくなかったものの、あれだけの巨大企業CEOに女性が就任したのは米国でも稀有な実績です。
派遣社員から正社員に。当面の目標は年収1,000万円
さて、この一部上場企業の女性がどんな人かを説明します。
彼女は3年ほど前に派遣社員として入社。
当初はお客様へのお茶出しなど、事務仕事をやっていました。
アイディア豊かな人なので、事務仕事に飽き足らず、社内で毎月開催される業績発表会での出し物を工夫したり、マンネリ化していた軽食のデリバリーメニューを改善し、社員から注目を集める存在へ。
社長の秘書的な仕事も担うようになった彼女は、ある時大事なお客様が入院したと聞き、病室に落語のCDを贈りました。
体の自由が利かないお客様は落語が入院中の楽しみとなり、後日深い感謝の言葉を贈ったそうです。
さらに社長が某有名経営者のファンだと知った彼女は、勝手にその経営者の会社に連絡を入れ、秘書同士でやり取りして、アポイントを入れてしまったのです。
「このアポイントは何?」と秘書に聞いた社長はびっくり。その行動力とアイディアに感心しました。
もっと面白い仕事をしたい彼女は、
「当社は中途採用が中心だから社内のコミュニケーションが悪い。もっと会社のビジョンを共有し、社員同士のオフサイト交流から新しい知恵が生まれる企業文化を作るべきだ」
と考え、これまた勝手に独自の社内報を企画。
役員会でプレゼンして見事承認され、予算も獲得してしまいました。
既に正社員になっていた彼女ですが、今年に入ってから「私も裁量労働の対象にして欲しい。
残業とか時間で評価されたくない。早く年収1,000万円を稼げるようになりたい」と社長に直訴し、遂に職種まで転換してしまったのです。
ピュアな野心
この行動力とバイタリティに、私は話を聞いているだけで興奮してしまいました。
彼女の何がすごいかというと、行動力は勿論ですが、人を喜ばせたい、あっと驚かせたいというエンターテイメント性に溢れている点です。
自ら楽しんでやっているから周囲も楽しくなるんですよね。
「早く1,000万円を稼ぎたい」という野心を持っていますが、その野心が「他人に打ち勝って偉くなりたい」という動機ではなく、
「純粋に会社に役立つ仕事をとことんやりたい。その貢献によって稼ぎたい」という非常にまともでピュアな動機なんです。
「自分のための出世欲」ではなく「他者(顧客や会社や同僚)のための出世欲」に近い感覚と言えるでしょうか。
会社にとって本当に得難い人物だと私は思います。
私の勝手な想像ではありますが、彼女はいずれ会社のもっと重要な役割を任され、グループ会社の社長などを担う存在になっていくのではないでしょうか。
過去のキャリアは順調とは言えなかった
こんな彼女ですが、これまで順調なキャリアを歩んで来たとは言えません。
事務仕事やクリエイティブ系など色んな仕事を経験してきましたが、自分の力を存分に発揮できる環境を見つけられませんでした。
彼女の20代は、才能が埋もれていたともいえるし、開花のためにじっくり蓄えていた時期。
自分の強みが何なのか、つかみあぐねていた時期でもありました。
実は今の会社に来た当初も、くすぶっている時期がありました。
上司がどちらかというと管理したがるタイプで自由を与えてくれず、単純仕事の連続に飽き始めていました。
たまたま現在の部署に異動し、そこの上司がオープンで個性を伸ばすタイプだったため、急にイキイキ水を得た魚になり、今に至るのです。
キャリア = 強み(能力) × 正しい自己認識 × 環境 × 努力
彼女は他人がレールを敷いた仕事を着実にこなしていくのは得意ではありません。
得意なのは、自ら価値ある仕事を創造し、周囲の人を巻き込んで実行することです。しかし会社がその才能を認め役割を与えない限り、彼女の強みは発揮されずに終わります。
そう考えると人のキャリアはとても奥深いものですね。
- 強みや能力が備わっているか?
- 自分の本当の強みに気付けているか?
- その強みを発揮できる環境に身をおいているか?
- 世のため人のために本気で仕事に取り組んでいるか?
キャリア = 強み(能力)× 正しい自己認識 × 環境 × 努力
この4つが揃うとき、人は物すご凄く大きな力を発揮できるのです。
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