一生ミドルで終わる人と 出世する人 は何が違う?キャリアを分ける決定的な思考の分岐点

2025.09.12

出世する人 
会社のミドル層を経営幹部に育てるための育成プログラムを実施することがあります。

そのような場では「経営幹部に求められる心構え・スタンス」について説明しますが、受講生から時々こんな質問が出ます。
 

「今の経営幹部だって出来ていないことを、なぜ我々が求められるのでしょうか?」
 

この質問について、あなたはどのように思いますか?
 

今週のブログでは、ミドル人材のうち、将来経営幹部に出世する人とミドルのままで終わる人の違いについてお伝えします。

 

ミドルのままで終わる人

 

係長、課長などの管理職の方々と接していると、「この人は将来的に経営幹部に育っていくだろう」と思える人と、そうではない人の違いを感じます。

ここでいう経営幹部とは、会社の取締役、執行役員、事業部長などのクラスを念頭においています。
 

経営幹部に出世したいと思うか思わないかは個人の考え方なので、そこに良し悪しは全くありません。

しかし将来経営幹部を担う意向がある人には、相応の覚悟が求められます。

 
なぜなら、会社という船は経営判断次第で座礁・沈没するリスクがあり、経営幹部はその責任を社員やお客様に対して背負う存在だからです。
 

ミドルの時から将来の経営幹部が期待できる人とミドルのままで終わりそうな人の違いは、

今担当している仕事ができるかどうかという「能力」の差ではなく、圧倒的に「視座・視野・時間軸」の違い、そして「当事者意識」の差に表れます。

 

視座、視野、時間軸の違い

 

視座

 
「視座」とは、どのような高さから物事を見られるかということです。
 

全く知らない街に行った時、その街の中心にある建物の最上階から見渡すと、一気に視界が晴れ、その街の構造が理解できます。

そのような高みから物事を見られる能力です。
 

具体的には、部長の立場で考えてみたり、社長の立場で考えてみたり、社会における自社という観点でみたり、より高い位置から見渡して考えられるか。

その高さの違いが視座です。
 

冒頭の事例で出た質問

「今の経営幹部だって出来ていないことを、なぜ我々が求められるのでしょうか?」

これは視座の低さの典型です。
 

ミドル層であったとしても、

自分が仮に社長だったらどうするか?
役員だったらどうするか?

このように背伸びした立ち位置からも考えられる人が、将来幹部に登用されます。

周囲や上司がどうのこうのは関係なく、ミドルの時から会社としてどうあるべきか、自分がどうあるべきかを考えられるのが高い視座を備えた人です。

 

視野

 
「視野」は見てる範囲がどの程度広いかということです。

 
旅先で、美味しい食べ物にしか目がいかない人もいれば、行き交う人々の表情、言語や国籍、建物のデザイン、空気や日差しなどの違い、街路樹の種類の違いにまで気づく人もいます。

このようにさまざまな観点から街を見ることができる人が、視野の広い人です。
 

会社で言えば、自分の部署だけでなく他部署にどのような影響が出るか、取引先や顧客にどのように影響するか、世の中の常識からはどのように見えるかなど、多角的な観点から考えられるか否かの違いです。

 

時間軸

 
「時間軸」はどの程度将来まで見ることができるかということです。
 

仕事の施策には短期的な打ち手もあれば、すぐに効果は出ないけれど長期的にじわじわインパクトをもたらす打ち手もあります。

目先でやるべきことと、目先に陥ることなく中長期視点で考えるべきことを、両軸から考えられるか否かの違いです。
 

例えば体調不良の時は、とりあえず目先の回復のために薬を飲んで乗り越えますが、そのような体調不良を何度も繰り返す人がいます。

抜本的に健康な体を取り戻すには、中長期的に生活習慣、食事、睡眠などを見直さなければなりませんが、それができる人とできない人がいます。
 

経営においても同じで、短期と長期の両軸を備え、バランスよく判断できる人が求められます。

 

視座が低い人、視野の狭い人、短期の時間軸でしか物事を考えられない人には、会社の経営を安心して委ねることができません。

 

当事者意識の違い

 

ミドル層の当事者意識とは、自分の仕事が会社全体にどう影響するかを考えられ、「自分も経営の一翼を担っている」と捉えることです。

 

当事者意識に欠けるミドルはこのような傾向があります。
 

自分の部署が成果にはこだわるが、会社の業績には無関心

「うちの会社の営業方針はマーケットニーズとずれているよね」などと言うだけで、自らそれを改善しようとはしない

「◯◯部が動いてくれないから我々の部署は成果が出ないんだよ」と他部門を批判するだけで終わってしまう

 

自ら「会社を良くしよう!」と思っていれば、上記のような行動には出ないはずです。

あくまで自分が会社を発展させる主体であると思えておらず、どこか他人事です。
 

会社なんて油断したら潰れるのは結構簡単です。

絶対にそうならないよう会社を支える一員だと思っている人が経営幹部でなければ、社員は安心して働くことはできないでしょう。

 

好奇心・素直さも重要

出世する人

 

ミドルから経営幹部に出世する人に欠かせないものをもう一つ付け加えておきます。

それは「好奇心・素直さ」です。
 

時代の変化、マーケットの変化に関心がなく、過去のやり方に固執する幹部では会社は生き残れません。

好奇心をもって、新しい知識、技術、顧客ニーズの変化を感じ取り、貪欲に学び吸収し、経営に活かしていくことが求められます。
 

新しいことを学ぶのは、古い知識や経験の一部を捨て去ることでもあります。

自分の経験がない領域については、若い人をはじめ、色々な人から教わることになります。
 

その時に過去の経験則や自分の常識に捉われず、頭から否定せず、新しい現象を真っ直ぐ受け止める素直さも欠かせません。

自分のやり方が時代に合わなくなったら、素直にそれを認め自分自身を変えられる姿勢が必要です。

 

どうやったら変われるか?

 

ミドルから経営幹部に出世していく人とそうでない人の違いは、
 
「視座・視野・時間軸」
「当事者意識」
「好奇心・素直さ」

 
これらにあるという話をお伝えしました。
 

では、今現在「視座、視野、時間軸」「当事者意識」「好奇心、素直さ」が劣っている人は、未来も経営幹部になれないのでしょうか?
 

もちろんそんなことはなく、自分自身が足りていないことを認めて、克服する努力をすれば十分に変わることができます。
 

自己改善の方法は色々ありますが、特にインパクトの大きいたった2つの方策をお伝えします。

 

インプットを変える

 
日々触れる情報、吸収する情報を意識的に変えることは非常に効果的です。

日々の業務進捗に関する情報に触れているだけでは視座も視野も広がりません。
 

できるだけ質の良い多様な情報にたくさん触れ、刺激ある人、学びのある人との接点を増やしましょう。
 

同じ本を読むなら質の良い本、ニュース記事を見るなら信頼できる記事を。

優れた企業の事例、社会・経済・政治・技術などの国内外の動向など、限られた時間でできる限り良質の情報を吸収することで、自分自身の感度や気づき、発想が変わります。
 

社内では、自分より上の人、時には社長と接点を増やし、経営の立場の人が何を考え、どのように行動しているかを肌で感じてみてください。

社内他部署や世代の離れた人との積極的なコミュニケーションも、新しい気づきや学びをもたらします。
 

さらに社外においても、何かの分野で経験豊富な人、高い視座を持った人、真剣勝負している人、ユニークな経験をしていえる人などとの接点を増やしてください。

そうした出会いが、自分自身を大きく成長させる刺激となります。

 

他責にしない習慣

 
仕事がうまくいかない時、結果が出ない時、ついつい他人のせいにしたくなる気持ちは誰にでもあります。

ただし、そう思った時に、他人のせいにする言動を発してしまう人と、我慢してベクトルを自分に向け自分の責任として引き受けられる人で、大きな差が生まれます。
 

物事がうまくいかない時は、ほとんどの場合は一方の責任ではなく双方に責任があるものです。
 

それでもあえて他人の責任にはいったん目をつぶって自分の責任に目を向け、

「自分自身が変わることで解決しよう」という思考を持てれば、人は大きく成長します。
 

もちろん、この思考を習慣化するのは簡単ではありません。

しかし、「他責にしない」という原則を常に自分への戒めとして持っていれば、やがて周囲から頼られる存在となり、経営幹部への道が自然と開かれていくでしょう。

 

まとめ 

 
ミドルの時に、経営幹部への出世を予感させる人とミドルのままで終わりそうな人の違いは「担当している仕事の能力」の優劣ではありません。

決定的に違うのは、視座・視野・時間軸の高さと広さ、当事者意識、そして好奇心と素直さです。

これらは先天的な資質ではなく、日々の姿勢と習慣によって磨くことができます。
 

​​ポイントは大きく2つです。

インプットを変えること
他責にしない習慣を持つこと

 
この2つを続けるだけで、考え方も行動も変わり、やがて周囲から頼られる存在へと成長していきます。

会社を支える幹部になるか、ミドルのままか。その分かれ道は、自分の意識と行動です。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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