職場の人間関係 にストレスを感じたら | 苦手なタイプと共存するコツ

2019.01.31

キャリアの相談にのっていると、「 職場の人間関係 」に起因する悩みがかなり多くあります。

人間関係をいかに円滑にするかは、誰にとっても永遠の課題。

人間関係は仕事の成果に大きく関わってくるので、日々の仕事が楽しく感じられるか否かを左右する大きな要素でもあります。

 

職場の人間関係 が上手くいかない理由

 
人間関係が上手くいかない理由は多々ありますが、1つの大きな要因は

「他人に対して自分と同じであって欲しいと願うこと、他人を変えようとすること」です。

自分と他人は育ちも個性も全然違う別の生き物なのに、自分と同じような考えをもって欲しい、自分と同じようなやり方で仕事をして欲しいと、ついつい願ってしまうのです。

ところがいくら願ったところで、他人は自分の思った通りには動いてくれません。

本質的に考えている事が全然違うので、ストレスが溜まっていきます。

やがて考えの違う人と仕事をするのが面倒臭くなり、似た者同士でつるんだり、自分と似たタイプの部下ばかり登用するといった弊害も出てきます。

 

私も色々な方と仕事をする中で、上手くいった人、いかなかった人がいますが、

振り返ってみると、上手くいかなかった人の場合は、そもそも自分とはタイプが全然異なるのに、自分のスタイルや考え方を理解して欲しいと淡い期待を抱いていたことが多かったように思います。

相手も私に対して同じように期待をしていました。結果どちらもストレスがたまってしまったのです。

 

人の考えることはこんなに違う

職場の人間関係

 
タイプの違いによって考えることがいかに違うか、例を挙げてみます。

営業部の業績が悪化した原因と対策を議論する時、以下の4人が最初に考えたことはこんなに違います。

 

Aさん(人に関心が強い人):「最近社員の覇気がなく意欲が落ちている。方向性を見失っており、それを明確に示すべきだ」

Bさん(データや論理に関心が強い人):「データを見ると、X製品の単価下落と仙台支社の落ち込みが原因、仙台支社は営業の商談件数が落ちておりその改善が急務」

Cさん(アイディアあれこれ拡散する人):「X製品とY製品を抱き合わせ販売すると売りやすい、製品のパッケージデザインが悪いから変えるべき、最近入った社員が営業部の教育が悪いと言ってたから直さないと、・・・」

Dさん(形をきっちり作るのが得意な人):「皆の発言がばらばらだ。この議論、どうやって収束したらいいだろう。自分の意見は特に浮かばないんだけど・・・」

 

それぞれ思いつくことが全く違います。しかし、こういったことはよくあります。

何でこんなに違うの!?と思うくらい、違うのです。

 

考え方の違いが 職場の人間関係 に影響する

 
「他人を変えようとする」と、こんな感じでお互いの心にさざ波が立ちます。

 

Aさんからしたら、「Bさんはいつも数字ばっかり、全然人を見てない」

Bさんからしたら、「Aさんは感覚的な発言ばかり。論理性がない」

 

CさんからDさんと見ると「何で自分の意見がないんだろう・・・」

DさんからCさんを見ると「議論を散らかすだけで、話をどうまとめるか全然考えてない」

 

たまの議論ならいいですが、こういう考えの違いが何度も発生し、毎回意見がまとまらないと、次第に人間関係に影響が出てきます。

もしBさんがAさんの上司ならば、Aさんに対して「もっと定量的なデータを見て考える習慣をつけなさい」と自分色に近づけようと要求します。

Aさんなりに努力するものの、Bさんの要求には到達できず、Bさんからの評価が下がり、Bさんの部下でいることが嫌になってくるのです。

 

考え方の違いを生かして強い組織にするには?


ところが、視点を変えて全体を俯瞰すると、この4人がそれぞれ独自の観点を持っていていずれも価値があるということがわかります。

全員が組織にとって必要な存在です。

誰もが同じ考えをする組織よりも、多様性があって強い組織になる可能性があります。

そこで、人間関係を悪化させず、多様性を生かした強い組織にするにはどうすればいいのかを考えてみましょう。

お互いが相手を自分色に染めようとせず、相手の考え方の特性や長所を認め合う関係性を目指します。

人はそれぞれ違う存在であり、違う強みと役割を持つという事を、平時から認識しておかねばなりません。

 

普段から「自分は猪突猛進タイプ、部下は論理的タイプ、上司は保守的タイプ」といった特徴、それぞれの長所と短所を理解しておくのです。

理解していれば、部下に対して「俺はあまり考えずに突っ走るから、そのやり方が合理的かをデータ面から見て欲しい」と部下にお願いできます。

部下を猪突猛進タイプに無理やり変える必要はなく、論理性で部下と張り合う必要もないのです。

 

本気で人を見て適材適所を実現する

 
適材適所といういい言葉がありますが、なかなか実現は難しいものです。

その原因は、人はそれぞれ違う生き物という事実を認識できていない、もっと言うと1人1人の人間をちゃんと見ていないからだと思います。

チームメンバーがしっかり向き合って、お互いのタイプ、長所、短所を分かり合えば、組織内の役割分担が心地良くなり、人間関係も改善します。

1人1人の持つ価値を最大限発揮するために、個々の特徴とお互いの組み合わせを真剣に考えてみましょう。

今の時代は人のタイプや志向性を測定するテストや本など様々なツールがあるので、客観的なデータに基づく理解も可能です。

近くにいる人の事は、お互いわかっているようで意外と知らないものです。

手軽な方法でもいいので、まずは試してみることをおすすめします。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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