「 部下がついてこない 」と感じる上司が最初に立ち返るべきこと

2021.06.03

部下をもつ人で、悩みのない人はいないと言ってもいいでしょう。

「何回注意しても直らない」
「意欲が足りない。主体性に欠ける」
「仕事が終わらないのにさっさと帰ってしまう」
「何を考えているのかわからない」

人それぞれ、色々な悩みを日々感じているのではないでしょうか。
 

ここで上司のあなたに1つ質問します。

「昨日、部下に声をかけましたか? 会話をしましたか?」

「忙しくて昨日は話をしなかった」「定期的にミーティングしているから毎日は話す必要ない」という方もいるのではないかと思います。
 

今週のブログでは、部下マネジメントの「スキルやテクニック」ではなく、部下と向き合うための「根本的な姿勢や考え方」について6つの質問を出したいと思います。

 

上司と部下は「上下」ではなく、役割分担

 
「上司」という言葉が誤解を招きますが、上司と部下は別に上下の関係ではありません。

もちろん上司が偉いということもありません。

あくまで仕事の役割が違うだけです。

組織を効率的に運営していくために、そのような組織階層をつくって役割分担をしているのです。

上司と部下はお互いに1人の人間同士であり、「たまたま同じ会社で隣に座って役割分担している」ということを忘れてはいけません。
 

 
よって、仕事の力量は違えど、お互いに相手を尊重し、相手の理解に努めることが関係構築のベースラインになります。

 

関係づくりの基礎はコミュニケーション

質問①「昨日、部下に声をかけましたか? 会話しましたか?」

 
同じ部署で上司部下の関係であれば、1日に1回も会話しないのは不自然です。

朝の「おはよう」と帰り際の「お疲れ様」だけでは、あまりに味気ないですよね。

長い会話でなくても構いません。もちろん雑談でもいいです。

ちょっとした会話を通じて、お互いの心が行き交い、理解が深まっていきます。

ちょっとした会話をきっかけに、部下が仕事の相談を持ち掛けたり、悩んでいることを話してくれたりするものです。

 

質問②「昨日、部下とどのくらい視線を合わせましたか?」

 
たとえ会話が少ないとしても、しっかり相手と視線を合わせることも大事です。

朝の「おはよう」の時に相手の顔を見ず、パソコンの画面を見ながら挨拶していませんか?

目を合せることもコミュニケーションのひとつです。

相手の目を見るだけで、今自信に満ちているか、何かに悩んでいるか、体調を崩していないかなど、色々なことを感じ取ることもできます。

 

質問③「時々じっくり対話していますか?」

 
時にはゆっくり時間をとって話をしていますか?

通常の進捗報告会議は現状と今後について話し合って終わるのが通常です。

本人の仕事の悩み、人間関係の困りごと、キャリアの悩みなどは、別の場でしっかり時間をとって話をしましょう。

1on1の時間の中で、雑談やよろず悩み事相談などの時間をとるのもいいと思います。

 

最高のマネジメントは「相手を理解すること」 

部下がついてこない

質問④「部下のことを知っていますか?」

 
あなたは目の前の部下の人生をどのくらい理解していますか?

家族兄弟、ご両親のこと、出身地、育った環境、学生時代の部活、趣味、親しい知人、休日の過ごし方、将来の夢など、どのくらい言うことができますか?

人の考え方や行動は、その人の歩んできた環境や生活スタイルに大きく影響されているので、その人の背景を知ることは多くのメリットをもたらします。
 

  • 知ることで相手への関心が深まり、親近感が湧いてきます。
  • 何に興味があるか、どのような事に関心を示すか、嫌なことは何か、絶対に譲れないことは何かなどが見えてきます。

 
これらが分かれば、指導の仕方、伝え方の工夫もできますし、その人の意欲を引き出す際のヒントもたくさん見つかるはずです。
 

部下にも、あなたのことをよく理解してもらってください。

部下も同様に、上司のことを理解すればするほど興味関心がわき、関係構築もやりやすくなります。

 

質問⑤「部下のいい所をすぐに言えますか?」

 
マネジメント研修で私はよくこの質問を投げかけます。

すると結構多くの人が「・・・」
すぐに答えられず、「うーん」と悩んでしまいます。

部下の課題や弱点について聞くと皆すらすら答えられるのに、長所が言えないのはとても残念なことですね。

長所がわかりやすく際立つ人もいますが、多くの人はパっと分かる長所を持ち合わせているとは限りません。

よって、長所はあえて見つけようと努力する必要があります。
その代わり、努力すれば必ず見つかります。
 

ピーター・ドラッカーは様々な著書を通じて「強みを生かす」大切さについて述べています。
 

「人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。強みに集中し、卓越した成果をあげよ」

「部下の弱みに目をむけることは、間違っているばかりか無責任である。上司たるものは、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能なかぎり活かす責任がある。そしてそれ以上に、部下に対して、彼らの強みを最大限に生かす責任がある」

「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある」

 
あなたが部下を活躍させたいと願うならば、何より強みを見つけ、それを活かせるよう導いていきましょう。

 

まとめ

 
最後に、もっとも大事な質問です。
 

質問⑥「部下を本気で育てようと思っていますか?」

 
どんなにマネジメントについて勉強しようが、コーチングスキルを身に着けようが、真面目に毎週1on1をやっていようが、心の奥底で「部下を本気で育てよう」と思っていなければ、さしたる成果はあがらないでしょう。

その中途半端な気持ちは、行動として言動として表情として表れ、相手にもすぐ伝わります。

一度そう思われてしまったら、どれだけいいことを言ったところで、部下の心には響きません。
 

上司なら誰だって、部下に対して頭にくることも、面白くないことも沢山あります。
皆そうです。

あなたの上司だって、あなたに対して同じように感じることがあるはずです。
お互い様なのです。
 

良い組織をつくり、社員を成長させ、事業を成長させていくには、あなたが日々の感情や出来事に翻弄されることなく、「部下を本気で育てよう」と深く信じることが大きな一歩となります。 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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