職場の雰囲気が悪い・・・? 人間関係が悪い職場 を抜本的に解決する具体的な方法(事例紹介)

2022.04.21

 
なんとなくギスギスしている職場ってありませんか?そんな「  人間関係が悪い職場 」の原因はさまざまです。
 

  • 忙しすぎて自分のことで手一杯
  • 新しい社員が増えたため古い社員と壁ができてしまっている
  • リモートワークで仕事以外の交流が減り、つながりが弱っている
  • 若手と中高年世代でコミュニケーションが分断されている

 
などなど。
 

ギスギスしている職場は、仕事に多大なるマイナス効果を及ぼします。

意思疎通ができず業務のミスや不効率が発生したり、前向きに取り組む人の足を引っ張る人がいたり、人間関係トラブルの対処で仕事どころでなくなったり・・・ 
 

本日のブログは、職場の人間関係を根本から改善するための具体的な方法についてお伝えします。

 

人間関係が悪い職場 の改善はリーダーの責任

人間関係が悪い職場はリーダーの責任

 
職場の人間関係は、上手く機能すれば最高のチームになりますが、悪い方向に作用すると非常に厄介で修復の難しいものになります。

放置すれば、部署の業務のパフォーマンスに影響し、大切な人材の離職につながることもあるので、油断できません。
 

職場は当該部署の仕事の目標に向けて共に協力していく信頼関係が不可欠です。

お互いをリスペクトし、ポジティブに意見を言い合い、困っている人がいたら助け合えるチームが理想です。
 

以下のような状態は危険な徴候です。
 

  • 他人の足を引っ張る言動や行動をとる人がいる
  • 他人の仕事に無関心な人がいる
  • 誰が担当するかはっきりしない仕事にお互い知らん顔をしている
  • 私は忙しいのになんであの人は暇なの?・・のような不信感を持つ人がいる
  • 遠慮しすぎて思ったことを言わない人がいる
  • 派閥があったり、政治的な動きをする人がいる

Etc.
 

組織のリーダーはこのような徴候を感じたらすぐに対策を講じる必要があります。

元よりこうならないように平時から相互信頼があり協力的なチームを作っていくことに気を配るのもリーダーの大切な役割です。

 

人間関係が悪い職場 関係性向上の第一歩は相互理解

職場の人間関係性向上の第一歩は

 
高校1年生の4月のクラスルームを思い浮かべてみてください。

お互いまだ周囲のことをよく知らず、何となくぎこちない会話をしています。

とりあえず座席の近い人から少しずつ会話を始め、お昼ご飯を一緒に食べたりする過程で、徐々に打ち解け、学校に行くのが楽しくなってきます。

GWが明けた頃でも、まだ席の近い人同士のいくつかのグループで交流がされていますが、だんだん小グループを超えたやり取りが活発になり、友達の輪が広がっていきます。
 

このプロセスで必ずされる会話が、

「出身中学はどこ?」

「何部だった?」

「家はどこ?」

「部活には入るの?」

などの相手を知るための質問です。
 

相手を知ることで、2人の間にあった壁が徐々に溶け、不安が安心に変わり、信頼につながっていきます。

 

さて、職場は高校1年生のクラスのように皆が新入生ではありません。

古株社員もいれば新人もいます。年齢もまちまちで、歩んできたキャリアも全く異なります。

しかしお互いが理解し合って信頼を築いていく基本プロセスは同様です。

 

職場内コミュニケーションレベル

 
高校1年生の例のように、人と人が知り合い、理解し合い、共に協力し合っていくにはステップがあります。

以下の図は、職場内コミュニケーションのレベルが、仕事の成果にどのように影響するかの段階をあらわしたものです。

 

 
最初の必要最低限の段階では、電話を取り次いだり、業務上必要な質問をしたり、必要最低限の交流をする程度です。

お互いが関心を持ち理解が進むと、会話が増え、職場に活気が出てお互い助け合う姿勢が出てきます。

さらに相手の考え方に共感したり、お互いの信頼が深まると、もっと高いレベルを目指して共に協力していくようになります。
 

階段を上がっていくためには、「必要最低限の交流 → 相手に関心を持ち理解する」という初期のステップを大事にしてください。

 

人間関係が悪い職場 組織の関係性を高めた具体例を紹介

 
職場の関係性を良くするためにお互いの関心、理解を深める方法は色々あります。

初歩的なところでは、新しい人が入社したら歓迎会を開くとか、ランチを皆で一緒に食べに行くとか、仕事帰りに飲みに行くなどの方法です。

 
ここではもう少し踏み込んだ「仕組み」として、オフサイトミーティングを通して組織的に職場の関係を改善した事例をご紹介します。

 

クラウドツールなどを提供しているIT企業の管理部門では、管理部長の下に、経理2名、労務2名(1名はアルバイト)、採用2名、教育+広報1名、総務2名(1名は派遣社員)のメンバーがいます。

 

人間関係が悪い職場

 
年齢もまちまち、社歴もまちまちです。

普段はそれぞれの領域の仕事に分かれて動いているので、必要以上の交流はありませんでした。

とはいえ全社で行う半期に1度のキックオフイベントなどは管理部全員で運営します。

他にも全社的に「どこの部署の仕事が分からない仕事」は管理部に回ってくることが多いため、お互いが通常の担当業務以外に協力して進めるべき場面が多くありました。
 

ところが・・・

経理の2名は純粋な経理業務以外をあまり積極的にやろうとしません。

労務の2名も面倒くさい仕事はしたくないオーラが少し出ています。

総務の年配社員はとってもマイペース。

採用教育・広報の3人は若手ということもあり、何かというと自分たちに仕事の負担がかかってくる印象を抱き不満を感じています。

過去にも同じような不満を抱いた社員の退職がありました。

 
管理部長は社長の特命業務などで忙しくあまり職場の関係性改善などに気を配っていませんでしたが、この状況に危機感を抱き、オフサイトミーティングを通じて関係改善を図ることを決意しました。

 

オフサイトミーティングによるチーム力強化の具体的方法

 
以下は実際に開催したオフサイトミーティングの概要です。
 

期間3ヶ月
開催日時毎月第2・第4水曜の17:00~19:00(計6回)
場所社内会議室
参加メンバー管理部全員+外部のファシリテーター
その他の条件広めの明るい会議室を使用、ドリンクと軽食を用意

 

第1回目

■管理部長よりオフサイトミーティングの開催趣旨と目的の説明

■自己紹介

 

まず最初に管理部長が率直に思っていることを伝えました。

 

部内の関係性が悪く、業務に支障も出ており、皆が気持ちよく前向きに働ける職場になっていません。私自身も組織づくりにちゃんと気を配れておらず、反省しています。

もっと皆で協力し合って会社の目標に共に向かっていける活気ある職場にするために、お互い信頼し合う組織を作っていくことを目的としたオフサイトミーティングを行いたいと思います。

 

自己紹介では、実はお互いよく知らない状態を脱するため、このような内容を中心に各自から話してもらいました。
 

①    当社に入社した理由

②    どのような仕事をしたい、この先どんなキャリアを歩みたいと思って入社したか

③    仕事の内容と1日の仕事の流れ

④    生い立ちから今にいたるまでの紹介(話したい範囲で)

 

第2回目

■自己紹介の続き

■診断テストの結果共有

 

前回終わらなかった人の自己紹介を継続しました。

さらに、第2回までの間に「キャリアアンカー」という診断テストを全員に受けてもらい、その結果を持ち寄りました。
 

キャリアアンカーは、組織心理学者エドガー・シャイン教授が提唱したもので、個人がキャリアを形成する際に大切にしている(譲れない)価値観、欲求を8つのカテゴリーの中から診断するものです。

この自己紹介とキャリアアンカーを通じて、お互いを深く理解することができました。

その人のここに至るまでの歴史、職場では見えなかった思いや価値観にふれることで、お互いの関心が深まり、遠い存在が少し近づく効果がありました。

 

第3回目

■チームで仕事をする上で大切にしていること

■ストレス解消法

 

それぞれのメンバーから、チームで仕事をする上で大切にしていることを話してもらいました。

人によって大切にしていることはさまざまですが、
 

「電話の取次ぎメモを見やすくしている人」

「相手が忙しそうな時に気を遣っている人」

「お願いする時の言葉の選び方を意識している人」

 
このように、それぞれに良い姿勢があることが理解できました。

今までは気づけなかった、自分に対する気遣いを認識することもできました。

 

次の「ストレス解消法」は雑談のようなものですが、それぞれどんな時にストレスを感じ、どうやってそのストレスを発散しているかを共有しました。

相手がどういうことにストレスを感じやすいかを知るのは、チームにとってキャッチボールが上手くいきやすくなる効果があります。

解消法にはその人らしさ、人間味が垣間見えて楽しい時間になりました。

 

オフサイトミーティングによるチーム力強化の具体的方法

 

第4回〜第6回

■私達が目指す職場について

(テーマ)皆がさらに楽しく前向きに仕事にチャレンジできる職場。働きやすい職場にするために何ができるか?

 

第4回〜第6回では、このテーマに沿って皆で意見を出し合い、最終的に実践することを決めていくことにしました。

第4回はブレスト的に色んな気づきやアイディアを出し合ったところ、以下のような観点に整理できました。

 

  • お互いの仕事の状況や近況を理解する場があるといい
     
  • 宙ぶらりんの仕事を放置せず、対応を考える場があるといい
     
  • 仕事が多すぎて1人で処理しきれない時に声をあげる仕組みがあるといい
     
  • 頑張った人、何かをやり遂げた人をちゃんと評価して欲しい
     
  • 思ったことを公式な場で言えるようにしたい(コソコソ言い合うのをやめる)
     
  • 管理部の役割と責任をもっと明確にしてほしい

 

第5回・第6回では、第4回に出たそれぞれの案について、具体的にどのような対策を進めるべきかを話し合いました。

その上で第6回の最後の場で、管理部長が今後実施することについて皆に説明しました。

 

オフサイトミーティングで決まったこと

 
■毎日朝礼(5〜10分程度)の実施

その日の仕事の状況や処理しきれていない仕事などを共有。必要に応じて協力体制や対策をその場で決める
 

■2週間に1回、部内ミーティングの実施

それぞれの業務課題への取り組み状況を共有し、対策の議論、協力要請などを行う
 

■休暇取得、外出、席外しなどの情報をメンバー間で共有する
 

■管理部内の表彰制度を開始する(四半期に一度)
 

■仕事の明確化

どの部署の責任かが曖昧で何となく管理部に来ていた仕事を、管理部長が改めて整理して社内で明確化する

 

オフサイトミーティングを効果的に機能させるために

 

オフサイトミーティングは、仕事より気軽なリラックスした場ではあるものの、飲み会ほどくだけた場でもありません。

よりよい職場環境にすることを目的に、皆がお互い本音で話し合えるよう促進する場です。

 

実施環境

 
このケースでは、大きめのゆったりした会議室の照明の明るい場所でやりました。

ドリンクと軽食を用意して、カジュアル感を演出しました。

  

メンバー

 
社内のメンバーだけでは、日常の関係性をそのまま持ち込みがちになります。

そこであえて外部の人間(=客観的な立場)を入れ、議論が偏りすぎたり、力の強い人の意見に引っ張られすぎないようにしました。

これは意見が出やすくなる効果もあります。

 

リーダーの姿勢

 
何より大事なのはリーダーの姿勢です。

今回の事例の場合、組織の関係性が悪くなったのは管理部長の責任でもあるので、彼は自分の非をしっかり認めつつ、今後は不退転の決意で良い組織にしていくことを表明しました。

オフサイトミーティングを進める過程で非協力的な社員がいた場合には、厳しく改めさせる姿勢も欠かせません。

リーダーがなあなあに進めたり、特定の社員の声ばかり聞くと、オフサイトミーティングの効果が発揮されないので要注意です。

 

オフサイトミーティングの効果

 
この事例では、オフサイトミーティングを経て職場の雰囲気にかなり変化が見られました。

具体的には、全員の仕事の姿勢が前向きになり、お互いに大変な時にカバーし合うスタンスが見られるようになりました。

他部署の人が管理部に来ると、「管理部、なんか雰囲気がいいですね」と言われるようになったそうです。

 

まとめ

 
ギスギスした職場の原因を紐解いてみると、1人1人の社員は自分なりに会社をよくしようと一生懸命やっているものです。

ただ、視野が狭かったり、相手に歩み寄る姿勢が少し足りないが故に、相手に嫌な思いをさせたり、対立が生じたりしています。
 

関係性を抜本的に改善するには、「〇〇さんと●●さんの仲が悪い」といった個々の問題に個別対処するよりも、抜本的に関係改善を図るのがマネジメントの望ましい在り方です。
 

関係が上手くいっていない真因は、「お互いをよく知らない・理解していない」という点にある場合がほとんどです。

そのため、事例のオフサイトミーティングのような場を設計し、相互理解から入り、徐々に良い職場づくりに向けた議論をしていくのは非常に効果的なやり方です。
 

職場の人間関係は部署の業務のパフォーマンスに影響し、大きなミスや大切な人材の離職につながる恐れもあります。

不安を感じるマネージャーはぜひ抜本的な組織改善に取り組んでみてください。

 

 

こちらの記事もおすすめです。
 

 

 

筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

筆者プロフィール詳細