テレワーク時代のマネジメント |リモート下でも停滞させない人材育成

2021.07.08

本日のテーマは「 テレワーク時代のマネジメント と人材育成 」です。

ワクチン接種がいよいよ本格的に進み始めていますね。

コロナで一気に進んだ働き方改革は今後どうなっていくでしょうか?

オフィスの光景や通勤風景は徐々にコロナ前に近づいてはいくものの、完全に戻ることはなさそうです。

「週3日は自宅からリモート」という形であったり、同じ部署の中に常にリモートの人が混在するといったことも普通の風景になりそうですよね。

直接職場で顔を合わす回数が限られる状況が続いていく中、人材育成にはどのような影響があるでしょうか。

 
今週のブログでは、リモート環境下における人材育成の進め方についてお伝えします。

 

リモート下で上司は人材育成に悩んでいる

 
リモートワークでの部下の育成について悩んでいる方はたくさんいて、例えばこのようなことを考えています。
 

  1. 仕事をしている状況が見えないから、何を指導したりサポートすればよいかわからない
     
  2. 次々にオンライン会議が続くため、部下の育成に時間をとれない
     
  3. 自分の仕事ぶりを見て学んでもらうことができない
     
  4. ちょっとした会話や、ランチタイム・移動の合間などの “間” がなくなり、仕事の姿勢やマインドを伝える機会がない
     
  5. 部下が同僚から刺激を受けたり、学び合ったりする場がない

 
4などは、部下の育成において放っておけない観点ですね。

あなたもご自身を振り返ってみてください。

上司から受け取った言葉のうち、数年後も忘れない教訓や励まされた言葉は、会議の場ではなく、少しリラックスした場の交流で受け取ったものではないでしょうか。

5のような場もなく、孤独感を感じながら、もっと力を伸ばすチャンスを逃している社員も多くいるのが現状です。

 

リモート下の人材育成の在り方

 
リモート下の人材育成は確かにハードルがあるものの、工夫次第でその壁はクリアできます。

今後もリモート環境が続く会社の方は、対面でやっていた時の人材育成の方法を大胆にリセットし、リモートに適した育成に切り替えてみましょう。

リモート下の人材育成で意識すべきは以下の3点です。
 

  1. 日常のふとした気づきをちゃんと伝える
  2. 日々の仕事を振り返る時間をとる
  3. 孤立させず、組織で育てる

 
それぞれについて説明します。

 

日常のふとした気づきをちゃんと伝える

 
部下と一緒に会議に出ている途中、部下の発言から気づくことや、伝えたいことが思い浮かぶとします。

リアルの会議であれば、終わった後、会議室から席に戻る途中にその話ができますが、リモートの場合、皆順次会議から退出し、伝える時間がとれません。

部下も同様です。打合せ時にふと気づいた疑問や、上司に後で尋ねようと思ったことが、そのまま放置されてしまいます。

そこで上司、部下ともに次のような習慣をつくります。
 

  1. 日中にお互いが気づいたこと、伝えたいことを必ずその場でメモしておきましょう。
  2. できれば夕方に10分でも時間をとり、それについて話をしてください。
  3. 毎日が無理だとしても、2~3日に1回はその時間をとり、もやもやを早く解消しましょう。

 
長い時間をとる必要はありませんが、リアルの職場における “間” の代替として、このような時間をとりましょう。

ちょっとした気づきをきっかけとした、上司と部下間の無数のやり取りがOJTの本質です。

このやり取りを失ったら人材育成面では大きなロスとなるので、絶対に外せないところです。

 

日々の仕事を振り返る時間をとる

 
これはリアルだろうとリモートだろうと変わりませんが、部下の仕事の役割、目標、タスクを明確に定め、週に1回程度は進捗を確認する場を設けましょう。 

部下にとっては、自分の進捗を振り返り、対策を考え、上司からアドバイスや、時にはプレッシャーをもらう場。
惰性で仕事せず、振返って考える習慣づけが大事です。

上司にとっては、順調に進んでいるか確認すると同時に、必要なサポート・指導をし、部下の健康や心の状態を把握する場でもあります。

 
なおリモートの場合、上司は近くで管理できないので1日の仕事をより明確に定めるよう意識している人は多いと思います。

それはそれで大事なことですが、逆に明確にしようとするあまり、仕事が単純作業になってしまったり、チャレンジ要素がなくならないよう気を付けてください。

すぐに形が見えない曖昧な仕事に必死に取り組む時間も、人の成長には欠かせません。

部下の能力とバランスをとりながら、単純な可視化できる仕事ばかりにさせないよう意識しましょう。

 

孤立させず組織で育てる

テレワーク時代のマネジメント

 
リモートで黙々と仕事をしていると、無駄話や同僚との交流の機会が限られ、孤独感を感じがちです。

何か壁にぶつかっても、周囲の力に頼らず独力で何とかしようとしますが、所詮一人の力には限界があります。

たった一人の戦いにさせることなく、組織として皆で戦い、皆で育っていく環境を用意しましょう。

 

いくつか具体的な方法があるので、あなたの職場に合ったやり方を考えてみてください。

 

背中を見て学ぶ場

 
部下育成を目的に、上司は自分が顧客と打合せする場(オンライン会議)にあえて部下を同席させましょう。

もしくは、優秀な先輩社員の商談の場に部下を同席させて学ばせるのもいいです。

同席が難しければ、会議をオンライン録画しておき、後から部下に見てもらってください。

リアルの会議の場合、部下が上司の横に座り、上司が顧客と丁々発止のやり取りをするのを見て学びますよね。
それと同じです。

オンラインでは会議同席や録画がとてもやりやすいので、ぜひセットしてみましょう。

 

部署の進捗報告会

 
自部署の業務の状況、目標に向けた進捗、最近のトピックなどを上司から全体に伝えます。月に1回程度でいいでしょう。

単に報告に終わらせず、このようなことを含めましょう。
 

  • 頑張っている社員の賞賛
  • 成果を上げたプロジェクトの紹介
  • 部署として会社にどのような貢献ができているか、今後どのようにしていきたいか 

 
日々の仕事に埋没している部下の視点を拡げ、組織に貢献するために何をしたらいいかを考えてもらういい機会になります。

 

オンライン勉強会

 
同僚の頑張りに刺激を受けたり、同僚の工夫を学ぶための勉強会を開催しましょう。
 

  • 営業であれば受注成功事例/失敗事例の共有
  • バックオフィスであれば最近行った業務改善の共有
  • 先輩社員によるノウハウ伝授
  • 業務スキルや知識の学習

 
などを行います。

毎回、簡単なテーマを決め、持ち回りや上司指名で講師役を決めてください。

講師役を担うことで、それぞれが自分の仕事を振り返る効果もあります。

 

雑談タイム

 
部署のメンバー全体でオンラインを繋いだり、部署のメンバーを2~3人グループに分けて、オンラインで交流します。

ランチタイムにやるのもおすすめです。

特に話題の制限はありませんが、お互いの仕事の状況を話したり、困っていることを共有したり、やや真面目な雑談のような場になるといいですね。

 

メンター制度

 
既にメンター制度を導入している会社もあると思いますが、オンラインでは一層力を発揮します。

通常メンターは自分とは違う部署の人が担当するので、普段上司には言えない悩みを相談することができます。
他部署の話を聞いて刺激も受けられます。

孤独になりがちなオンライン環境では、メンターの価値がもっと脚光を浴びていいのではないでしょうか。

 

まとめ リアルで集まる場もお忘れなく

 
リモート下の人材育成についてお伝えしてきました。

リモートならではの育成の仕組みを整えれば、リアルに遜色なく人材育成を進めていけるはずです。

 
同時に、忘れてならないのはリアルに人が集まる場の力です。

チームメンバー同士が理念や価値観を共有したり、共に目標に向かっていく相乗効果を養成するのは、やはり直接集まるリアルには敵いません。 

できれば月に1回程度、夕方から夜にかけて、少し気持ちのリラックスした時間に集まれたらいいですね。

デリバリーでもとって、軽く飲み食いしながら1ヶ月を振り返ってみましょう。

毎月集まるのが難しい環境の場合、例えば半年に1回程度、1泊2日でワーケーションなどを実施するのもいいですね。

2日間一緒に濃厚な時間を過ごすことで、普段画面の向こうの同僚との距離が一気に近づき、仕事上でも協力し合える関係を育てられるでしょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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