脱・上司ガチャ。「 嫌な上司 」を自分にとって「いい上司」へ変える逆転のマインドセット

2025.12.12

嫌な上司

上司との相性・働きやすさは仕事の結果に影響を与える大きな要素です。

上司ガチャという言葉があるように、誰が上司になるかにはどうしても運が絡みます。
 

しかしながら、仮に「嫌な上司についた」という不運によって自分の仕事の成果が出なくなるとしたら、それはとても勿体ないことです。

せっかくの自分のキャリアを運任せにしているようなものです。
 

最初は「嫌だな」「合わないな」と感じる上司だとしても、自分の心持ちや接し方次第で仕事がやりやすくできるならば、その工夫をしない手はありません。
 

今週のブログでは、「嫌な上司」を自分にとって「いい上司」に転換する方法についてお伝えします。

 

いい上司に巡り合う確率は低い?

嫌な上司

 
あなたはこれまで「いい上司」と思える人に巡り合ったことがありますか?
 

私は過去に20人近い上司と仕事をさせていただきましたが、第一印象で「いい上司だな。相性も良さそうだ」と思えた人は、3人くらいです。

確率論でいったら大体そんなものではないでしょうか?
人の相性の確率を考えたら、合う上司より合わない上司の方が多いのが自然だと思います。

 
けれど一緒に仕事をして、共に時間を共有し、色んなことを教わり、時に衝突もあった上で、後から振り返ってみると、20人近い人のうち、いずれの上司も結果的にいい上司ばかりでした。
 

なぜそうなったのだろう?と考えたことがあります。
 

それは、私自身が上司と出会った初期に感じた印象は、自分の狭い価値観や少ない経験にもとづいて相手を判断していたにすぎなかったからです。
 

最初の印象はあくまで印象でしかなく、共に働く中で上司の方の魅力が見えてきました。

相性の良し悪しでいえば、悪い人の方が多かったと思いますが、「いい上司」と相性はあまり関係ないんですよね。

 
上司の魅力も本当に人それぞれでした。
 

厳しいけど、頭が切れ成長させてくれる人

少々お節介だけど、面倒見の良い人

ちょっと頼りないけど、人間的魅力に溢れた人

ふざけてばかりいて仕事が遅いけど、部下想いの人

超スピード重視でついていくのが大変だけど、面白い仕事の機会を作ってくれる人

一見とっつきにくいけど、専門性や知識がすごい人

理屈っぽいけど、学究肌で理知的な人

とても恐いけど、常に本気で一切手を抜かない人

などなど。

 
十人十色で魅力も欠点もそれぞれ異なりますが、皆さん、その人なりの魅力がありました。
 

自分自身だってたくさん欠点があるので、上司の短所に目を向けるのではなく、長所に目を向けることが大切だと学びました。

 

皆、上司に対する理想が高すぎる

 

多くの人が、上司に対して 「上司の理想像」 を高く設定しすぎています。

現実はそんな立派な上司ばかりではないので、理想を高くしすぎると高い確率で失望し、不運を呪うことになります。
 

優秀で、仕事ができて、指示が明確で、面倒見がよく、気遣いができ、部下に公平で、話題が豊富で、部下のために戦ってくれ、決して逃げない・・・。
 

こんな素晴らしい上司は、現実の世界には滅多に存在しません。


どの上司も尊敬できるところもあれば、真似したくないところもある。実際はそんなものではないでしょうか?
 

理想像を持ちすぎているとあなた自身が苦しくなってしまいます。

上司の長所短所の凸凹を許容し、良い部分を見ていきましょう。

 

「 嫌な上司 」を「いい上司」に転換する方法

 

出会った初期には「苦手だな」「相性が悪いな」と思う上司がいるかもしれません。

社内で評判の悪い上司の部下になるかもしれません。
 

そんな上司であっても、良い関係を築き、仕事をやりやすくしていくことは可能です。
 

「ボスマネジメント」という言葉もあるように、部下も上司をうまくマネジメントして、仕事がスムーズに進むよう努力が求められます。

 

いくつか具体的な方法をお伝えします。

 

上司に関心を持つ・上司を知る

 
ビジネスパーソンは異動、昇進、転職などによって上司が変わります。

その時に、「どんな上司かな?」と楽しみにできるといいですね。
 

少々失礼かもしれませんが、動物園で順路に沿って見ていく時のように、「次の檻には何の動物がいるかな?」「その動物ってどんな動物だろう?」と興味を持つのと同じくらいの感覚でもいいと思います。
 

せっかく新たに人と出会うのですから、好奇心全開で「どんな人だろう?」と興味関心をもちましょう。
 

興味関心は多少自分で意図的に持つようにしないと湧いてこないこともあるので、意識的に相手を知る努力も必要です。

これまで歩んできた部署、やってきた仕事、得意な仕事、家族、趣味などなど、どんな所からでもいいので、上司の人となりを理解してください。
 

人は誰でも自分に関心をもってもらえるのは嬉しいものです。

「上司から部下に歩み寄って、上司から話をすべき」なんて固定観念は脇に置き、どんどん自分からアプローチしていきましょう。

 

上司に敬意をはらう

 
たまに上司を見下すような態度をとる人がいます。

自分の能力に自信があり、「自分の上司は仕事ができない」と思っている人に、こういう態度が出ることがあります。
 

しかし、このような態度は最初から人間関係を破壊しにいっているようなものです。
 

そんな態度で来られたら、上司の方だって「この部下は面倒くさいやつだな。あまり接したくないな」と思ってしまいます。
 

実際にどちらの方が仕事ができるかは置いておいて、その上司の部下になった以上、きちんと敬意を払い、丁寧な対応をする。

これはコミュニケーションにおける最低限のマナーです。

 

 

上司の強みや良いところを見つけて認める

 
企業のマネジメント研修などでは、管理職の人達に対して、「部下の長所を見つけて認め、その強みを活かそう」といった内容があります。

これは部下から上司に対しても同じことが言えます。
 

上司も人ですから、自分の長所を認めてもらえると嬉しく、部下に認められたらさらに部下のために頑張ろうと思います。
 

冒頭お伝えしたように、人それぞれの魅力は異なりますが、その上司ならではのいい所が必ずあります。

そこに着目し、
 

「〇〇さんのXXなところ(長所)はどのように習得されたんですか?」

「XXなところを私も真似したいんですが、どのようにしたらいいでしょうか?」
 

などと聞いてみてください。
 

色々深い話も聞けるでしょうし、上司との人間関係の潤滑油にもなるので一石二鳥です。

 

上司の考え方や癖を知る

 
上司それぞれの仕事スタイルや習慣、考え方があるので、それをしっかり理解することも仕事を円滑にしてくれます。
 

例えば、あなたの上司はどちらのタイプでしょうか?
 

・ある程度しっかり考え抜かれた報告を求める VS 途中段階でもよいから小まめでスピーディーな報告を求める

・いつでも相談に来てもらって構わない VS 集中している時間の相談は避けてほしい

口頭報告を好む VS 書面での報告を好む

 

また、次の観点では上司はどのような考えを持っているでしょうか?
 

会議運営で重視すること

資料や報告書の体裁に求めるレベル

情報手段(メール/chat/その他システム/紙書類等)の使い分け

などなど。

 

このように上司の考え方や癖を理解しておくと、やり取りがスムーズになり、余計なストレスを抱えなくて済みます。
 

分からなければぜひ上司に聞いてみましょう。

「〇〇さんは、小まめに途中経過報告してほしいですか?それともある程度まとまった報告がいいですか?」

 

 

上司の弱点をカバーする

 
上司と部下は同じ目的に向かって進むチームです。

チームはお互いの長所活かし、弱点を補い合うことで強くなるので、上司ともそのような関係を築けると何よりです。
 

例えばあなたの上司がプレゼンや説得は上手だけど数字やデータに弱いとしたら、

「うちの上司は数字が弱くて困るよ」

とぼやくのではなく、上司が社内報告する際の裏付けとなるデータの取りまとめや分析を上司の代わりにやりましょう。
 

上司の会議運営がうまくないと思ったなら、よりよい会議のやり方を提言し、ファシリテーター役を買って出ましょう。

 

上司の苦手なところをカバーすると、

①上司に感謝され②1つ上のポジションの業務で貢献できて評価され③自身の能力向上にもつながるので、一石三鳥です。

 

「あの仕事は上司の仕事で、この仕事は部下の仕事」という決めつけをしてしまうと、

「何で上司はあの仕事をやってくれないんだろう・・・」とストレスがたまります。
 

また自分の仕事の範囲を小さく限定してしまうので、一段上の力をつけるための成長チャンスを失いかねません。
 

したがって、上司の弱点カバーをきっかけとして、自分の仕事のレベルを一段上げ、できる範囲を広げていくチャンスにしましょう。

 

上司が困っているときに助ける

 
上司も人間なので、失敗するし、落ち込むこともあります。

どうしようもない問題に巻き込まれ、答えを出せずに悶々としていることもあります。
 

上司がそのような状況に陥っていたら、できる限り協力してあげましょう。
 

強そうな上司に限って、部下に弱みを見せず一人で抱え込みがちです。

そんな時に部下から「何かできることがあれば協力します!」と言ってもらえたら本当に嬉しいはずです。
 

打算で動く必要はありませんが、人は貸し借りのバランスを保っておきたいもの。

上司の力になることができれば、その部下が困った時に上司は必ずや手を差し伸べてくれるはずです。

 

こまめな報告でコミュニケーションを行う

 
先ほど報告の求め方にも上司によって違いがあるという話をしましたが、程度の差こそあれ、上司という生き物は部下の仕事の状況がとても気になっています。
 

順調に進んでいるのか止まっているのか、はたまた何か問題が起きているのか、常に気になります。

かといって、上司としては、部下に頻繁に「あの件どうなっている?」と声をかけるのを遠慮しているケースも多いです。
 

したがって、新しい上司と仕事をするときは、お互いの程よいペースがつかめるまで、できるだけ細やかに頻度高く報告・相談を行うことをお勧めします。

この安心感が関係の基礎となり、上司とうまくいく確率を高められます。

 

まとめ

 

上司との関係は、自らの力で良いものにしていくことができます。

最初は「 嫌な上司 」だと思っても、共に仕事をする中で「いい上司」に転換することも十分に可能です。
 

上司がお膳立てしてくれることを期待したり、上司に過度な理想像を抱くのではなく、自ら働きかけて上司と信頼関係を築くスタンスが必要です。
 

上司との関係が良くなれば仕事は一気に進めやすくなります。

仕事の成果が出しやすくなり、周囲から評価され、さらなるチャンスも広がっていきます。
 

双方にとってプラスの循環を生み出すためにも、上司との関係づくりを「自分のアプローチ次第」だと思ってぜひ工夫してみてください。

 

  

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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