失敗しない転職 とは?スムーズに転職先に溶け込み活躍するための3ステップ

2023.05.11

 

転職初日、人は期待を膨らませて新しい職場に出社します。
 

「最初の1週間くらいで職場に慣れて、徐々に仕事を覚えて、数ヶ月後にはバリバリ活躍だ!」
 

・・・といきたいところですが、転職者誰もが職場に上手く溶け込み力を発揮できるとは限りません。

優秀な人材であってもスタートでつまづき、結局力を発揮できないまま早期退職、なんていうこともあります。

このような転職の失敗は「ミスマッチだった」という言葉で片付けられてしまいがちです。

 

しかし、私がこれまで見てきた「早期退職となってしまった転職者」の中にはミスマッチが原因とは言えないケースも多々ありました。 
 

「ミスマッチ」というのは仕事に求められる能力や適性が明らかにズレていたり、本人の価値観と企業文化が明らかに合わないということなのでやむを得ません。

しかし転職先でつまずく人の原因の多くは、ミスマッチではなく「転職を成功させるための初期ステップをきちんと踏んでいないこと」でした。
 

今週のブログでは、転職する人が新しい職場にスムーズに溶け込み活躍するための必要なステップについてお伝えします。

 

失敗しない転職 転職初日

 

何事も最初が肝心なので、「転職初日」というのはとても重要です。

少なくとも初日に以下のことができると望ましい立ち上がりと言えます。

 

転職初日のミッション

 
自己紹介の準備

出社前に、どのような自己紹介をするかをあらかじめ考えておく
 

自己紹介

上司、同僚へ挨拶と簡単な自己紹介をする。できれば相手からも簡単に自己紹介してもらう。

それぞれの名前や特徴をメモする。上司の上司や社長にも挨拶をする
 

交流

できれば上司、同僚と一緒にランチをしたり、気軽な会話の時間をもち交流を深める
 

ミーティングの依頼

上司および仕事で関わりが多くなる人に時間をもらい、仕事内容、職場のこと、社内の人間関係などについて教えてもらう
 

管理部門に話を聞く

人事など管理部門の人から、社員として最低限知っておくべきルールや注意事項などを教えてもらう

 

失敗しない転職

 

会社側が上記のような場を用意してくれる場合もありますが、そうとは限らないので、自ら能動的に動くことが大事です。

初日はとても慌ただしい一日となりますが、座席に座って手持無沙汰のまま時間が過ぎることがないようにしましょう。
 

転職したら通常は職場の同僚がウェルカムモードであるのを期待しますが、現実は必ずしもそうとは限りません。

色々な事情で警戒感をもって迎えられることもあります。

 
だからこそ、笑顔でハキハキ、キビキビ行動し、時間を割いてくれる人にはしっかり感謝の気持ちを伝えることが肝要です。

 

失敗しない転職 入社1週間

 
入社1週間で、会社や職場をよく理解することが求められます。

良い仕事をするためには

「自分のいる会社がどんな会社なのか」
「所属する職場にはどのような職場風土や決まりごとがあるのか」
「同僚たちはどんな人か」

これらをよく知ることが第一歩です。

会社や職場の事を知らずして自分の能力を発揮しようとしても限界があるからです。

少なくとも以下のような理解ステップを進めていきましょう。

 

入社1週間のミッション(会社理解)

 
会社理解

会社案内、商品パンフレット、社史(あれば)、沿革がわかる資料、組織図、業績、過去の会議資料などにじっくり目を通す。

会社で今起きていることは過去からの歴史の上に生じていることなので、今という点だけを見ず、過去から今につながる線で見るようにしましょう。
 

上司との意見交換

上司に少し長めの時間をもらい、自分自身の役割、期待されていること、職場の目標、職場の課題、上司への日常の報告方法・報告頻度等についてしっかり意見交換を行ってください。
 

同僚と話す

同僚にお願いして話をする時間をもらいましょう。1対1または数名で、皆さんそれぞれの仕事内容やこれまでの歩み、業務上感じている課題などを聞いてください。

時間を割いてくれることへの感謝の言葉も忘れずに。
 

社外の人と話す

社外の取引先等で関わりが多くなりそうな人とも是非話をしましょう。

社外の人は会社を客観的に見ているので、できるだけ率直な意見などをもらうと役立ちます。

 

その他、時間の許す限り、なるべく多くの人と話をして会社について詳しくなりましょう。

話をする際、「相手に気に入られよう!」とか、「自分をできる人間と思わせよう!」という邪心は不要です。

「一日も早く会社に貢献できるようになりたいので、会社の事を色々教えてください」という謙虚で誠実なスタンスがあれば大丈夫です。

 

入社1週間のミッション(人間関係構築)

 
最初の1週間は人間関係構築の第一歩でもあります。

 

上司との関係構築

上司との関係構築は何より重要です。

仕事の話だけでなく、上司の人となりや苦労されていること、(可能な範囲で)プライベートのことなどを尋ね、上司がどのような人なのかをよく理解しましょう。

自分自身のこともできるだけ自己開示し、お互いの距離を近づけていきましょう。
 

同僚との関係構築

同僚との関係性が後々の仕事のパフォーマンスに大きく影響します。

毎朝相手の目をしっかり見て快活な挨拶をし、難しい顔をせず笑顔でいきましょう。

皆の名前や特徴をしっかり覚え、自分から話しかけましょう。
 

その他

自分より若い人や職位の低い人に対しても決して偉そうな態度をとることなく、何でも謙虚に教わる姿勢でのぞみましょう。

 

入社1週間のミッション(仕事) 

 
最初の1週間、担当業務では以下のことを心がけましょう。
 

仕事内容

仕事のやり方、知識など分からないことがあれば積極的に上司、同僚から教えてもらいましょう。遠慮はいりません。(ただし一度教わったことを度々質問することがないよう、記録をしっかりとっておく)
 

受け入れる姿勢

この段階では「あれっ?」「おかしい・・」と思うことがあっても、まずは会社のやり方、職場のやり方を受け止めることが大事です。

「前の会社では〇〇でした」や「聞いてた話と違うのですが・・・」というような発言は極力控え、まずは受け入れてみましょう。
 

飛ばしすぎない

あまり最初から気負って飛ばし過ぎないこと。まずは初動の業務を着実にこなすところから始めましょう。
 

積極的な姿勢

間違っても自分の能力を見せつけようなどと思わないこと。
この段階では、何事も前向きに積極的に取り組む姿勢こそが評価されます。
 

基本ルールとマナー

会社によってITツールの活用、コミュニケーションの方法が全く異なります。

メールやチャットの利用状況、グループウェア等の活用、情報共有のやり方、共有フォルダ等の管理などについて、詳しい人から話を聞いてください。

 

失敗しない転職 入社1ヶ月

 
入社から1週間が経ちました。

慣れない環境への適応と緊張感であっという間の1週間だったはずです。

さて、ここからの1ヶ月は、仕事を通じてさらに上司や同僚との関係を強め、自分が仕事しやすい環境を作っていく段階です。
 

 

逆の見方をすると、上司や同僚から「〇〇さんが入社してくれて良かった」と思ってもらえるような状態に近づけていく段階です。

その際、いくつか有効なやり方があるのでぜひ実践してみてください。

 

入社1ヶ月のミッション

 
鍵は「皆の嫌がる仕事」「間に落ちている仕事」

どこの職場でも、「誰かが手をつけて解決すべき」であるにもかかわらず、誰もが見て見ぬふりをしている仕事があります。

この手の仕事は転職したばかりの人にとっては宝です。

その仕事を引き受けて解決に導いてくれれば、周囲から感謝されること間違いありません。

多少ハードルの高い仕事かもしれませんが、これを突破すれば一気に仕事がやりやすくなるので、ぜひトライしてみてください。
 

想定していた業務と違うとき

想定していた業務と違ってもできる限り対応します。

入社してから頼まれる仕事が、入社前に聞いていた業務内容と異なることがあります。

依頼する側も入社前に伝えていた業務と違うのは分かっているものの、会社の優先順位として先にお願いせざるを得ない場合もあるので、そこは受け入れてやってみることです。

その仕事で信頼を得れば、本来担うべき仕事もやりやすくなります。
 

相対的に強みのある仕事で貢献する

同僚と比べて自分が相対的に強みがある仕事で貢献しましょう。

例えば前職では人並みだったけど、転職先では皆がITに弱いため、相対的に自分はITに強い人材になったとします。

ITを活用した業務の効率化、無駄な仕事の削減などを提案すれば皆に喜んでもらえます。

 仮に商品企画がメイン業務で入社したとしても、IT方面にも強みがあるならば、ぜひプチ二刀流でその方面でも貢献しましょう。
 

 

率直な意見、建設的意見を発信する

転職して来たばかりの人の強みは、職場に慣れていないことです。

既存社員は従前のやり方に慣れきっているため、何かおかしい点があっても気づいていません。

転職者の新鮮な視点、気づきは職場を良くするきっかけになります。
 

具体例

会議の時間が長すぎて冗長な報告に時間をとられていると気づいたら「報告は事前に資料で共有し合い、会議の場は対策の議論にしませんか」という提言をすれば、皆の仕事の時間を効率化することができます。
 

注意点1

ただし提言する場合の伝え方に注意しましょう。

「この会議のやり方はおかしい」というニュアンスで伝えると反感を買う場合があります。

「私もまだ慣れていないのでぜひ皆さんのご意見をお聞きしたいですが、会議の報告は事前に済ませておき、会議の場では対策の議論に時間をしっかりとるのはいかがでしょうか?」という言い方にしましょう。

相手の否定ではなく、現状を理解した上での建設的意見という見せ方が大事です。
 

注意点2

提言はある程度の人間関係ができてからが望ましいです。

仕事を通じて関係構築が進んでいれば提言も前向きに受け止めてもらえますが、まだお互いのことをよく知らない手探りの段階であれば、提言は焦らない方が得策です。

 

以上のようなスタンスで仕事を進めていけば、仕事ぶりを見ている同僚が徐々に胸襟を開き、「〇〇さんが入社してくれてよかった」という気持ちに近づいていくはずです。

この1ヶ月が順調に回転し始めれば、次の3ヶ月で存在感を発揮し
 

「〇〇さんって転職してまだ3ヶ月だっけ?既に1年くらい居るように感じるね」

 
と言ってもらえるような存在になれるでしょう。

 

まとめ

 
転職先に溶け込み力を発揮するためには、それ相応のステップを踏む必要があります。

受け身の姿勢で誰かが道を整備してくれるのを待っていたら、上手くいくものもいきません。

自ら主体的にステップを刻んでいく準備と覚悟が必要です。
 

転職したら、新しい職場で何らかの違和感を感じたり、やりづらいこと、聞いていた話と多少異なることがあるのは当たり前。
 

 

そこに目くじらを立てることなく、自ら行動し、自ら力を発揮しやすい環境を築いていく姿勢が何より大切です。
 

特に転職後最初の1ヶ月までは精神的に辛いことが多々ありますが、そこを乗り越えれば道が開けます。

私も過去何度か転職したことがありますが、転職初日でダメージを受け、翌日から出社したくなくなったこともありました。

しかし自分の気持ちを奮い立たせ何とか乗り越えられた結果、その会社で長く働くことになりました。
 

転職はビジネスパーソンにとって大きな決断。その決断を成功させられるかどうかは自分自身にかかっています。 

ぜひチャレンジを楽しむ気持ちを持ち続けながら、前向きな姿勢で新しい仕事に取り組んでいきましょう。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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