社員育成 × 仕事効率化が一緒にできる!一石二鳥の 業務分析表 を作ろう

2020.10.22

今回は、簡単な業務分析を通じて、人材育成と生産性向上の二兎を追うことができる方法を紹介します。

とてもシンプルな方法ですが、少し前にあるお客様にて実施し、実際に効果の上がったやり方です。

 

当たり前ですが、社員の成長は普段の仕事で決まります。

日々ルーティンワークを繰り返していたら、成長の余地はごくごく限られます。

正解のない試行錯誤の多い仕事は成長を加速します。

昨日より今日、今日より明日、少しでも仕事のやり方を工夫し、より良い結果を求めて頭をひねり行動した人には大きな成長が待ち受けています。

仕事に対するスタンスを可視化する

そこで、あなたの会社の社員が成長する仕事ができているか否かを、簡単な業務分析によってリアルに把握できる方法を紹介します。

 

ある営業企画担当者の例で考えてみましょう。

上司はこの担当者に日頃からいくつかの課題を感じていました。

上司が担当者に感じる課題
仕事が受け身
もっと自分から仕事を奪っていって欲しい
決められたことをこなすだけでなく、もっと考えて仕事をして欲しい

そんなときは、ぜひ以下の「業務分析表」を作り、業務内容とそれに対する本人の印象を可視化してみましょう。

 

業務分析表

(〇、△、×は本人の認識にもとづいて記入)

 

  • 主な業務の種類
  • その業務が全体の業務時間に占める比率
  • 自分の成長につながるか
  • やりがいを感じるか
  • 工夫・改善の余地があるか

 

以上を本人の印象で記入してもらいます。

この担当者の場合、仕事の70%が事務処理中心の定型業務で、本人として成長ややりがいを感じられていません。

 

先ほどの上司が感じる課題はごもっともですが

本人がやりがいや成長を感じられる業務の比率が30%に満たない以上、上司が望む状態に近づくのは容易ではありません。

決して定型的な仕事に工夫改善の余地がないということではありませんが、その余地は限られます。

上司が感じる課題への一番の解決策は、業務全体のうち、

定型的な仕事割合を減らし、曖昧性の高い仕事や自分で考えないと進められない仕事を徐々に増やしていくことです。

 

担当業務を3つに分類して再検討する

先ほどの図を以下のように分類して対応策を考えてみましょう。

 

業務分析表

 

【1】の領域:仕事のやり方を変えて減らす

 

この領域の仕事はやり方を変えて、なるべく減らします。この担当者にはもっと工夫の余地がある仕事を増やした方がいいです。

ではどうやって減らすか?

書類チェックの仕事や入力作業を分析すると必ず以下のような問題が見えてきます。

 

  • 二重入力などの作業重複
  • 提出元である営業担当者のいい加減な記入
  • 記入する必要のない情報
  • 自動化できる作業

 

こうした無駄な作業を洗い出し、どうやったら業務を減らせるかを本人に考えてもらいます。

(エクセルのスキルが必要であれば、当然勉強してもらいます。)

これは本人にとっても一石二鳥です。

ルーティン業務が減るだけでなく、業務プロセスを分析して改善する力がつきます。

 

【2】の領域:取り組み姿勢を変える

 

この領域は本来もっと工夫・改善ができる仕事なのに、担当者が定型的な仕事として処理してしまっているものです。

商品がたくさんある会社などは、だいたいパターン化された様式に販促資料を当てはめて大量生産していくので、単純作業になりがちです。

しかし本来は、商品毎の特徴やターゲット、営業上の課題を踏まえれば改善の余地が無限にある仕事です。

申込書のような手続き書類であっても、お客様の書きやすさ、抜け漏れの防止、事後処理のしやすさなどを考慮すると、フォーマット自体を色々工夫できるはずです。

担当者に工夫の面白さ、やりがいを伝え、仕事に取り組む姿勢やマインドを変えてもらいましょう。

 

【3】の領域:このレベルの仕事を増やす

 

担当者が既にやりがいを感じている仕事です。

もしかすると、この担当者にこのレベルの仕事はまだ荷が重いかもしれません。

しかしこの担当者を本気で育てたいのであれば、このレベルの仕事を増やし

ほどよいプレッシャーがかかるくらいまで負荷をかけていいと思います。

期待の言葉もかけてあげれば、意気に感じて頑張るはずです。

 

まとめ

 

以上、簡単な作業ではありますが、業務を可視化することで社員に仕事を客観的に考えてもらうことができ、とても有意義なツールになります。

社員に自分の業務を分析してもらうことにより、仕事への取り組み姿勢が変わり、業務が効率化され、本人にも会社にも少なくない効果が出てきます。

 

業務分析と聞くと、賢いコンサルタントなどが大掛かりに全ての業務を洗い出して改善施策を考えるイメージがあるかもしれません。

そのような全社最適で動かす部署横断型の業務分析もありますが、

今回紹介したように、一人の担当者の中で十分に進められる業務分析で改善することも可能です。

人材育成のひとつの方法としてぜひ取り入れてみてください。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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