リーダーを育てる 「ゼロからチームを作る経験」|ゼロイチ経験が骨太リーダーを生み出す理由

2026.03.27

リーダーを育てる

起業家は何もないところから事業を立ち上げ、成長過程でリーダーシップやマネジメント力を磨き、ビジネスを拡大していきます。

そのような力をもった起業家は、人を導き、組織を作る力を備えています。
 

会社員でも、組織づくりが上手いリーダーとそうでない人がいます。

優れたリーダーに過去の経験を聞くと、意外にもゼロからチームを作った経験」を持っている人が多いことに気づきました。
 

例えば、新しい部署を自分でスタートさせたり、たった1人から支店を立ち上げたり、新規事業を立ち上げ徐々にメンバーを増やしていくような経験です。
 

その事実を認識してから、改めてゼロからチームを作る経験の意義について考えてみました。

今週のブログでは、組織のリーダーになる上で「ゼロからチームを作る経験」がいかに意義深いかをお伝えします。

 

チームをゼロから作る経験とは

 

組織のリーダーになる道は大きく分けて2つです。

1つは、ゼロから組織を立ち上げ、そのリーダーになっていく道

もう1つは、既に存在する部署のリーダーとして異動(昇格)する道
 

この2つには経験値として大きな違いがあります。

以下の比較表をご覧ください。
 

 ゼロから立ち上げる場合異動(昇格)の場合
メンバーの採用1人目のメンバーから自分が面接して採用する(それぞれの報酬も決める)初期は不要
チームビジョン、目標自ら立てる元々ある(状況に応じて修正していく)
業務分担、会議、レポーティング方法、業務システム、組織の運営ルールなど自ら1つ1つ作り上げていく元々ある(必要に応じて修正していく)
関係づくり採用する毎に元々いるメンバーと
チーム風土自ら体現しながら作り上げていく元々ある(必要に応じて変えていく)
外部パートナー等自ら選定し連携を作り上げていく元々ある(外注先に不都合があれば変更する)

 
表を見ていただくと、同じチームマネジメントでも求められることが大きく異なると感じられたのではないでしょうか。
 

ゼロから立ち上げ

何もないところから1つ1つ積み上げていくステップです。
 

異動(昇格)

元々存在する組織の長となるので、ベースの形は既にできあがっています。

それを受け継ぎながら、見えてくる問題に応じて修正していくというステップです。

 

では、なぜ前者の経験が、優れたリーダーになる上でとくに重要なのでしょうか?

 

ゼロからのチーム立ち上げはリーダーシップ道場

 

ゼロからチームを立ち上げるプロセスでは、「異動(昇格)」ではあまり問われない力が求められます。

その最たるものは「巻き込み力」という言葉に象徴されるマネジメント力です。
 

まずは採用

 
組織の形も実績もないところから1人目のメンバーを採用しなければなりません。

採用面接の場において、新たに作るチームがどのような組織なのか、何を目指しているのか、どのような役割なのか、等々を語り、賛同してもらうところからスタートです。
 

自分自身が発する言葉や、自分という人間自体に魅力を感じてもらえなければ、採用には至りません。
 

1人目のメンバー、2人目のメンバーは組織の基礎をつくる上でとても重要な人物なので、採用で間違いは許されません。

全身全霊をもって「相手がどのような人か」「共に戦える人か」を見極めていきます。

 

初期メンバーの入社後

 
お互いを理解し合い、小まめにコミュニケーションをとりながら仕事を進めていきます。

「皆が同じゴールに向かって戦える組織」にしていかなければなりません。
 

中途採用で入ってきたメンバーたちはさまざまな業界からきており、バックグラウンドも価値観もバラバラです。仕事の進め方や習慣も統一されていません。

そのようなメンバーたちを束ね、その気にさせ、強い集団にしていく必要があります。
 

まだ何の実績もなく、組織基盤もない段階なので、強制力や前例では誰も動いてくれません。

よって、1つ1つの仕事についてなぜそれが必要か、目的は何か、といった背景をしっかり説明しながら、皆を巻き込んでいく必要もあります。

 

人数が増えてきたら

 
より良く運営するための業務ルールを作り、報告のルール、情報共有の在り方なども定め、仕事が効率よく回る仕組みも整えていきます。

メンバー間の関係づくりにも腐心するでしょう。

油断するとお互いのやっていることにズレが生じたり、不協和音が出たりしがちです。
 

定期的に振り返りミーティングを行ったり、皆で食事に行ったり、新メンバーの歓迎会を盛大に開いたり色々と工夫します。

週末に一緒に遊びに行くなど、仕事外でも関係を深めていくこともあります。

必要があれば、1人1人のメンバーとしっかり向き合って話をします。

 

こうした行動の積み重ねが、リーダーとメンバー及びメンバー同士の絆を深め、メンバーの意欲を引き出し、一緒に戦う仲間にまとまっていく力になります。

これが「巻き込み力」です。
 

リーダーを育てる

 

巻き込み力こそ、リーダーの本質

 
この「巻き込み力」がなければ、ゼロからチームを作っていくことは困難です。

 
「巻き込む」ためには、普段からの信頼関係づくり、リーダーの情熱、目的へのあくなきこだわり、伝える力、対話、業務設計力(業務効率化力)、メンバーへの配慮、人物見きわめ力など、多様なスキルや行動が求められます。

そう誰もができることではありません。
 

だからこそ、チームをゼロからつくる経験は、リーダーシップやマネジメント力を磨きあげるのに絶好の場と言えるでしょう。

 

一方で「異動(昇進)」の場合でも巻き込み力は当然必要ですが、「ゼロから立ち上げる」場合ほどではありません。

どちらかというと、現状の改善、改良の力が求められます。

 

マインドの差

 
マインドにも大きな違いが出ます。
 

「異動(昇進)」でリーダーになった場合、メンバーは自分が採用した人ではないので、その人の成長やキャリアに対する責任感が希薄になりがちです。

組織の目標も業務ルールも元々のものがあるので、自ら考え、言語化し、仕組みにする範囲が狭くなります。
 

一方、ゼロから立ち上げた人は「上手くいかなければ全て自分の責任」という覚悟ができます。
 

「異動(昇進)」の場合は「元の組織やメンバーが良くなかった」という言い訳の余地が残るため、自らに問う責任が甘くなりがちです。

 

まとめ

「ゼロからチームを作る経験」は誰にでもチャンスが巡ってくるものではありません。

しかし、将来を期待する人材には、ぜひその修羅場に飛び込んでもらい、大きく成長してほしい経験です。
 

ゼロからの立ち上げでは、採用やその後の目標設定、業務設計、関係づくりなど、あらゆる要素を自ら考え、形にしていかねばなりません。

その過程で問われるのが「巻き込み力」です。
 

人を惹きつけ、動かし、同じ方向に導いていく力がなければ、チームは機能しません。

この経験を通じて、リーダーとしての力が確実に磨かれていきます。
 

自ら成長したいと願う人は、自分からその環境に身をおきましょう。

既存組織のリーダーに座るのとは異なり、ゼロからの立ち上げには逃げ道がありません。

だからこそ、迫力、統率力、責任感、伝える力、そして本質的なマネジメント力が身につくはずです。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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