売上を追い求めるあまり、採算の悪い仕事が増え、社員はいつも忙しくて疲弊しているのに、 儲からない 。
そんな会社にとても参考になる事例を紹介します。
熊本県本社の平田機工という会社で「仕事を減らしたら、生産性が向上し、売上利益が拡大した」という話題がありました。
平田機工は製造業向けに生産ラインの設計を行っている、従業員1700名ほどの優良企業です。
「仕事を減らした」というと残業時間の削減をイメージするかもしれませんが、こちらの仕事削減は時間ではなく件数です。
例えば、従来1人が4件担当していた設計案件の件数を3件に減らすというイメージです。
仕事の量を減らしたら生産性が向上した
単純に4件→3件へ25%減らしたら売上も25%減ってしまいますよね。
平田機工の場合、件数を減らした分、1件に対する仕事の質を高め、アウトプットの付加価値を上げ、単価を上昇させました。
結果として会社全体の売上も従前より伸びたのです。
以前は悪循環があったようです。
数をたくさんとると仕事の質が下がり、質が低いと価格競争に巻き込まれ更に単価が下がる。この悪循環から脱却するため、仕事の件数を減らし、他社がやらないような複雑な仕事、難易度の高い仕事を請け、それをクリアすることで単価を上げていきました。
社員達は仕事量に追われ疲弊するのではなく、難しい仕事にじっくり取り組んだ結果、個々の能力も大きく向上したそうです。
「仕事を減らしたら、社員の能力が高まり、生産性が向上し、売上利益も拡大」
とても面白い事例ですよね。
他の企業に当てはめてみるといかがでしょうか?
売上拡大を至上命題とするあまり、採算の悪い仕事をたくさんとり、社員はいつも忙しいのに儲からない会社は多くあると思います。
この戦いはどこまで行っても消耗戦です。
利益が出る水準まで値上げできる可能性はほとんどなく、無理してコストを減らせば自社の体力が蝕まれます。
売上至上主義の消耗戦から脱却する
では、どうしたらいいでしょうか?
「自社の得意領域に絞って、他社にはない特徴を出し、サービス品質を徹底的に高め、採算のとれる仕事を選んでやる」という発想の転換です。
「売上が全てを癒す」、「取れる仕事は何でも取る」という発想から抜け出さねばなりません。
得意領域と言われたってそんなのないよ!と仰る方がいるかもしれませんが、会社がこれまで存続してきた以上、どんな会社にも優れたところがあるものです。
小さい長所かもしれませんが、あります。
その長所を生かさずに、何の差別化もない消耗戦を繰り広げるのは、誰にとっても不幸ではないでしょうか。
いったん売上を減らしてでも強みを磨く!
顧客に提供する価値を高め、1人あたりの生産性を高め、その成果を社員に還元する!
という発想が、この低成長時代には大切ではないかと思います。
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