転職後 、まだ会社に馴染めない。さてどうする?

2019.09.19

 
「 転職後 1ヶ月経ったのに会社に馴染めず居心地が悪いです。どうしたら良いでしょうか?」

最近受けた相談でこんなものがありました。
 

この方は30代半ばの男性技術職で、大企業から勢いのあるベンチャー企業に転職しました。人生初の転職です。

大企業からベンチャーへの転身が上手くいくか、ベンチャーの風土に慣れりことができるか、転職前から相当悩んでいましたが、思い切って決断された方です。

 

転職後 、会社に馴染めない原因

転職後

 
会社に馴染めない原因を本人なりに分析してもらいました。
 

  • 入社前、社長のビジョンと魅力にいたく共感したが、いざ会社に入ると社長はビジョンに行動が伴っておらず、がっかりした
     
  • ベンチャーは仕事が属人的で仕組みができていないと頭では分かっていたが、入ってみると想像以上。一体誰が何の仕事をしているのか混沌としていてよくわからない
     
  • 期待されて入ったはずなのに、周りがあまり協力的でないと感じる
     
  • 20代の自分より若い社員がほとんどで、何となくコミュニケーション上でズレを感じる
     
  • 会社の大事な意思決定が十分に議論されず、感覚的に決まっている気がして受け入れられない

 

彼が感じている原因はどれもその通りなのだと思います。

別に彼の思いこみが激しいということではなく、ベンチャー企業にはよくあることです。

良い悪いは別にして、設立後まもない会社は大抵こんなものです。

だからこの状態をすぐにどうにかしようと思っても大変な話で、ここは逆に「ベンチャーのスタイル」に自分の考え方や心の持ち様を合わせてしまった方が、早く楽に馴染めるようになります。

何せ彼はとても優秀なので、普通にやっていれば、いずれ必ず会社の重要な役割を担われるはずなので、そこは心配ないでしょう。

 

転職後 、早く会社に馴染むコツ

 
そこで私は3つのアドバイスをさせていただきました。

  • あまり期待し過ぎないこと
  • 物事をポジティブに捉えること
  • 謙虚に学び自ら動くこと

 

転職先に期待し過ぎない

 
転職した時は誰しも新しい環境で頑張ろうと張り切り、多くの期待を抱いて入社するものです。

ところが会社というのはいずこも良い所もあれば欠点もたくさんあるものです。

期待が大き過ぎるとそれらの欠点が過剰に気になるので、あまり過大な期待はしない方が賢明です。
 

通常の採用面接はお互いの良い面を見せ合う場なので、社長も最も魅力的な姿を彼に見せたはずです。

だから入社した後、面接時ほど魅力を感じないのもやむを得ません。

人を深く理解するのはそう簡単ではなく、一緒に働いて難しい問題に直面する中で見えてくるのが真の人格です。

だからあまり焦って他人を評価せず、じっくり付き合っていけばいいと思います。

 

物事をポジティブに捉える

 
新しい環境に行ったら、物事をポジティブに捉えることもお勧めします。
 

  • 「誰が何の仕事をしてるかよくわからず混沌としている」のは、お互いが縦割りにならず広い業務をカバーし合っているということ
  • 「十分に議論をつくさず意思決定している」のは、それだけ判断のスピードが早いということ
  • 「周りが協力的でない」のは、お節介をやく余裕がないほど、社員達が忙しいということ

 

彼のような経験豊富な人に何をどう協力していいか若い社員はよく分からないだけかもしれません。

「会社に課題が多い」ということは、彼が改善できる余地が山ほどある「宝の山」だと捉えることも可能です。

欠点にばかり捉われると本当に良い部分を見失う恐れがあります。

ポジティブな面に注目していけば、建設的に仕事ができるし、精神衛生上も健康です。

 

謙虚に学び自ら動く

 
「謙虚さ」は新しい環境に早く馴染むための近道です。

20代の社員達から見ると彼は非常に経験豊富で誰もが知っている大企業から転職してきた人だから注目株です。

彼が会社を変えてくれるのではないかという期待感がある一方で、大企業出身者がどこまでできるか「高みの見物」をされる立場でもあります。

だから周囲が最初から自発的に協力してくれる可能性は低いです。

そこで「周りが協力してくれない」と言って断絶して仕事すると、更に孤立していきます。

「若い社員達は経験不足だから話が合わない」などと上から目線で接したら、すぐ相手に察知され、ますます仕事がやりづらくなります。
 

そのような状況に陥らないよう、いかに周囲が協力してくれるような状態を作るかを考えなければなりません。

入社当初は知らないことだらけなので、とにかくどんどん教えてもらうのです。

相手のやっている仕事を教えてもらい、その大変さや苦労を共感します。

待っていても誰も来ないので、自ら色んな人に声をかけ、謙虚に教えを乞います。

すると相手も次第に胸襟を開き、逆に「困った事があったら何でも言ってくださいね~」と言ってくれるようになります。

意外と簡単に、「高みの見物」からフラットな同僚の関係になっていくものです。

 

まとめ

 
この話をしたら、彼が仰っていました。

「知らず知らずのうちに、なかなか馴染めないのは協力してくれない会社や社員のせいだという気持ちになっていたかもしれない」と。

彼自身が自分の課題に気づいてスタンスを変えていけば、必ずや溶け込んで大きな力を発揮していくことでしょう。

 

どこの会社でも、せっかく転職したのに数ヶ月で辞めてしまう人がいて本当に勿体ないと思います。

会社はもっと多様性を認めて懐を深くしていく必要があるし、個人の側も焦らず馴染んでいく努力が欠かせません。

転職した人は皆最初の数ヶ月が大変ですが、最初が肝心です。頑張ってください!!

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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