リーダーが育たない

「 リーダーが育たない 」原因は、リーダーに必要な2つの要素を歓迎しない企業文化

2019.12.19

 
多くの会社でリーダー人材の不足が言われていますが、皆さんの会社はいかがでしょうか?

リーダーの大事な役割は変革です。会社を新たな方向に導いたり、従来の手法を大きく変革したりする仕事です。

組織メンバーの心を統合して、見えない世界に導いていくビジョナリーな仕事でもあります。

今の時代多くの会社が変革期にあるためリーダー人材が至るところで必要ですが、ふと見渡すとそういう人材は非常に少ないのが現状です。

 

リーダー人材に必要な2つの要素

 
最初に、「リーダーに必要不可欠な2つの要素についてお話しします。

 
まず1つ目は、「人と違う物の見方」です。

リーダーの役割は変革。現状を否定し、他人には見えていない未来を描く仕事です。

仮に周りの人と同じものの見方しかできなければ、リーダーはつとまりません。

 
2つ目は「強くて綺麗な心」を持つことです。

強い心が必要なのは当然ですが、綺麗な心(真剣さ、素直さ、思いやり、無私の心、諦めない気持ちなど、学校の道徳で習うようなこと)も必要です。

なぜなら、リーダーはビジョンを掲げ、それを説いていかねばなりません。

皆に語る言葉、姿勢、本気度が注目されています。

リーダーが自分の名誉や地位のためではなく、もっと社会や組織全体のために行動しているかを見られています。

よって、心が綺麗でなければつとまりません。

 
ところが皮肉なことに、この大事な2つの要素に限って、会社組織の中で磨かれにくいのです。

 

「 リーダーが育たない 」原因は企業文化にある

リーダーが育たない

 
リーダー人材が育たない主な原因は企業文化そのものにあります。

それは、上記で説明した「リーダーに必要な2つの要素」を、企業文化が許容しない、重要視しないからです。

 

「人と違う物の見方」を歓迎しない

 
同質的な企業文化の中では「人と違う物の見方」が歓迎されません。
 

  • 「右向け右」と言われた時に「本当に右でいいの?」と疑う人
  • 会社の業績が良くて皆が盛り上がっている時に浮かれず課題を見つけ出す人

 
こういう人は、多くの上司達にとっては扱いづらくて可愛くない奴です。

 
例えば、会議で部長から今期計画の説明があったとします。

毎年恒例の如く数字目標は立派ですが、具体策が何もなく、年末に未達成となるのが見え見えのひどいプランです。

ところが会議も終盤に差し掛かるのに、出席している課長陣は何も意見を言いません。

ここで若手社員が部長の方針に異を唱えられるでしょうか?

なかなか勇気がいりますよね。

だから多くの人は意見を言いません。

 
頑張って意見を言うにしても、相当気を遣いながら、上手にやんわり意見するのが組織の掟であり、伝統芸能みたくなっています。
 

仮に新卒の学生が、異論や反論が歓迎される会社に入社したら「独自の物の見方」が育ちます。

逆に意見を言えない雰囲気、言っても否定される風土に浸かったら、いずれ意見を言わなくなり、「独自の物の見方」もさび付きます。

 

「強くて綺麗な心」が育たない

 
2つ目の「強くて綺麗な心」のうち、“強い心”はどこの会社でも重視されます。

しかし“綺麗な心”はあまり求められません。

企業はどうしても短期業績を重視しがち、目立つ分かりやすい実績を評価しがちです。

よってコンプライアンスに際どいやり方であっても、大きい仕事をとってくる社員が有難いのです。

これは企業活動が競争原理にのった仕組みである以上、ある程度しょうがないと思います。
 

問題は、

「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」

という西郷隆盛の名言に反して、

「功ある者に禄も地位も与え、徳ある者に地位を与えない」会社が多いことです。
 

強い気持ちをもって業績を出した人には給料をたくさん払うべきですが、リーダーの地位を簡単に渡してはいけません。

リーダーは強さに加えて綺麗な心が必要だからです。綺麗な心がなければ、人がついていきません。

人がついていかないリーダーに変革はできません。

 

まとめ

 
リーダーが自然と育つ組織を作るには、

心から本音が言えて、言うことがプラスに評価され、仮に意見を基に実行して失敗しても、失敗が勲章になる風土

これを作っていくべきです。
 

あわせて「強くて綺麗な心」をもつ人を抜擢して、責任を与え、修羅場を体験させ、真のリーダーに育つチャンスを授ける。

そういう人材を漏れなく拾い上げる仕組みを作ることも大切です。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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