「 社員のモチベーション をもっと引き出したい」
「もっと主体的に仕事に取り組んでほしい」
社員の意欲を高める目的で人事評価制度を見直すケースがよく見られますが、残念ながら多くの場合それは解決策になりません。
正確に言うと「解決策の一助にはなるかもしれないが、根本的な解決策にはならない」という意味です。
では、なぜ根本的な解決策にならないのでしょうか?
今回は「社員のモチベーションを高めるために必要な7つの要素」についてお話しします。
人事評価制度の見直しだけでは組織は変わらない
先日ご相談を受けた会社では
「従来の曖昧な評価制度ではメリハリがつかず社員のやる気を引き出せない。頑張った人にもっと報いる制度にしたい」という狙いがありました。
評価制度の見直しが、組織を良くするために現在最も大事なことだという認識をされていました。
しかし話を色々お聞きしていくと、いくつか別の問題が見えてきました。
- 経営陣に対する社員の信頼が弱い
- 中間管理職が上ばかり見ているため、部下からの信頼が弱い。結果としてチームワークも良くない
- 社員が仕事を通じた成長、やりがいを感じられていない
もしこれらの問題に手をつけることなく、評価制度や報酬制度だけをいじったらどうなるでしょうか?
もともと組織が沈滞している原因が評価や報酬に対する不満ではないので、社員のやる気にはほとんど変化はないと思われます。
さらに最悪の場合、会社が良かれと思って実施した新しい評価制度が「社員の気持ちを考えていない・・・」などと批判の対象になる恐れすらあります。
人事評価制度や報酬制度は、経営を支える1つの骨格ではありますが、主役ではありません。
経営がスムーズに運営されるよう、裏方として支えるのが評価制度。
したがって、裏方の評価制度の変更だけで、組織風土や社員のやる気を改善するのは難しいものです。
社員のモチベーションを高める
「ワークエンゲージメントの7要素」
では、先ほどの会社が人事評価制度に手を付ける前にやるべきことはなんでしょうか。
「ワークエンゲージメント」という概念が近年注目されるようになりました。
「ワークエンゲージメント」とは、人が仕事に没頭している状態をいいます。
大好きな趣味にはまるように、仕事のとりこになっている状態です。
仕事に誇りややりがいを感じ、主体的に組織に貢献し、仕事から活力を得てイキイキ働いている人のイメージですね。
「ワークエンゲージメント」の高低は、業績への連動性も高いと言われています。
あなたの会社が人事評価制度を見直す前に点検すべきことは、「ワークエンゲージメント」の要素がヒントになります。
こちらの図は、さまざまな中小企業の組織改善を通じて私が考える「ワークエンゲージメント」の7要素です。
これら7つの要素を高めるほど、社員のワークエンゲージメントは高まっていくという関係です。
7要素を簡単に説明します。
- 所属チームの風通しが良く信頼関係がある。上司を信頼している
- 経営理念、ビジョンに共感し、社長や経営幹部を信頼している
- 社員が仕事の目的、役割、期待されることなどを理解、腹落ちしている
- 仕事の意義を感じ、仕事を通じて達成感、成長が感じられる。自分らしさを発揮できている
- 他者に認められる
- 職務をこなすのに必要な一定の能力を備えている
- 働きやすい環境、納得いく待遇がある
7要素すべてを良くしようとすると簡単ではありませんが、会社によって改善できるところが必ずいくつかあるはずです。
例えば、目標管理のやり方、上司から部下へのフィードバック等を見直すことにより、3、4、5などは一定の改善が可能です。
管理職の教育やチームビルディングを通じて①を改善することも可能ではないでしょうか。
まとめ
人事評価制度は社員のモチベーションと関わりがありますが、それが抜本的な解決策になるかと言うと、必ずしもそうではありません。
何よりも大切なのは、組織の根本的な課題に向き合い、その課題解決にふさわしい施策に切り込んでいくことです。
ぜひ一度、ワークエンゲージメントの7要素についてじっくり考えてみましょう。
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