リモートワークは人材育成の危機!?

2020.09.17
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在宅リモートワークがどんどん浸透しています。

今年の4~5月頃は「在宅だと効率が上がらない。出社させて欲しい・・」なんていう人もいましたが、いつも間にか手のひら返したように「やめられない、止まらない、在宅ワーク!」状態になっているのではないでしょうか。

確かにリモートワークには沢山のメリットがあります。

  • 通勤地獄から解放される
  • 育児や介護などプライベートと両立しやすい
  • 営業職などは移動時間がなくなる
  • 余計な会議が減る
  • 遠方の会社に勤務可能

などなど。

 

しかし、1つ非常に心配なのが人材の育成です。

以下、在宅リモートワークが続いた場合に、人材育成が停滞する可能性について、具体的な場面を見ていきます。

 

リモートワークで人材育成が進まなくなる理由

隣の人の仕事を盗む機会がなくなる

例えば営業職などの場合、隣に座っている先輩の電話の話し方などを聞いて、「なるほど、そう話すと説得力が増すなあ・・」などと、見よう見真似をするものです。

先輩が角に座る上司に進捗報告している姿を見て、要領の良い説明を学んだり、上司に怒られない話しぶりを学んだりします。

リモートワークは基本的には1人作業が中心になるので、周囲の人のやり方を学ぶ機会がめっきり減ります。

  

近くに座る上司から指導を受ける機会がなくなる

上司が近くにいると何か気づいた時に指導してもらえます。

電話の応対の仕方、同僚と仕事の分担の話で気まずくなっているような時の解決サポートなど、近くで見てくれているからこその指導や気づきがあります。

リモートワークでは、あらかじめ予定した時間に上司に報連相する程度なので、日常の仕事の仕方に対して、ふっとその瞬間気づいたことの指導がもらえません。

 

 

会議の帰り際、商談の行き帰りの会話がなくなる

あなたも経験されているように、社内会議が終わった後に、廊下でちょっとした会話があるものです。

先輩と「会議では言えなかったけど本当は〇〇だよね」とか「〇〇さんのあのプレゼン良かったよねえ・・」などの他愛ない会話ですが、人はそういう所から小さな学びを蓄積します。
 

顧客訪問の行き途中や帰り道もとても有効な時間です。

行きは商談に向けた対策やお客様の話をし、帰りは商談の結果を振り返ったり、上手くいった商談を互いにガッツポーズしたり・・。

いつも忙しい上司でも、商談の行きかえりは少し気持ちに余裕があるので、普段話してくれないような経験談を語ってくれることもあります。

そういう1つ1つが貴重な時間なのに、リモートワークではその時間が得られません。

 

間(マ)が生み出す価値ある時間が消える

職場でよくある光景を思い浮かべてみます。

廊下で隣の部署の先輩とすれ違いざま、

「おお!久しぶり~、どうよ? 最近全然会ってなかったけど少し話さない?」「いいっすよ!」

などと言って、隅っこのテーブルで雑談のような仕事のような話をします。
 

会話を通じて、隣の部署の仕事を理解したり、先輩の活躍ぶりに刺激を受けたりします。

日常より少し広い視点で物事を見る機会が与えられます。

 

ランチ時間もそうです。

同僚とのランチでは、業務時間中に話せない会話や、会社の課題について意見を述べ合ったりします。

一見何気ない時間ですが、ふと視点を変えて自分の仕事を振り返る機会になります。

ストレス解消効果もあります。

仕事では接点の少ない大先輩とランチに行く機会があれば、大いに学びがあります。

 

 

対人コミュニケーション時間が減る

リモートワークの1日の時間割は、

  • 1人で黙々と仕事をする時間
  • チャットやメールやり取りの時間
  • 業務の進捗や擦り合せの会議

が殆どではないでしょうか。

雑談したり、ふとアイディア出しあったり、アイコンタクトしたり、笑顔を見せたり、挨拶したり、・・そういう時間は非常に少なくなります。

今後AIが普及して、人間は人間ならではの仕事をできるように!と言っておきながら、
対人コミュニケーションという正に人間らしいスキルを磨く時間を奪って大丈夫でしょうか?

 

人が仕事で育つのはどのような場か?

人が仕事で育つのはどういう場によってなのか、よくよく見極める必要があります。

上述したようなリモートワークで奪われる時間は、直接担当業務をこなしている時間ではありません。

しかしその時間は無駄でしょうか?
 

人の育成には、いい意味でファジーな時間が必要です。

 

例えば、高校生や大学生が学ぶのは授業時間だけでしょうか?

学力をつけるのは授業時間ですが、人間としての生き方、友達づきあい、将来の夢、などを学ぶのは主に課外活動の場です。

それと同じではないでしょうか。

 

業務スキルの教育は人材育成の表層

業務知識・スキルの伝授は人材育成において最も容易な部分です。

動画教材でも学べるし、マニュアル、オンライン勉強会、ラーニングツールなど方法は幾らでもあります。
 

しかし、人を大きく育てる上で大事なのは、下図の水面下の部分です。

 

 

仕事の成果に大きく影響する「行動特性」や「価値観、人間力」は水面下にあります。

見えない水面下こそ、あなたの会社が発展していく原動力ではないでしょうか。

 

もしリモートワークで水面下の育成が疎かになるとしたら、非常に危機感を感じます。

 

リモートワーク環境下での人材育成策

リモートワークは人材育成においてデメリットが大きい、という話をしてきましたが、もちろんマイナスばかりではありません。

従前は細々指示を与えていた上司が、リモート環境ではざっくり任せることで、部下が自分で考え主体的に動く効果もあります。

 

従ってリモートワークの長所を生かしつつ、人材育成が停滞しないやり方を考えていく必要があります。
 

出勤日(リアルな場)とリモートワーク日のバランスを取るのは1つの方法です。

完全リモートワークだとしたら、

  • 仕事の方向性、目指すゴールなどを今まで以上にしっかり伝える
  • 週1回の1on1等の場で、1週間の振り返りと次の計画を聞き、しっかりフィードバックする
  • 仕事中に思った疑問、気づきをすぐメモにしておき、チームでその共有会を開く
  • 上司は部下の仕事で心配事があれば、メモにためておく
  • オフサイトで同僚から学ぶ機会を増やす
  • 社員同士をアットランダムに繋いで、雑談や近況報告する時間をつくる
  • メンターとの対話時間をとる

などなど。

これにとどまらず、工夫の方法は幾らでもあると思います。

 

最後にまとめとして2点です。

  • リモート環境は育成面では不利があるので、意図的に人を育てる工夫を沢山しましょう。
  • 一方、人材育成はリアルな場面に勝るものはありません。リアルな場をどう確保するか考えてみてください。

 

以上、「リモートワークは人材育成の危機!?」でした。

 

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筆者紹介

竹居淳一
株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、人材育成・組織開発のコンサルティング、トレーニング、人材育成プログラムなどを提供しています。

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