部下が「 実力があるのに評価されない 」と感じてしまう2つの要因

2021.07.29

 

「自分は 実力があるのに評価されない 」

前向きに仕事に取り組めていなかったり、少しふてくされている社員があなたの周りにいませんか?
 

人を評価するということはとても難しいですが、誰しも多かれ少なかれ評価に不満や疑問を感じているものです。

「実力があるのに評価されない」と感じている社員も、関わり方や導き方次第で、もっと前向きに持てる力を十分発揮します。

今週のブログは、「実力があるのに評価されない」と感じている社員のマインドをポジティブに転換し、能力を引き出す方法についてお伝えします。

 

まずは、「自己評価が高い社員」を頭ごなしに否定しないこと

実力があるのに評価されない

 

「実力があるのに評価されない」と思っている人は、どちらかというと自己評価が高い傾向があります。

周囲から見た能力よりも自己評価が高すぎる場合もあります。
 

その時によく犯しがちな誤りは、「君は自分が思っているほど能力は高くないよ」とその人を否定してしまうことです。

本人が「自分は実力がある」という思いに至った背景にはさまざまな要因が関係しています。

頭ごなしに否定するのは得策ではありません。

 

自分が評価されていないと強く主張する社員がいるということは、表立って言わないものの、内心では同様に思っている社員が他にもいるということです。

 

よって、現状のあり方をどのように改善すべきか、いま一度考えてみる必要があります。

 

部下が「 実力があるのに評価されない 」と感じる2つの要因

 
実力があるのに評価されないと感じる要因には、下記の二つがあります。
 

会社の仕組みとしての問題(会社要因)

本人の課題や考え方の問題(本人要因)

 
それぞれについて考えてみましょう。

 

会社要因

 
社員が人事評価制度に不満を感じる理由についての調査があります。

 


  1. 評価基準が不明確 62.8%
  2. 評価者の価値観や経験によってばらつきが出て不公平だと感じる 45.2% 
  3. 評価結果のフィードバック説明が不十分、または仕組みがない 28.1%
  4. 自己評価よりも低く評価され、その理由がわからない 22.9%
  5. 評価結果が昇進昇格に結びつく制度ではない 22.0%

出典:「働く人の人事評価制度に関する意識調査」 2018.6.18 アデコ株式会社


 

ここで、人事評価において大切な3つのステップを改めて確認しましょう。
 

先ほどの「不満を感じる理由」と3ステップを照らし合わせてみると、この各ステップにおいて問題があることがわかりますね。

 

以下、実力があるのに評価されないと社員が感じる場合の会社要因について個別に説明します。

 

何を評価するかが曖昧だったり、矛盾がある

 
評価制度などを通じて、会社として何を評価するかが曖昧だと、社員が不満を感じやすくなります。

例えば社長が「当社は結果を重視する」と言っているのに、自分の上司は結果よりも残業して頑張る人を評価するとしたら、大きな矛盾が生じてしまいます。

「実力で評価する」と言っていながら、給与制度が年功や社歴重視だとしたら、やはり評価される側は納得がいきません。

 

評価プロセスの手抜き

 
よく見られるのが、期末の評価シーズンになると管理職が多数の社員の評価作業に追われ、作業をこなすことが目的化している状況です。

本来の人事評価は、本人のいい所と改善すべき所を伝え、もっと成長してもらうための機会であるはずです。

適切な評価を行うためには、部下の仕事ぶりをしっかり見て、本人の自己評価もよく聞いた上で、上司としての評価をしなければなりません。

これをショートカットして、何となくの印象にもとづく流れ作業的な評価をすると、マイナス効果を及ぼします。

 

評価のフィードバックが足りない

 
評価結果とその理由をきちんと社員に伝えていますか?

特に評価が良くない社員へのフィードバックを怠るのは一番やってはいけないパターンです。

なぜ評価が低かったのか?、どこを改善して欲しいか?、などを伝えない限り、良くない評価された社員は全く納得がいきません。

 

評価結果が報酬に連動していない

 
適切な評価を行ったとしても、評価結果にもとづく昇給昇格はどうなっているでしょうか?

実力があるならば、高い評価に伴って、給料が上がり、等級が上がっていくのが当然です。

ところが自分より働かない人が上の等級にいて高い給料をもらっているなどの逆転現象があると、本人は正当な評価を受けたとは感じられません。

昇格昇給だけでなく、降格降給も含めて制度の中にメリハリを盛り込んでいく必要があります。

 

本人要因

 
続いて、「実力があるのに評価されない」と感じている人の本人要因についてです。

仮に今、あなたの部下が「実力があるのに評価されない」という状態からどうやったら脱却できるか、考えてみてください。

 

上司との関係づくりが足りない

 
人が人を評価するというのは非常に難しい仕事です。

上司が少しでも適正に評価するために一番大事なことは何だと思いますか?

それは、上司が部下の仕事ぶりをどれだけよく知っているかということです。

 

「俺はこれだけやっているんだから、上司は見ててくれて当然」みたいなのはなかなか通じません。

普段から報連相をしっかり行い、自分の仕事の状況をよく理解してもらう必要があります。

上司との関係性も大切です。

お互いの関係性がよくなければ、上司だって人間なので、評価の時にバイアスがかかることもあるでしょう。

 

上司と部下同士がお互い苦手なタイプだったとしても、それぞれ歩み寄って一定の人間関係を築けば、相手に対する理解が深まり、より適正な評価に近づけていけるでしょう。

 

能力の方向性の違い

 
仕事内容によって、求められる能力は異なります。

例えば営業の仕事で一番求められるのが行動量やフットワークだったとします。

ところが本人が得意なのは緻密に考えたり、分析することだとしたら、評価者と本人の間でギャップが生じてしまいます。

本人としては「自分は他人よりもしっかり顧客分析を行い、ロジカルに営業開拓を進めているのに、それが評価されない」という結末になります。

仕事では、自分の強みや得意なことが、その時担当する仕事において評価されるとは限りません。

長期的には自分の強みが活かせる仕事をすべきだし、会社としても本人の強みにあった仕事に配置すべきですが、一時的には不得手な仕事に対しても、そこで結果を出すべくチャレンジする姿勢が欠かせません。

それが将来の財産にもなります。

 

ハードスキルに片寄り過ぎ(ソフトスキルを軽視)

 
知識や技能を身に着けるなどハードスキルの習得には熱心である反面、人間性を高めたり、持続力(粘り)を高めたり、チームにいかに貢献するか等、ソフトスキルの向上には無頓着な人がいます。

仕事はハードスキルとソフトスキルが掛け算されてこそ、高いパフォーマンスを発揮できます。

ソフトスキルは自分自身の性格や過去の体験などの影響を受けるため、容易に変えられませんが、

だからこそソフトスキルの高い人はビジネスの現場で非常に重宝され、評価されます。

ハードスキルばかり磨きソフトスキルを疎かにする人はどこかで壁にぶち当たる可能性が高いので、ソフトスキルの価値を指導してあげるのは上司の大事な役割です。

 

まとめ

 
「実力があるのに評価されない」と感じる社員がいるとしたら、本人特有の問題として処理せず、その背景にある課題に目を向ける必要があります。

評価に納得しない社員がいる場合、その原因は会社の制度や仕組みの問題と、本人自身の課題があるので、その両面から改善を進めていきましょう。

会社から評価されないという不満を抱えて働いていては、会社にとっても本人にとってもいいことは何もありません。

より前向きな気持ちにリセットし、仕事に集中できる環境、関係性を整えていきましょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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