仕事が楽しい人 に共通する「精神の自立」とは?|キャリアの自立(後編)

2018.08.23

仕事が楽しい人 とはどんな状態でしょうか?

前回のブログで「キャリアの自立」のためには、

①複数の強みを掛け算すること
②自立したマインドを持つこと

この二つが大事だという話を書きました。

今回は「 仕事が楽しい人 」に共通する②の「精神の自立」について考えてみます。

 

仕事が楽しい人 に共通する「精神が自立した仕事像」

 
ピーター・ドラッカーの本に、ギリシャの彫刻家フェイディアスの話が出てきます。

フェイディアスがアテネのパンテオンの屋根に立つ彫刻を完成させた時のこと。

彼が出した請求書に対して、アテネの会計官は支払いを拒みました。

「彫刻の背中は見えないのに、誰にも見えない部分まで彫って請求してくるとは何事か」と。

それに対してフェイディアスは「そんなことはない。神々が見ている」と返したのです。
 

読んだ当時、何だか格好いいな~と思ったものです。

コスト意識がないので企業人としては失格かもしれませんが、「こうありたいな」と思わせるものがありました。
 

フェイディアスは彫刻を通じて自分自身を表現しています。

受け身の仕事マインドではなく、自分なりの仕事へのこだわり、プライド、世界観が仕事に表現されています。

人が見ていようがいまいが関係ありません。

信念を貫き、「精神が自立」した状態と言えます。

仕事において精神が自立すると、仕事がどんどん楽しく心が豊かになり、仕事の完成度も向上していくのです。

 

精神が自立していない状態とは?

逆に“精神が自立していない”のはどんな状態でしょうか。

 

  • 言われた仕事だけやる
  • 上司にいかに気に入られるかばかり考え、本当に大切なものを見ていない
  • (東芝の粉飾決算のように)上司や会社から不正や不当な指示を求められても断れない
  • 「自分は何もできない、会社にしがみつくしかない」と自分を卑下する

 
いずれも他人に支配され、自分自身のこだわりや自信が備わっていない状態、とってももったいない状態です。

本来、人は誰しも仕事を通じて自分の情熱や思いを表現できたら最高だと思っています。

しかし現実と対峙する中であきらめ感が強くなり、いつの間にか「仕事は耐えるばかりで辛くてつまらないもの」になり、心がますます支配されてしまうのです。

 

仕事は心がけ次第

 
大きな組織にいる方などは、自由や裁量を与えてくれなければ精神の自立など無理だと感じるかもしれませんが、私は順序が逆だと思います。

精神が自立するからこそ、自由な環境と裁量を勝ち取ることができ、キャリアの自立に繋がります。

例えばオフィス家具のルートセールスをしている25歳の営業マンがいます。

毎日顧客を回ったところで滅多に注文はありませんが、上司から日々4件の顧客訪問を要求され、ノルマも厳しい仕事です。

そんな環境の下、「4件行ったってどうせ注文はとれないけど、上司が言うから仕方なく回ってるんだよ・・・」という人は、精神が自立していきません。

逆に上司の指示にこだわらず、どうやったらもっと売れるか自分なりの方法を考えたり、オフィス家具以外にお客様が欲しているニーズを見つけたりする営業マンは、徐々に精神が自立していくでしょう。

キャリアの自立のためには、独自の強みを磨くことが大切ですが、
それ以上に

  • 他人に依存せず支配もされない
  • 主体的に考え行動する
  • 自立した精神を鍛える


これらが要です。

 

長い仕事人生、自立したキャリアが幸せの素

仕事が楽しい人

 
「言うは易し、行うは難し」

精神の自立は楽な道ではありませんね。確かに厳しい道です。

短期的には、他人の作った土俵で戦い、他人の指示で動く方が楽です。そういう誘惑もたくさんあります。

でも長きに亘ってイキイキ楽しく仕事をしていくためには、易きに流れない事が肝要です。
 

仕事の本質を見つめ、誰が言ったかではなく何が正しいかを自分の頭で考え、自分の感性で感じ取る。

本当にやるべきだと思う仕事を真剣勝負でやる。仕事を安請け合いしない。

かけがえのない自分を認め、自分に誇りを持つ。他人を敬い、尊重する。人を馬鹿にしたり他人に媚びたりしない。

自分の個性を大切にする。

世の中の変化があっても何とかなる、会社がなくなっても生きていける、という楽観的自負をもつ。

 
これが精神の自立、更にはキャリアの自立への道ではないでしょうか。

共に自立に向けて歩んで行きましょう!

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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