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忙しいのに 儲からない ?今こそ「仕事の質」を考えよう

2019.08.01

 
売上を追い求めるあまり、採算の悪い仕事が増え、社員はいつも忙しくて疲弊しているのに、 儲からない 。
 

そんな会社にとても参考になる事例を紹介します。
 

熊本県本社の平田機工という会社で「仕事を減らしたら、生産性が向上し、売上利益が拡大した」という話題がありました。

平田機工は製造業向けに生産ラインの設計を行っている、従業員1700名ほどの優良企業です。

「仕事を減らした」というと残業時間の削減をイメージするかもしれませんが、こちらの仕事削減は時間ではなく件数です。

例えば、従来1人が4件担当していた設計案件の件数を3件に減らすというイメージです。

 

仕事の量を減らしたら生産性が向上した

 
単純に4件→3件へ25%減らしたら売上も25%減ってしまいますよね。

平田機工の場合、件数を減らした分、1件に対する仕事の質を高め、アウトプットの付加価値を上げ、単価を上昇させました。

結果として会社全体の売上も従前より伸びたのです。

 

以前は悪循環があったようです。

数をたくさんとると仕事の質が下がり、質が低いと価格競争に巻き込まれ更に単価が下がる。この悪循環から脱却するため、仕事の件数を減らし、他社がやらないような複雑な仕事、難易度の高い仕事を請け、それをクリアすることで単価を上げていきました。

社員達は仕事量に追われ疲弊するのではなく、難しい仕事にじっくり取り組んだ結果、個々の能力も大きく向上したそうです。

「仕事を減らしたら、社員の能力が高まり、生産性が向上し、売上利益も拡大」

とても面白い事例ですよね。

他の企業に当てはめてみるといかがでしょうか?

売上拡大を至上命題とするあまり、採算の悪い仕事をたくさんとり、社員はいつも忙しいのに儲からない会社は多くあると思います。

この戦いはどこまで行っても消耗戦です。

利益が出る水準まで値上げできる可能性はほとんどなく、無理してコストを減らせば自社の体力が蝕まれます。

 

売上至上主義の消耗戦から脱却する

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では、どうしたらいいでしょうか?

「自社の得意領域に絞って、他社にはない特徴を出し、サービス品質を徹底的に高め、採算のとれる仕事を選んでやる」という発想の転換です。

「売上が全てを癒す」、「取れる仕事は何でも取る」という発想から抜け出さねばなりません。
 

得意領域と言われたってそんなのないよ!と仰る方がいるかもしれませんが、会社がこれまで存続してきた以上、どんな会社にも優れたところがあるものです。

小さい長所かもしれませんが、あります。

その長所を生かさずに、何の差別化もない消耗戦を繰り広げるのは、誰にとっても不幸ではないでしょうか。
 

いったん売上を減らしてでも強みを磨く!

顧客に提供する価値を高め、1人あたりの生産性を高め、その成果を社員に還元する!

という発想が、この低成長時代には大切ではないかと思います。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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