仕事のやりがいとは?働く動機から考える、仕事にやりがいを持てる人材の育て方

2020.11.12
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仕事のやりがいを引き出すには社員の欲求ステージを引き上げる

『あなたが働く理由は何ですか?』

この図は皆さんもよくご存じの『マズローの欲求5段階説』を使って、働く動機を整理したものです。

 

人は欲求ステージが上がるにつれ仕事に主体的に取り組み、やりがいを感じるようになります。

ただ、その欲求ステージの引き上げが難しく、皆さんも苦労されているのではないでしょうか。

と言うのも、現代日本では多くの会社員が、下から3〜4段回目の社会的欲求と承認欲求で留まっているからです。

とくに下から4番目の「承認欲求」の中に含まれる『他者からの評価』と『自己の納得』の間に、大きな壁があることが原因です。

下の図をご覧ください。

 

 

 

この壁の正体は、欲求を満たす主体が「他者」か「自分」か。

壁を境にして『他者から与えられ、満たされる欲求』から『自分で納得/実感し、満たされる欲求』に変わるのです。

他者によって満たされる欲求は、

『報酬(金銭)』
『安定した雇用』
『良い評価』

などを与えることにより、満たすことができます。

 

一方自ら満たす必要がある欲求は、社員自らが考えた目標や理想がないと満たすことが難しく、会社や上司から与えられたものでは補うことができません。

このような理由から、この壁を超えて上に登ることができる人が少ないのです。

 

それでは、この壁を超えて、社員の働く動機を引き上げるにはどうしたらいいでしょうか。

ひとつの企業の事例から学んでみましょう。

 

徳武産業の事例①自己承認欲求や自己実現を体感させる

画像引用:TOKUTAKE公式サイト

メディアなどでもよく取り上げられる、『徳武産業株式会社』の取り組みを紹介します。

徳武産業は高齢者や障害者向けの靴を製造販売している、社員77名の会社です。

ご縁をいただき、会社見学と十河孝男会長にお話を伺いすることができました。

 

徳武産業では以前から十河会長(当時社長)が経営計画や年度計画を作成し、全社員に共有していました。

しかし社員に共有しただけでは、どこか社員がついてきていない感じがあったそうです。

どうすれば社員が当事者意識を持ち、やり甲斐を感じるようになるか、悩んだ末にたどり着いたのが『全員参加型の年度計画発表会』でした。

 

全員参加型の年度計画発表会とは

 

一般的な年度計画発表会では社員全員が参加しても、発表するのは社長と各事業部長、または各部門長くらいまででしょう。

ところが徳武産業では、丸一日かけ社員全員が『私の挑戦』という自分で考え抜いた個人目標を全社員に説明(宣言)するのです。

『私の挑戦』は前年度の振り返り(成果と反省)と、今年度の個人目標から構成されています。

そのため毎年全社員が自ら目標を設定し振り返ることで、自分への自信(自己承認)や自己実現(自己成長)を体感できるようになっています。

 

この『私の挑戦』を続けることにより社員が自信を持ち、年度計画も自分事に落とし込まれ、主体的に仕事に取り組めるようになったそうです。

さらに自分以外の社員がどのようなことをしているのか理解できるため、自分の業務の前後や、他者・他部門への影響も理解でき、業務の効率化や助け合いにもつながっています。

 

徳武産業の事例②やり甲斐を高め継続するために

毎年全社発表の機会を設けたからといっても、それだけでは社員のやり甲斐を高め続けることはできません。

自分の仕事内容が誇れないようでは、社員の気持ちが折れてしまうのです。

徳武産業では十河会長が『徹底的に顧客に寄り添う姿勢』を掲げ、リーダーシップを発揮し、次のようなサービスを立ち上げました。

 

事業性(損得/利益)よりも顧客の問題解決を優先したサービス

 

  • 顧客の問題を解決するために、効率が極端に悪くなるため業界タブーであった左右サイズ違い販売と片方販売を導入。

  • 既製品ではサイズが合わない人のため、指定されたサイズのパーツを縫い合わせて靴を作る社員を雇い、赤字でも価格を抑えたパーツオーダーシステムを導入。

赤字や非効率になっても顧客に応えることで『超高齢社会に商品とサービスを通して社会に貢献する』という経営理念を体現されています。

 

高齢者に心のこもった手紙を提供

 

「身内に接する機会が少ない方をどうにか励ましたい」という想いから、社員一人一人が心のこもった手紙を商品に同封しています。

そして返信があった顧客には、顧客の誕生日に手書きの手紙とプレゼントを贈るということを続けています。

これまでに顧客から届いたお礼の手紙は1万通を超えます。

その手紙は朝礼や冊子で全社員に共有され、自分たちの仕事が顧客や社会に貢献していることが実感できるようになっています。

 

『顧客重視』や『顧客に寄り添う』ことを掲げている会社は多いのですが、実際に社員が本気で向き合えている会社はどのくらいあるでしょうか?

徳武産業では「社員には顧客のことを想い、顧客サービスに集中してもらいたい」と考え、既製品製造や物流などは外部に委託しています。

このような体制をつくり社員が顧客を向いて仕事に取り組める環境を整え、自分たちの仕事の意義(顧客からの感謝)を感じられるようにしているのです。

徳武産業に興味を持たれた方は、以下書籍も参考にしてください。

『神様がくれたピンクの靴』 佐藤和夫 あさ出版

 

仕事のやりがいを高めるために社長や上司ができることは?

 

社長や上司の役割は、『一つ上のステージ(欲求)を見せて(体感させて)あげること』です。

いくら口頭で上位欲求(自己実現や自己超越)の素晴らしさについて説明されても、自分が体感しないと理解できないからです。

そのためには、『事業の意義』や『顧客への提供価値』を見極め、定義し、社員に伝え理解してもらう。

さらに社員が、これらを感じる仕事に集中できる環境を作ることも重要です。

 

皆さんが社員に仕事の意義ややり甲斐を感じてもらうための取り組みを考える際に、このブログが少しでも役に立てば幸いです。

 

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筆者紹介

大西隆仁
株式会社インターブリッジグループ マネージャー

大西隆仁

幅広い企業に対して、課題の特定から解決まで長期的な視点で支援しています。企業理念再整理やビジョン策定、実現に向けた戦略立案、遂行に向けた変革活動に対し、クライアントに伴走する形で関わらせていただいています。

筆者プロフィール詳細