管理職に向いている人 、いない人|優秀なプレイヤーをそのまま管理職にしていませんか?

2024.04.04

管理職に向いている人

『優秀なプレイヤーが優秀なマネージャーとは限らない』とよく言われますが、あなたも実感したことがあるのではないでしょうか。

違いが出る理由は「個人として成果を出す能力」「他人に成果を出させる能力」が異なることにあります。
 

中小企業の社長は究極的なマネージャーであるため、常に仕組み作りを考えています。

仕組みとは、社員の個の能力に依存することなく、誰がやっても一定の成果を出せるような事業運営のことです。

しかし経営者1人の力では仕組みづくりも限界があります。

そこで経営者と共に、皆が成果を出せる仕組みを作りあげていける中間管理職こそ、中小企業の成長を支えるにふさわしい幹部と言えます。
 

今週のブログでは、中小企業の管理職の登用において、マネジメント能力の観点から見るべきポイントについてお伝えします。

 

よくある「管理職の登用失敗」

 

よくある登用失敗例として、エース級の人材を早期に管理職に抜擢したものの、部下が全然ついていかない、パワハラで部下がやめてしまう、組織が停滞する、などがあります。
 

どこの会社でも、エース級と言われる人材には、下記のような共通点が見られます。

 

営業職、または個人の成績が明確に出る部署に所属

誰もが認める圧倒的な成果を挙げている

高い業績をあげているがゆえに、経営陣や上司から「辞められたら困る」と重宝されるため、多少のわがままが許されている

 

エース級人材は非常に力のある宝であることは間違いありませんが、問題を抱えていることも確かです。
 

 

例えば、営業職のように個の能力に依存する仕事で圧倒的な成果を出す人は、横と連携しながら組織的に物事を進めるスキルが不足していることがあります。

元々のセンスや才覚で結果を出している人は、それを他人に教えることが苦手だったりします。

エース級人材は時に過度に賞賛されるところがあり、わがままが通りやすくなることもあります。

 
マネジメントは我慢する仕事や調整業務も多いですが、エース級人材にはそうした「裏方」の対応力がついていないことも少なくありません。

 
目立つ仕事の成果だけに捉われてしまうと、適任者ではない人を管理職に登用してしまったり、逆に適性の高い人を見逃してしまうリスクがあります。

 

優秀なプレイヤーがマネジメントでつまずくポイント

 

優秀なプレイヤー(エース級人材)がプレイヤーとして優れていることは間違いありません。

彼らは、仕事で成果を上げるにはどこに力を入れたらよいかという「効果的なアプローチ」のポイントが分かっています。
商談の場では相手の気持ちやニーズをつかむのが得意で、一定の押し出しの強さも備えています。

さらに、相手の気持ちをぐっとつかむ人間的魅力を備えている人も多いです。
 

しかしながら、そのような人材が管理職を担った時、部下に自分と同等の成果を上げさせられるか?というと必ずしもそうではありません。
 

優秀なプレイヤーが組織のマネージャーとしてつまずくのは、主に5つの理由が考えられます。

これらのうち当てはまるものが多いほど、マネージャー業務に苦戦します。

 

エース級プレイヤーがマネージャーとしてつまずく主な理由

 

成功の本質を言語化、可視化できない

自分のセンスや感覚の良さで成果を上げているので、そのやり方の抽象化、形式知化が苦手

 

誰にでも理解できる言葉での説明が苦手

上記と同じ理由

 

他人がどこでつまずいているか理解が及ばない

抜きん出た力を持っているが故に、平均レベルの人の立場に立つことが難しい。

 

簡単な対人関係では強いが、複雑な関係を扱うのが苦手

お客様と営業担当者というシンプルな対人関係には強い一方、マネジメント業務では縦と横の社内人間関係をコントロールする必要がある。その複雑な人間関係や多様な人材のマネジメントの素養が磨かれていない

 

与えられた営業目標達成は得意だが、自ら目的と目標を構想、設定することは苦手

目標を定められたら突っ走る強さがあるが、自ら将来のビジョンをデザインする力は磨かれていない

 

管理職抜擢時に見るべきマネジメント適性

管理職に向いている人

 

では管理職を抜擢する際、候補者にマネジメント適性があるかどうかは何を見て判断したらいいでしょうか?

上記の「つまずくポイント」の裏返しにもなりますが、管理職になってから後天的に習得する難易度が高いところを中心に5つのポイントをお伝えします。

習得難易度が低いもの、後から改善しやすいものは抜擢されてからでも改善可能なのでここでは言及しません。

 

仕組み化への意識がある

担当者時代からずっと仕組み化を意識している人はマネージャーになってからも業務の仕組み化に役立ちます。

誰もが似たような問題に悩んでいるなら共通のマニュアルを用意したり、業務をもっと効率化したり、重複業務を削減したり、後任の人がやりやすい仕組みを用意したり、これらの行動は担当者時代から発揮できることです。

そのような行動特性のある人は、管理職になってから業務の仕組み化に大いに活かせるでしょう。

逆にそのような行動や意見発信がほとんどなかった人がマネージャーになると、その部署は仕組み化が進みません。

 

部下や後輩に仕事を教えるのが好き

特段業務命令をしなくても、自ら後輩に積極的に教える人とそうでない人がいます。

単純にいい悪いではなく、教えるのが好きな人はよく教えてくれるし、あまり興味ない人は教えません。

能力より好き嫌いの問題ですが、これは管理職や要職についてからも継続します。

教育・指導に時間を使おうとしない人は、どちらかというと放任して部下が結果を出すのを待つ人になります。

「人が好き」、「人に興味がある」ということに近いかもしれません。

 

他者をよく観察している

マネジメントの仕事は人を見る仕事と言い換えても過言ではありません。

誰に仕事をまかせるか? 誰を採用するか? その人にどのように声をかけるか? などなど普段から人をしっかり見ていないとできない業務ばかりです。

若手の時代も含めて、他人のことをよく見ているか、他人に対する評価コメントで的確であるか? これらの意識はマネジメントの巧拙に大きく関係してくるでしょう。

 

挫折経験がある

順調すぎる人はそうでない人の気持ちを察するのが苦手です。

大失敗、苦しんだ経験、降格された経験、上司に認められなかった経験などがある人は、そういう立場におかれる人の気持ちが分かります。

部下には優秀な人もいれば、他部署で評価されずに移ってきて悔しさにあふれている人、強みを活かせず苦しんでいる人など、さまざまなタイプの人がいます。

そういう人達をマネジメントしていくには、自分自身の体験があると大いに役に立ちます。

 

他者への情報共有を小まめに行える

要職に就く人の仕事には調整業務、報告業務、情報共有などがたくさんあります。

これらは社内外の関わる人達を頭に思い浮かべながら、適時適切な発信をしていく大切な業務です。
人を巻き込み、人に確認し、人に指示し、人を動機づける仕事です。

部下からの報告を待つだけでなく、部下に会社の動きを報告したり、自部署の動きを関連部署に共有しておいたり、根回しも配慮も必要です。

この適性がある人は担当者時代も課長時代もフットワーク良いコミュニケーションが発揮されているはずです。どこの部署からも評判の良い人が典型タイプです。

意識したからといって急に上達するスキルではないので、元々の素養を見る必要があります。

 

以上がマネジメント適性を判断するための5つのポイントです。

管理職候補者の中から誰を登用すべきか悩んでいる場合、ぜひ上記の観点を参考にしてみてください。

 

大事なのは人材の強みを活かすこと

 

優秀なプレイヤーが優秀なマネージャーになるとは限りません。

それは優秀なプレイヤーに求められる素養とマネージャーに求められる素養が異なるためです。

 
ただし、優秀なプレイヤーは商売センス、タフな精神力、努力を続けられるエネルギーなど、他人が簡単には真似できない素質を持っています。

よって、優秀なプレイヤーでありマネジメント素養も高い両方を備えた人は、圧倒的な幹部人材に育っていく候補です。
 

もしマネジメントの素養はないとしても、個人プレイヤーとしての強みは抜群なので、それにふさわしい活躍の道を用意してあげましょう。

 

会社によっては人事制度に、「マネジメントコース」「スペシャリストコース」を用意しています。

マネジメントコースはマネジメント能力を高め、組織の管理職を担うコースです。

スペシャリストコースは、部下を持たずに個人の専門能力を深め、それを最大限に活かすキャリアに向けたものです。
 

会社としては、専門能力もマネジメント能力もどちらも高い人を望みがちですが、そのような人材は限られています。

個々の個性、強みをどのように活かして組織づくりをしていくかも是非考えてみてください。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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