マンパワーグループが2020年3月に発表した調査によると、役職についていない20~50代の正社員400人のうち83%もの人が「 管理職になりたくない 」と回答しています。
将来を期待される20代、30代は一定数が「管理職になりたい」と回答しているものの、その比率は20代で28%、30代で23%しかいません。
様々な企業の方と話をしていても、管理職が不足しているにもかかわらず、管理職候補が育たず困っています。
この問題は今後ますます表面化してくるでしょう。
今回のブログは前編後編にわたり、管理職になりたい人が減少した背景・今後を見据えた対策についてお伝えします。
管理職になりたくない理由
先のマンパワーグループの調査で管理職になりたくない理由の上位はこちらです。
- 責任の重い仕事をしたくない(51%)
- 報酬面でのメリットが少ない(40%)
- 業務負荷が高い(40%)
- 面倒な調整業務が増えそうだ(28%)
- 部下育成に興味がない(21%)
- 今のポジションや仕事に満足している(20%)
- 自分のやりたい仕事ができなくなる」(17%)
引用: マンパワーグループ 調査結果 2020年
「お値段以上、〇〇〇!」というCMがありますが、今の管理職は「お値段以下」に見られています。
「報酬が大して上がらない割に責任とやることばかり増えるし、自分のやりたい事にも専念できない」という認識をされています。
管理職志向になりづらい転職市場
続いてマイナビエージェントが公表している職種別平均年収ランキングを見てみましょう。
人がキャリアを考える際、どのような仕事につけば報酬が上がるか?ということも当然考えて行動するからです。
順位 | 職種 | カテゴリー |
1 | 運用(アナリスト・ディーラー) | 金融・コンサルティング |
2 | システムコンサルタント | IT・インターネット・通信 |
3 | 戦略・会計・人事系コンサルタント | 金融・コンサルティング |
4 | MR | 医薬・医療機器・バイオ |
5 | プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダー | IT・インターネット/通信 |
6 | 臨床開発モニター(CRA) | 医薬・医療機器・バイオ |
7 | 製品開発・研究開発 | IT・インターネット・通信 |
8 | パッケージ導入コンサルタント(ERP/CRM/SCM等) | IT・インターネット/通信 |
9 | 財務・会計 | 経営企画・管理部門全般 |
10 | 管理職・マネージャー(営業系) | 営業 |
このランキングで特徴的なのは、上位10職種のほとんどが「個人プレイヤーとして高い専門能力を求められる仕事」であることです。
管理職としての能力はあまり必要とされない職種ばかりです。
10位にかろうじて「管理職」が入っていますが、管理職の報酬は高度な専門性を要する職種にはかないません。
現在最も人手不足な業界の1つであるIT業界においても、プロジェクトマネージャー(管理職的な仕事)になるより、データサイエンティストやAI関連エンジニアのプロフェッショナルを目指した方が高い報酬が得られます。
この現状を知る若い人たちが、管理職になるより専門能力を高める方向に興味を持つのは自然なことです。
「会社に何があろうと自分自身が稼げる存在になるためには専門スキルを磨きたい」という考え方はますます強くなっています。
元気のない管理職 管理職に求められる無理ゲー
管理職の仕事は、日本経済が大いに発展した高度成長期から、それ以降の失われた20年を経て大きく変化してきました。
今の時代の管理職は非常に難易度の高い仕事を求められています。
以前の管理職(高度成長期までの右肩上がりの時代)と、それ以降を含む現在の管理職の仕事を比較してみましょう。
以上の比較を見ただけでも、現代の管理職がいかに大変かということがわかると思います。
以前の管理職と比べて、考えること、ケアすべきこと、求められるマネジメントスキルが圧倒的に広くなりました。
さらにコロナ禍で【リモートワーク環境下のマネジメント】という新たな課題も加わったので、管理職に求められる役割は「全てこなすのは無理なのでは?」と思えるほどの難易度になってきています。
これをすべてちゃんとやりなさい!と言われたらどうでしょうか?
疲弊して元気のない管理職が多いのはこの辺りに原因がありそうです。
管理職が魅力的に働いていなければ、それを見た部下が「自分は管理職になりたくない」と思ってしまう悪循環になります。
次回のブログでは、管理職になりたい人が少ない現状において、管理職不足をどのように解決するか?
成り手不足をいかに解決するか?その具体的な対策についてお伝えします。
後編はこちら