【採用担当者必見】就活生の「 企画職 信仰 」の誤解を解く具体的な方法

2022.10.07

就活生から人気の高い職種の1つに「企画職」があります。

しかしこの部署に新卒で配属される人は稀で、将来的にも社内異動で「企画部門」や「商品開発部門」などに行ける人はわずかです。
 

そのような現状でありながら、多くの就活生が「企画職」を希望し、企業側は「将来的にはその仕事につける可能性もあります」とお決まりの回答で採用活動を進めているのは、あまりヘルシーな状態とは言えません。
 

今の学生は専門性志向が高まっており、配属ガチャで希望外の部署や勤務地にいくのを恐れています。

だからこそ、仕事の本質をしっかり伝え、学生の誤解を解いていくべきではないでしょうか。

 

就活生が希望する職種

 
dodaキャンパスの調査によると、就活生に人気ある職種は以下の通りです。

 

(出典:dodaキャンパス「<2023年卒版>就職活動に関する調査結果。これからやるべきこととは」)

 

「企画・管理」の人気が高く、営業職はその半分、販売・サービス職はさらにその半分・・・と希望者が減ります。
 

営業職は「気合根性が大事でノルマに追われる」イメージが強いこともあり、スマートに見える「企画・管理」の方が人気が高いのはよくわかります。

とはいえ、このイメージもかなり古ぼけてきていますよね。
 

営業職では、ドアノックをプッシュ型からプル型に転換したり、継続営業はカスタマーサクセス部隊が担うようになったり、営業のやり方や役割分担は実は大きく変化しています。

「企画職は頭脳プレイで格好いい仕事」「営業は泥臭く気合根性の仕事」というステレオタイプの職種イメージは、もはや時代に合っていません。
 

就活生に対しても、イメージどまりの職種理解ではなく、その仕事の特性をもっと明確に分かりやすく伝え、意欲喚起する努力が必要だと思います。

 

すべての職種は「 企画職 」である

企画職

 
企画は何も商品企画やマーケティングの仕事の専売特許ではありません。

企画力は全ての仕事に必要です。
 

というか、企画力がない人はどんな職種についても大きな成果を上げることはできません。
 

例えば以下のようにそれぞれの職種を言い換えてみてください。全ての仕事が企画です。
 

営業 = お客様に満足してもらうための企画業務

人事 = 人と組織の活性化、効率化を実現するための企画業務

経理 = 計数面から経営を支えるための企画業務

事務 = 仕事を効率的かつスムーズに進めるための企画業務

購買 = 材料や設備の購入を価格・納期・品質の観点から最適化する企画業務

 

もちろんどの仕事にも、単純作業的な業務や「企画」という言葉から遠く感じられる業務が含まれますが、それは決してメイン業務ではありません。
 

 

単純業務がなくなり、企画力がますます求められる

今はDX化の流れが進行しています。

その過程で下記のような仕事は、自動化され、システムが人間よりも圧倒的に早く正確にこなせるようになります。
 

  • 手書きの情報をパソコンで入力し直す仕事
  • 単純に数字を集計する仕事
  • データをA表からB表に転記したり、まとめる仕事
  • データの目視チェック、照合作業

 
人がやる単純作業はどんどん減り、それに呼応するかのようにあらゆる職種で企画要素が強まります。
 

例えば、これまで人事や経理などのバックオフィスは単純作業に携わっている人が多くいます。

経理であれば伝票入力、各部門に出すための管理レポート作成、入金消し込み、請求書発行など、手作業でまかなっている会社があります。

人事であれば、勤怠の入力・集計、給与計算、残業時間管理、入退社手続き書類などに手を煩わされています。
 

そしてこれらの仕事がなくなると、下記のような仕事が主役になっていきます。
 

 
例:「経理」のこれからの仕事内容

 

 

  • 各部門が業績をタイムリーに正しく把握するための管理方法の企画提言実施
  • 上記を支えるシステムの導入
  • 経営者が経営判断しやすいレポートの作成
  • コスト分析による経費削減推進
  • 仕入れ先も巻き込んだ紙書類の削減活動など

  

 
例:「人事」のこれからの仕事内容

 

 

  • 企業理念と連動した企業文化の形成
  • 社員の能力を高める仕組みづくり
  • 社員の給料を上げるための生産性改善
  • 組織風土に課題のある部署の再生
  • 社員の意欲を高める制度やルールづくりなど

 

経理と人事を例にしましたが、今この大きな変化があらゆる業務において動き出しています。

学生は、「●●企画」という名称のつかない職種は企画要素がないと勘違いしやすいですが、そんなことはありません。

「全ての仕事の根幹に企画要素があり、誰しも企画力を求められる時代である」ということをしっかり伝えていくべきです。

 

「 企画職 につけるか?」ではなく、企画力をつけさせる

 
学生は「企画の仕事につけるか?」を気にしますが、もっと気にしなければならないのは、「企画を行う能力が備わっているか?」です。
 

企画の仕事は簡単な仕事ではなく、誰でもできるものではありません。

子供の頃から企画脳を鍛えてきた人ならできますが、そういうことをしてこなかった人が、いざ社会人になって企画をやれと言われてもできません。
 

「企画の仕事につけるか」ではなく、 企画力 をつけさせる

 
一方で、企画能力を磨ける場はどこにでも転がっています。
 

  • 子供の頃であれば、家族の誕生日にどんなサプライズを演出しようか考える
  • 友達と遊ぶ時にマンネリ化した遊びではなく、新しい遊び方を考え提案する
  • 学校で文化祭の出し物を考える
  • 部活動で練習のやり方を工夫改善する

これらは全部企画です。
 

大学時代にサークル活動などをやればさらに企画の場面がたくさんあります。

合宿をどこで行うか、どんなイベントを行うか、新入生の勧誘をどのように行うか、などなど企画力を発揮する場面のオンパレードです。飲み会の開催も小さな企画です。
 

アルバイトでも、言われたことだけをやっていれば企画要素は全くありませんが、自分から提案してお客様に喜んでもらう方策を考えたり、販促のSNS活用の工夫改善などでも企画力を発揮できます。
 

 
このような活動に没頭して、一生懸命頭を使って考え、仲間と議論して、実行を重ねたきた人には自ずと企画力が備わります。
 

逆に、こういう役割を自ら担わず友人まかせにしてきた人は企画センスが身についていません。

社会人になってからやろうと思っても、相当ハードルが高いです。

学生にはこのような事実を真正面から伝え、今自分に企画力がない人は、どうやったら企画力を磨けるか考えてもらいましょう。
 

企画力が備わっておらず、そういう経験も自らしてこなかった人が「(将来の)企画職」を希望して入社し、数年後、企画職に異動できないと退職していくのは、早期離職の出来レースを歩ませているようなものです。

 

企画職希望者には明確にこのように伝えてしまってはいかがでしょうか?

 

  1. 企画の職種につける人は少ない。しかしどんな仕事も企画職!
     
  2. これからの時代は企画力がないと昇給していけない
     
  3. 企画力を必要とする仕事は決して簡単ではない。だからこそ本気で企画力が身につくよう入社前(学生時代)も入社後も本気で取り組んで欲しい。会社はそれをとことんバックアップするその努力をしない人に企画職は無理。

 

以上のように説明できれば、現実に即しているだけでなく、学生に対して誠実であり、学生の未来のことも考えています。

はじめから明確に伝えられれば、会社のためにも学生のためにもなるのではないでしょうか。

採用活動に向けてぜひ参考にしてみてください。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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