「研修」は社内で内製して実施する場合と 外部研修 を利用する場合がありますが、外部研修に依存している会社は要注意です。
そもそもの研修の目的は何でしょうか?
社員を育成し、能力を高め、仕事の質を高め、生産性改善・売上拡大・事業の改善革新などを実現することですよね。
これはまさに会社の活動の中のコア中のコアに他なりません。
個社の違いや工夫の差が大きく出るところなので、これをまるまる外注に依存するのは非常に勿体なく、リスキーと言えます。
今週のブログでは、研修の内製の重要性・外注との棲み分けについてお伝えします。
目次
研修を外注先に依存することの限界
「社員教育はどのように行っていますか?」と質問すると、「当社はOJTしかできていないんです。なかなか教育の予算がとれなくて・・・」と答える会社が多くあります。
この回答には「社員教育はお金をかけて外部に依頼するものである」という誤った先入観が入り込んでいます。
お金をかけずとも社員研修は実施可能です。流出コストもかかりません。それどころか内製した方が会社の競争力が高まります。
外注に依存する問題は流出コストの面だけではありません。
研修会社が他社でもやっているような金太郎飴の研修を受けたところで、平均レベルには到達するかもしれませんが、他社に抜きん出ることはできません。
自社の事業環境に即した人材育成を行うには、自社の独自の要素を取り込んだ教育が求められます。
外注してよい教育と内製すべき教育
社員育成のいくつかの領域において、具体的に外注で対応してよい教育と内製すべき教育の違いについてお伝えします。
営業の教育
営業の教育では、どの会社でも共通する「汎用領域」は外注でも構いませんが、自社ならではのノウハウがある「独自領域」は内製が望ましいです。
下表をご覧ください。
「汎用領域」は会社による差が出にくい部分なので、eラーニング教材や書籍などを通じて低コストで学ぶことが可能です。研修会社が主催する公開研修参加であればさほどコストも高くありません。
社内でベテラン営業がいれば、その方が一通り教えることもできるでしょう。
「独自領域」は社内の人しかわからないので内製で対応します。
社長、営業部長、成績の良い営業担当者などのノウハウを持ち寄れば、十分にいい教育ができるはずです。
もし教材作成やカリキュラム開発に自信がなければ、人材育成に知見のある外部人材にアドバイザーとして入ってもらい、カリキュラムにまとめ上げる部分だけ手伝ってもらうのもいいと思います。
最も簡単に実施できるのは勉強会です。
教育したいテーマにおいて社内で一番できる人材を講師役にして、皆の前で経験談や成功のコツを語ってもらいます。
管理職教育
初めて部下を持つ社員、管理職としての教育を受けたことがない課長さんや部長さんへの管理職教育は非常に重要です。
汎用領域と独自領域の両面からしっかり学んでもらいましょう。
営業教育同様、汎用領域については、eラーニング教材や書籍などを通じて低コストで学べます。マネジメントが得意な管理職がいるならば、その人に講師をやってもらいましょう。
リアルに学ぶ研修の場が必要かつ社内に教えられる人がいないのであれば、研修講師を外注するのもありです。
外注する場合、eラーニングの動画教材を見てるのと同じように、ただ先生がしゃべっているだけの研修なら意味がありません。
受講する社員がしっかり身に付くような実践型教育と、研修後のフォローアップの仕組みが整っている研修が望ましいです。
独自領域はやはり内製が基本となります。自社の管理職がやるべき事を徹底的に教えましょう。
実際に使っている経営管理レポートを見ながら活用方法を教えたり、過去の業績評価事例を見ながら指導していくなど、実践的であるほど効果的です。
飲食店接客教育
飲食店でスタッフ教育をする場合、汎用的にできる教育も一部ありますが、仕事の大半は会社独自のものになるので、内製が必須です。
例えばマクドナルドの店舗スタッフ教育内容を別のハンバーガーチェーンに移植しても決して使いこなせません。現場で使っている機械もシステムもルールも異なるからです。
店舗や工場のオペレーションなど独自性の高い現場においては、教育は内製が基本になります。
社員教育の効率化
教育の内製を進めていく場合、効率化が課題となります。
内製する場合、外注コストが発生しない代わりに社員が教育に時間を費やす必要があるので、効果と効率化を同時追求しなければなりません。
効率化追求の方法はたくさんあります。具体的に見ていきましょう。
社員教育を効率化する方法
動画学習で済む内容の教育
動画教材を見れば十分に学べる内容であれば、初回に実施した研修を動画に残し、それを繰り返し活用しましょう。
立派な撮影機材などなくても、zoom研修をそのまま録画できるので、その動画でも十分です。
内容が古くなってきたら、またアップデートした内容の研修を録画して使用しましょう。
機械の使い方、包装の仕方など、目で見て覚えるのが早い教育
機械操作の仕方や包装の仕方など、聞いて教わるより見て学ぶのが早い教育であれば、実際のやり方をスマホで録画し、それをショート動画教材にしましょう。
いつでも誰もが簡単に動画で学べる状態を用意すれば会社全体の教育の手間が減ります。
音声で学べる教育
テレアポの優れた事例などは録音して音声教材にしましょう。優秀な先輩の電話のやり取りを耳で聞いて学べば非常に効率のよい学習になります。
普段のミーティングの場に育成の時間を入れる
例えばマネージャーが集まる週1ミーティングで毎回プチ研修の時間を確保し、その時々に学ぶべきテーマを設定して皆で学びます。
1on1の運営が上手くいっていないならば、1on1の上手な管理職が講師役となってそのコツを共有してもらいます。
実務の場を学びの場として活用する
普段の仕事の中に学びの要素を取り入れるのもいい方法です。
例えばPDCAを上手く回せていない管理職がいるならば、PDCAの議論がしっかりできている部署の実際のミーティングに参加させ、その場で学んでもらいます。
社内で実際に発生した問題を議論する際、ただ漫然と議論するのではなく、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの要素を取り入れ、皆で意識しながら議論してみましょう。
明らかに普段とは違った議論になります。
チャット上に相互学習の場をもうける
社員同士が知りたいことを尋ねたり、アドバイスを仰ぐ場をオンライン上につくりましょう。
わざわざ研修の場を用意しなくても、日常の交流を通じてお互いが学び合うことが可能となります。
以上のような方法を活用することで、研修の内製化をできるだけ少ない手間で効率よく、しかも効果あるものにすることができます。
外部研修 に依存しない人材育成 まとめ
社員教育を外部依存している限り、会社の発展に限界があります。
社員を育て鍛えることは事業の成長に直結するコア中のコア業務だからです。
教育予算がないからと言って社員教育を諦める必要はありません。
社員教育は外部に頼まず社内で内製することが可能です。
特に専門性の高い学び、実践効果の高い教育を行うときほど内製が有効です。
内製には一定の手間がかかりますが、効率を高める方法もあります。
動画教材や音声教材の繰り返し活用、普段のミーティングの場を活用した育成、実務と連動した教育、オンライン上の学び合いの場づくりなどを通じて、少ないコストと手間で社員育成を強力に推進していくことが可能です。
「人材育成=研修(外部に依頼)」という先入観を取り払い、ぜひ内製のあり方を考えてみてください。
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