社内交流
前回のブログでは「タバコミュニケーション」や「飲ミュニケーション」の功罪についてお伝えしました。
組織において、こうした非公式なコミュニケーションの場は大切な役割を果たしますが、喫煙室や飲み会での交流が力を持ちすぎると弊害もあります。
今週のブログでは、タバコミュニケーションや飲ミュニケーションに頼らず、皆がフランクに交流できる場をいかに作っていくか、その具体的な方法についてお伝えします。
目次
非公式な交流の場がなぜ必要か?
普段の会議や業務中の上司部下間、同僚間の会話は、どうしても進捗確認や目先の問題への対処に時間が割かれてしまいます。
お互い忙しく動き回っているので、なかなかじっくり会話する余裕もありません。
その結果、困り事やもやもやと抱えている悩みを相談したり、時には弱音を吐いたりすることができません。
コミュニケーションが希薄になると、組織への帰属感も薄れてしまいます。
また、部内の閉じたメンバーでのコミュニケーションばかりでは、新たな視点や気づきの機会も限られてしまいます。
そこで必要となるのが非公式なコミュニケーションの場です。
喫煙室でのコミュニケーションが効果を発揮する理由は、執務スペースから切り離された空間に、偶然人が集まり、リラックスして会話ができる点にあります。
飲み会も同様に、オフィスとは異なる空間で、お酒の力も借りながらリラックスして会話できる点が強みです。
このような非公式の場のメリットを、喫煙ルームや飲み会でなく、誰でも参加できる形で実現するにはどうすれば良いでしょうか?
日常に非公式の場を埋め込む

仕事時間中のオンサイトの場と、仕事時間を離れたオフサイトの場に分けて、非公式のコミュニケーションづくりを考えてみましょう。
目指すべきポイントは以下の通りです。
仕事に関係するフランクな雑談ができること(仕事と全く無関係の雑談だけで終わらないよう注意)
建前でない本音の会話ができること
時には弱音も吐けること
普段忙しくてなかなか言えなかった課題について発信できること
色々な人との会話を通じて新たな発想や気づきを得ること
社内の色々な部署/階層の人と交流し、会社を横断的に理解できるようになること
組織への帰属意識を高める機会になること
それでは具体例を見ていきましょう。
オンサイトの交流
ここでは、業務時間内に実施できる具体的な方法をお伝えします。
ランチの活用

ランチタイムは色々な活用ができる可能性に溢れています。
皆が休憩モードになっているので、リラックスしてフランクな会話がしやすくなる絶好の時間帯です。
課長が自分の部下だけでなく、隣の部署の課長とその部下も誘って出かければ話題の幅が広がります。
少々形式ばってしまいますが、部長+担当者数名のランチを週に1回担当者を入れ替えながら実施していくのもいいですし、社長と社員のランチを定期的に開催する会社もあります。
また、「トランプランチ」のように偶然性の遊び心も交え、普段接することがない人とランチに行くことで、視野の拡がり、新たな気づきが得られることもあります。
社内のつながりも広がります。
(※トランプランチ:裏返したトランプのカードを引き、同じ番号を引いた人同士でランチにいく仕掛け)
コーヒータイム、おやつタイム
業務時間にあらかじめ定めてブレイクタイムを用意する方法です。
朝のコーヒータイムでもいいですし、午後の気分転換のおやつタイムでもいいでしょう。
参加メンバーは職場全体からランダムに選定し、たまたま一緒になった人とコーヒーを飲みながら雑談を楽しみます。
参加する顔ぶれが毎回変わるので、社内のつながりが広がります。
お互い「今、どんな仕事をしているんですか?」とか「最近とても忙しそうですよね」などの会話から、フランクなコミュニケーションにつながります。
時にはヒントをもらえることもあるし、愚痴や弱音を出せる場にもなります。
ピザパーティー

月末の最終営業日の午後などに、皆で集まってピザを食べながらワイワイとコミュニケーションする場です。(もちろん、ピザでなくても構いません)
当月の仕事の振返りや、当月の成績優秀者の表彰なども行いつつ、後半はフリータイムとして、色々な人と立ち話できる場にします。
ちょっとした食事を入れることで自然とリラックスした雰囲気が生まれ、肩肘張らずに会話が弾むきっかけとなります。
会議後相談会
例えば「営業部の定例会議」では、業績進捗の共有、問題点の対策議論、部長からの叱咤激励などがあって会議が終わります。
本来はその会議の場で喧々諤々議論が出るのが望ましいですが、実際は「おかしいな」と思っても意見を言わなかったり、具体的な方策まで理解できていないのに質問をしない人がいます。
このように理解不十分な状態では次のアクションにうつっても結果につながりません。
よって、会議後に小さい分科会のような場を用意します。

仮に「クロージング商談の進め方」が会議の中で議論されたとしたら、会議終了時に
「当該内容について少し不安のある人、理解を深めたい人は残ってください。軽く相談会をやりましょう」
と伝えます。
15人の会議参加者のうち、3人が残りました。
少人数の場なのでお互い不安点の確認や質問がしやすくなります。
やはり15人という大勢の会議、かつ部長が睨みをきかせている場では、どうしても意見や質問が出づらい職場が多いのではないでしょうか。
残った3人は上司(課長)も交えて一緒に話をすることで腑に落ちなかった点が解消され、次なるアクションにもつながりやすくなります。
社内SNS
オンライン上で組織横断的にコミュニケーションできる社内SNSも有効です。
例えば誰かが業務日報的なものを発信すると、その内容を他部署の社員が見ます。
見た人が日報の内容に反応したり、「頑張れ!」と応援してくれたり、関連するお役立ち情報を提供してくれたり、さまざまな交流が生まれます。

仕事上は直接接点がなく顔だけ知っている人とも、オンラインなら気軽に話せます。
社内SNSは運営主体が工夫しないと盛り上がらない等の問題はありますが、上手く機能させれば強力なコミュニケーションツールになります。
研修の場の活用
社員の階層に応じて研修を実施している会社の場合、その研修の場を活用するのも良い方法です。
研修日は、気分が日常の仕事モードから切り離されているので、日々の鎧を脱いで、フランクに会話しやすいマインドにあります。
研修の場では上下関係もないので、普段の縦社会の関係の圧力も薄まっています。

研修カリキュラムの中に、自己振り返りの時間、参加メンバー同士で悩みを共有する時間、実際の課題に対して解決策を議論する時間などをとることで、下記の効果が得られるでしょう。
- 参加者同士のつながりが深まる
- 同じ悩みを持つ人がいることがわかり、「自分だけ悩んでいるんじゃないんだな」という安心感が醸成される
- 普段は時間がなくて放置してきた重要課題について、じっくり意見交換することができる
- 他部署で行っている良いやり方を学び、真似るきっかけになる
オフサイトの交流
続いて、日中の仕事を離れたオフサイトでできる交流を紹介します。
読書会

おすすめ本がある人(お題提供者)が、その本を題材とした読書会を行ないます。
仮に月1回開催だとすると、年間12回、毎回別のお題提供者が開催の中心役となります。
事前に「次回の読書会テーマは〇〇」と出し、それに興味のある人なら誰でも参加可能です。あらかじめお題の本を読み、読書会当日に参加します。
書籍という題材があるおかげで、その本の内容を基準にしながら、素直な気持ちで自分自身と照らし合わせてみたり、今の仕事にどのように役立つかなどを話し合うことができます。
講演会

旬のテーマに基づいた講師を招き、自由参加で講演会を開催します。
講演の内容を聞いた後、数人ずつのグループに分かれて感じたことを伝え合えば、お互いにいい刺激になります。
外部研修、研修旅行

学び・研修を目的とした日帰り出張もしくは旅行も有効です。
例えば、先進的な品質管理を行っている他社の見学に行ったり、優れたサービスを売りにするサービス業の現場視察などです。
現地の人から話を聞かせていただくのもいいでしょう。
日々の仕事を離れ、あえて時間をとって出かけることで、参加者はリラックスして同僚と交流できます。
普段はできない会話をしたり、他社事例を見ることで刺激を受け、自社の課題や参考にすべきことなどの議論が活発になる効果があります。
社内クラブ活動

趣味に応じたクラブ活動が盛んな会社もあります。
クラブ活動時間中は、野球なら野球、音楽なら音楽に没頭するので仕事に関する雑談はほとんど出ないでしょう。
ただ、活動が終わってから一緒に皆でご飯に行くことが多いので、食事の場になると仕事の話題も出てきます。
普段は上司や同僚に相談できないことについて皆の意見を聞いたり、別の部署で活躍している人から学ぶ機会も得られます。
クラブ活動は部署を超えた活動であるため、そこには上下関係も全くないので、非常にフランクな会話がされやすいのも良いところです。
「職場の飲み会」となると最近は参加率が悪くなりがちですが、クラブ活動の延長線上の食事であれば参加のハードルがかなり低くなります。
上司から部下への感謝デー

上司が部下に対してご馳走したり、おもてなしをしたりして、感謝を伝えるイベントです。
普段は部下に感謝を伝える機会がなく、伝えること自体が苦手な上司もいるので、あえて「感謝デー」と銘打って実施します。
例えば、家に招いて食事をする、準備を全て上司たちが行うバーベキューを開催する、遊園地に招待して食事など全てご馳走する、などなど方法は自由です。
この方法には以下のようなメリットがあります。
- 休日とはいえ「感謝デー」なら部下も参加しやすい
- 上司の普段見られないような姿を知ることができる
- 普段の上下関係を逆転させる場なので部下が本音を話しやすくなる
負担を軽減するために、参加は自由とした上で、家族参加も許可する、短時間で完結させるなどの配慮を行うと良いでしょう。
まとめ
以上、オンサイトとオフサイトそれぞれにおいて、フランクなコミュニケーション、本音の会話、気づきや学びの獲得、社内のつながりの強化などが実現できる方法をお伝えしました。
どれが特にいいとか悪いとかはなく、自社に合ったもの、やりやすいものから1つでも始めてみてはいかがでしょうか?
タバコミュニケーションや飲ミュニケーションに依存せず、誰もが参加でき、日常の延長上でフランクに交流できる場づくりが目的です。
こうした取り組みによってコミュニケーションの質が高まり、社員同士の関係性が良くなれば、1人1人の仕事の質が上がり、仕事の成果につながっていくはずです。
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