最近「 リベンジ転職 」という言葉がメディアに取り上げられるようになっています。
「リベンジ転職」とは、退職する際に、会社への不満や怒りから、何らかの“仕返し”を行う行為のことです。
「迷惑をかけてやろう」「痛みを味あわせてやろう」という意図が含まれるのが特徴です。
このような退職は、会社からすると何としても避けたい事態。
その対策には色々な方法が考えられますが、
今週のブログでは「たった1つ、これを守れば大きな被害やレピュテーションリスクは避けられる」という根本的な対策についてお伝えします。
リベンジ転職の背景

リベンジ転職の具体的な行為としては次のようなものがあります。
日本に限らず、世界的に増えていると言われています。
① データの持ち出し(顧客情報、社内資料など)
② SNSや口コミサイトでの内情・不正の暴露
③ 引継ぎの放棄
④ 予告なしの突然の退職
⑤ 繁忙期を狙った退職
⑥ その他、業務妨害的な行為
昔もこういう人がいなかったわけではありませんが、近年過激化・増加している背景には以下のような社会的背景があります。
リベンジ転職増加の要因となっているもの
SNSや口コミサイト等を使用して世間に情報を暴くことが容易になった
ハラスメントや長時間労働など、昭和的な職場風土や人間関係のあり方が今の時代に通用しなくなった
「辞めても次がある」という転職のしやすさ
(管理職の慢性的な多忙、職場の余裕のなさ、リモートワークの普及等による)コミュニケーションの不足・信頼関係の希薄化
このような環境下で「リベンジ転職」が生じやすくなっていることは確かです。
何もせず手をこまねいていると、あなたの会社でも発生するリスクが高まります。
このような事態を防ぐためには、どうしたらいいでしょうか?
リベンジ転職対策で最も大事なこと

リベンジ転職の防止において最も重要なのは、「リベンジされる理由を作らないこと」です。
より正確に言うと、世間から見た時に
「この人が怒るのも無理はないよね」
「こんな会社ならリベンジ転職されても仕方ないよね」
と思われるような状態をつくらないことです。
たしかに、先ほど記載したリベンジ転職の具体的な行為「データの持ち出し」「内情の暴露」「引継ぎをしない」などは退職者側に正当性はありません。
機密保持違反であり、業務の怠慢です。経緯によっては犯罪になります。
しかし、もし退職者がリベンジ転職せざるを得ないほど、追い込まれた理由がひどい場合はどうでしょうか?
SNSの論調・メディア報道や世論は、退職者に強い共感や同情を示す流れになるでしょう。
さらに、企業側が反論するほど「こんなにひどい状況を放置していたのに言い訳をするのか」と、逆に叩かれる状況になりかねません。
「リベンジされる理由」になってしまうもの

例えば、リベンジ転職した人の理由が以下のようなものだとしたら、どうでしょうか?
あなたも同情せざるを得ないと思います。
上司から日常的に激しく叱責され、時には暴力をふるわれた
職場から不当ないじめを受けていた
不正取引を強要された
顧客へ虚偽の報告をするよう何度も求められた
休みをほとんどとることができなかった。休もうとしても許可してもらえなかった
処遇面等で入社時の約束を反故にされた
このような環境下で耐えていた人がいざ退職を決意した時にリベンジしたくなるのは、ある意味「人間の本音」ではないでしょうか。
対処療法には限界がある

リベンジ転職のとりあえずの対処療法としては、以下のようなことが考えられます。
社員としっかり機密保持契約を締結する
データ管理を厳格にする
退職時のルールやプロセスを明文化にする
リベンジ転職に相当する行為の禁止を就業規則に定める など
しかし、そもそも職場に深刻な要因が存在する限り、リベンジ転職の発生を抑えることは難しいでしょう。
対処療法では限界があります。
本質的な対策は「世間から見て、会社側には非がないと思われる組織風土」を作ること。
仮にリベンジ転職する人がいても、世論に
「それは会社の問題ではなく、本人が非常識なだけだよね」
「本人がわがまま過ぎるよね」
と思ってもらえるような組織風土を作ることです。
「リベンジ転職が起きない会社」とは?
リベンジ転職する理由は、退職するその時に突然発生するのではなく、働いている期間を通じてマグマのようにたまった不満や怒りです。
だからこそ、普段の職場において、当たり前に良い環境を作れるかどうかにかかっています。
日常的に困り事や悩み事を相談したり、相互に助け合える風土づくり
活発なコミュニケーションがおきる関係性の構築
ルールや約束をしっかり守る経営の信頼性
不正の撲滅、コンプライアンスの遵守
怒鳴りつけたり強要するしかマネジメントできないパワハラ型管理職の更生
見えないところで起きている問題をあぶり出す仕組みづくり(職場アンケート、メンタル診断、360度評価、第三者ツールによる会社診断やチェック、通報窓口など)
などなど
良い会社づくりこそが、リベンジ転職に対する最大の予防手段になります。
対処療法で防ぐのではなく、根本を見つめなおすことが近道です。
まとめ
リベンジ転職は突発的に見える一方で、実際には日々少しずつ積み重なった不満や怒りの結果として表面化するものです。
だからこそ、「なぜそうなるのか」「その土壌を放置していないか」と、職場全体の在り方に立ち返ることが何より大切です。
リベンジ転職は、制度やルールで封じ込められるものではありません。
最も重要な対策は、「リベンジされる理由がない」と世間から思われるような良い組織風土を日頃から築いておくこと。
「安心して働ける」
「悩みを相談できる」
「誠実に向き合ってもらえる」
そうした当たり前の積み重ねが、社員の働く納得感を生み、結果として企業の信頼や評判を守る最大の力となります。
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