組織を強くする社内広報:3つのアプローチ

2019.04.19

 
あなたの会社では、どのような「社内広報」活動を行っていますか?

社内広報は、実は経営において非常に重要な役割を担っています。
 

  • 会社がどこに向かっているのか
  • 社長は何を考えているのか
  • 会社は何を大事にしているのか?

 
といった会社の大事なメッセージを社員に理解してもらうのが社内広報の役割です。

 

「経費精算はいついつ迄に提出して下さい!」
「請求書発行の業務フローが来月から変わります!」

といった事務連絡も社内広報の一部ではあります。

しかし今回強調したいのは、組織に明確なメッセージを発信し、組織に背骨を通す広報活動です。

 

経営の情報に程遠い社員の日常

 
あなたの会社の社員は、普段社内でどのような情報に接していますか?

コミュニケーションのあまり良くない会社だと、

・席の近い社員と少し会話を交わす
・上司と仕事の指示や報告のやりとりを行う
・部内会議でありきたりの報告を行う

せいぜいこの程度のコミュニケーションで終わっている社員が結構います。

必要最低限の限られた情報の中だけで仕事をしている人が多いものです。

 

50人とか100人の会社であっても、こんな声をよく聞きます。

「ふだん社長と会話することは殆どありません」
「部内でも業務進捗に関わる会話以外殆どありません」

 

社長は自分の思いやメッセージが社員に伝わっていると思うかもしれません。

しかし実態を聞いてみると、社員は驚くほど理解していないものです。

理解していない社員が悪いのではなく、そもそも聞く機会、知る場がないのだから、理解しようがありません。

 

ではどのような社内広報活動が必要でしょうか?

3つのアプローチをお伝えします。

 

社長が社員に直接語る場としての社内広報

 

経営者は誰しも、社員1人1人が存分に力を発揮し、チームでサポートし合える組織を望んでおられます。

 

そのためには、常日頃から社員の意識、目線を上げていかねばなりません。

色々な場で、手を変え品を変え、大切なメッセージを何度も発信していく必要があります。

 

しかしながら、社長が社員に直接語りかける場がない会社が意外と多いのです。

もし直接語る場がないとしたら、社長はどうやって自分の思いを社員全員に伝えるのでしょうか?

幹部に伝えたからといって、それが正しく社員に伝わる可能性は高くありません。
メールで伝えるのもたまにはいいですが、限界があります。

 

語りかける場としては、
・朝礼
・月末の業績確認ミーティング
・ややカジュアルに軽食をまじえた全体の集まり
・四半期などの区切り毎の全体ミーティング
・年度方針発表会
などなど。

年度方針発表会を実施してる会社は多いですが、これだけでは全然足りません。

1年に1回だけでは記憶に残りません。もっとタイムリーに伝えていく必要があります。

オフィスが分散しているならば、テレビ会議でつなげば十分です。

 

「どんな話をしたらいいでしょうか?」と聞かれることがありますが、
社長から社員に伝えて欲しいこと、社員が社長から聞きたいことは沢山沢山あります。
 

  • 会社の業績動向
  • 市場環境や業界の動き
  • 会社の目指すところ(長期・中期・短期)
  • 会社が大事にしている仕事の姿勢
  • 普段自分がやっている事、意識している事
  • 社員に期待すること
  • 社内の良い動き、成果
  • 社内の課題
  • 仕事の意義、働く意義
  • キャリアの作り方
  • などなど

 

ぜひじっくり練り込んで、何度も粘り強く話をして頂きたいです。

 

部署責任者がメンバーに伝える場をもつ

 
部内会議は多くの組織で行われていますね。

しかしそこでやり取りされる内容は、
進捗報告、上司からの指摘やアドバイス、事務連絡などに限られている場合が多いです。

  • 部署の年度目標、それを達成するために行うべきこと、必要なマインド、仕事の姿勢などを部署責任者が伝える機会はありますか?
  • 組織がより強くなるための課題(例えば部内のコミュニケーションのあり方、組織活性化、仕事の意義の理解・・)について会話、議論がされていますか?
  • 会社の方針や社長の考えを、部署責任者が社長に代わってわかりやすく伝える場はありますか?

 

会社に目標があるならば、部署にも当然目標があるべきです。

その目標を実現するには、途中に多く壁や困難が生じますが、
その困難は皆が日常業務だけを一生懸命やっていても解決できません。

目標に向けて自分達がどう変わっていくべきかを伝え、議論し合う場が必要です。

 

 

善悪の判断こそ効果的な社内広報

 
「信賞必罰」は組織の活力や規律を維持する上で欠かせません。

会社として社員のどのような行動を褒め、どのような行動を罰するかは経営の明確なメッセージに他なりません。

強力な広報活動です。

 

模範とすべき仕事ぶりを示した社員や、自らの努力により変化を遂げた社員がいたら、ぜひとも全体の前で称賛してあげましょう。

 

逆の場合はもっと重要です。

会社のルールを破ったり、明らかな問題を起こした社員がいた場合に会社はどう対応するでしょうか?

社員皆がその対応方法に注目しています。

 

営業成績のいい社員だからといって甘い処分をしたらどうなるでしょうか?

「結局うちの会社は仕事の姿勢なんかどうでもよくて、数字さえ上げてればいいんでしょ」
と思われてしまいます。

過去に功績を上げた社員だからといってパワハラを放置したらどうでしょう?

「社長は結局若い社員なんかどうでもよくて、古参幹部を大事にするんでしょ」
と、いずれ社員達は会社から去っていきます。

 

判断した側にそんなつもりはないかもしれません。

しかし不祥事など問題行動への対応は、やり方ひとつで信頼が簡単に崩れ去ってしまいます。

 

三国志に「泣いて馬謖を斬る」という涙なしでは読めない場面があります。

どんな優秀で大切な人材であっても、組織の規律を乱す大きな問題を起こした時には、その人は切らざるを得ないという教訓です。

一見、社内広報と関係ない話に聞こえるかもしれません。

しかし、褒める・罰するの判断基準は社員にとって大きなメッセージとなるので、冷静な判断が必要です。

 

以上、「社内広報で組織を強くする3つのアプローチ」でした。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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