「 やる気のない社員 」に時間を使いすぎず適切に対応する3ステップ

2021.05.20

ある上司の方は部下が4人います。

1名は非常に優秀な社員

2名は意欲的に頑張っているけど今一つ成果の出ない社員

1名はやる気がなく、言われたことだけはやりますが、ミスもよく出る社員です。

やる気のない社員

 
その上司に、「あなたはそれぞれの部下にどの程度の時間を使っていますか?」

と聞いたところ、1名の意欲の低い社員に最も時間を取られていることがわかりました。

この時間の使い方はよくありません。 

 
やる気のない社員に時間を取られすぎる結果、優秀な社員のサポートや、意欲的に頑張っている社員をもっと伸ばすといったことに時間を使えていません。

こうなってしまっては本末転倒です。
 

今週のブログでは、やる気のない社員に引っ張られす過ぎずにどう対処するかについてお伝えします。

 

やる気のない社員 に時間を使いすぎてはいけない

 
やる気のない社員が生まれる原因は色々あります。

本人の問題もあれば会社の問題もあります。

会社の問題を着実に改善するのは当然ですが、最終的には本人が自らの意志で頑張ろうと思うようになることが欠かせません。

こればかりは「上司が時間を使って叱咤激励し指導すれば意欲が湧いてくる」というものではないからです。

よって、やる気のない社員への対応に時間を取られすぎることは避けましょう。

その分、他の社員に時間をしっかり使ってください。

そして、やる気のない社員には次の項目からの3つのステップで対処していきましょう。

 

やる気のない社員への対応 第1ステップ(相手を理解する)

 
まず、最初は少し時間をかけざるを得ませんが、しっかりコミュニケーションをとることが大切です。
 

  • 深いコミュニケーションを通わせる
  • 相手のことをできるだけプライベート含めて内面まで理解し、意欲が上がらない原因を正確につかむ

(本人要因、環境要因、仕事内容、マズローの欲求5段階などの観点から)

 
その際、相手を1人の人間として尊重する姿勢がとても大切です。

仕事の意欲が低いからといって、冷たくあたったり、軽蔑するような態度をとると、相手は更に殻に閉じこもってしまいます。

今現在の職場では問題児かもしれませんが、その人の将来も含めて親の気持ち(愛情と厳しさ)で考えてあげましょう。

 

やる気のない社員への対応 第2ステップ(相手が力を発揮できる道を考える)

 
相手のことを理解できたら、
 

  • 今の課題は何か?
  • 今の仕事の姿勢ではこの先どうなってしまうか?

 
これらを明確に率直に伝えます。

伝えた上で、相手が今よりも力を発揮できるための方法を一緒に考えます。
 

  • 今の仕事でもっと力を発揮するにはどうしたらよいか
  • 仕事を面白くするために何か工夫できないか
  • (仕事に自信が持てていないとしたら)小さな成功体験を積ませるやり方ができないか
  • 小さな成功のために必要なスキルは何か
  • もっと本人が強みを発揮できる仕事がないか
  • 本人自身が変わるために何が必要か

 
など色々な角度から相談します。

相手からいい意見は出てこないかもしれませんが、上司として組織としてできる限りの所まで考えて伝えます。

具体的にできる対策があれば、早速実行しましょう。

 

やる気のない社員 への対応 第3ステップ(着実に仕事をこなしてもらう)

 
第2ステップを経て仕事のやり方なども見直した後、相手の意欲に変化が見られれば、その方向を更に進めていきます。

しかし全く変化が見られない可能性もあります。
その場合どのように対処したらいいでしょうか?

元々意欲の低い人は、その人自身の根本的な考え方に問題がありがちです。

例えば、その人の価値観が「仕事は生活のために嫌々せざるを得ないもの」だとしたら、意欲的な姿勢に変わるのは容易ではありません。

その場合、無理に人を変えようとせず、その人の能力と意欲でできる範囲の仕事を与え、着実にこなしてもらう方向に頭を切り替えましょう。
 

 
比較的簡単な業務を与え、最低限、給料に見合う仕事をしっかりやってもらえばよいと割り切るのです。

週単位、日単位でやるべき業務を明確に定め、それをこなしてもらうサイクルにします。

 

やる気のない社員 への対応 最終段階(一定ラインをもうける)

 
第3ステップで最低限定めた業務もしっかりこなさない場合、その人材はあなたの会社に合う人材ではないと言えます。

仕事ができないならまだしも、残念ながら世の中には「周囲に悪い影響を与える人」もいます。

会社や上司、同僚の悪口を言ったり、仕事中に他の社員の邪魔をしたり、他人の時間やコストを消費するような人は、プラスどころかマイナス作用をもたらします。

そういう人には会社を去ってもらうしかありません。

その人がいることで他の頑張っている社員の意欲を下げたり、組織のまとまりを乱すことになるので要注意です。

 

まとめ

 
上司はやる気のない部下に時間を取られ過ぎてはいけません。

その時間を、前向きに一所懸命取り組んでいる社員との対話、指導、サポートにもっと使いましょう。

ただし意欲の低い部下を最初から諦めることはせず、まずその相手をしっかり理解し、意欲の上がらない原因を考え、相手がより力を発揮できる方法を練りましょう。

とはいえ第三者が人を変えるのは限界があります。

やるべきことをやった上で、それでも改善が難しい場合、「もう無理です」という判断もあってしかるべきです。

一番大切なのは、会社の将来を支える人材にしっかり時間を使うことです。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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