人材マネジメントの巧拙が経営を左右するのは言うまでもありませんが、今後はその比重がますます高まってきます。
例えば会社と個人の関係に着目してみると、加速度的に個が解放されつつあるとあなたも感じているのではないでしょうか。
周りを見渡すと、10年前にはほとんど周りにいなかった働き方をする人がどんどん増えています。
- 海辺で暮らしながらクラウドで仕事を受注する人
- 会社に所属せずプロジェクト単位で働くエンジニア
- 同時に複数の会社で働く複業家
- 本業と並行して腕試しする副業者
今や「一つの会社で一生勤め上げる」という発想を持つ人は滅多にいなくなりました。
コロナの影響で在宅勤務も当たり前となり、誰にも監視されない自由な環境で働く時間が増えました。
いずれも会社が個を縛り付ける要素が弱まり、急激に解放に向かっている現象です。
この変化の渦中において、企業はどのような点を意識しながら人材マネジメントを行うべきでしょうか。
欲しい人材をひきつけるのは「個性の際立つ会社」

これまで多くの中小企業の人材マネジメントは
採用、雇用形態、評価制度、報酬、福利厚生、退職金、勤務ルール、働き方など、どれをとってもあまり差がありませんでした。
それでも会社は回ってきましたが、個が解放される時代に優秀な人材や魅力的な人材をひきつけ、その人に長く関わってもらうためには、会社にももっと個性が必要です。
少し話は変わりますが、様々な業界で中間価格帯の商品が売れにくくなっています。
高級品もしくは安くて品質の良い製品が売れ、真ん中のものが顧客から認知されづらいゾーンになっています。
会社を選ぶ時にも、今後同じようなことが起きていくのではないでしょうか。
働き手に多種多様な選択肢がある中で、相手に認知してもらい、価値を感じてもらうためには、会社がわかりやすい存在である必要があります。
俗にいう「エッジを立てる」
つまり「一部の人が熱烈なファンになるような個性の際立つ会社」ということです。
会社の個性とは
「個性が際立つ」は具体的には次のようなイメージです。
(あえて両極端をイメージしやすいよう記載しています)
リモートワーク前提。居住地問わず | 原則在宅禁止。出社前提 (コミュニケーション、会話を重んじる) |
副業奨励 | 副業禁止(本業徹底集中) |
全員業務委託契約 | 全員正社員で終身雇用 |
超実力主義 | 年功序列 |
目標は本人任せ | 厳しいノルマ |
できる人を採用し、力を発揮できる場を用意する | 充実した社員教育で人を育てる |
イベントは忘年会のみ。仕事は仕事 | 飲み会、社員旅行、イベント盛り沢山 |
仕事上最低限の関係 | 人間関係超濃密 |
残業なし。プライベート充実環境 | 残業多く激務だが徹底的に鍛えられる |
福利厚生がほとんどない分、給与は高い | 福利厚生充実 |
退職金なく現役時代に上乗せ | 退職金充実 |
仮に世間の動きに平均的に合わせた場合、いずれの項目も真ん中に寄るはずです。
しかし真ん中ばかりの会社は第三者の記憶に残りません。
例えば「最近の若い人は飲みに行かないから飲ミュニケーションは難しい・・」
これは一般論です。
私の良く知る会社で、若い社員がじゃんじゃん社内飲み会をやっている会社もあります。
もちろん一般的な部分があってもかまいません。
無理に両極端に寄せようという意味ではありませんが、
会社の考え方を明確にすればするほど、どちらかの極に寄り、個性が出てくるものではないでしょうか。
個性ある商品と同じく、個性ある会社には魅力を感じる人が集まり、その魅力が伝播していきやすくなります。
欲しい人材を手に入れるための個性の打ち出し方

では、あなたの会社はどのような個性を打ち出したらいいでしょうか?
考える出発点は、やはり「経営理念・ビジョン」です。
「社会に貢献する会社を目指します」「お客様を大切にします」といったふわっとした経営理念では、中にいる社員すらほとんど意識しません。
その会社ならではのありたい姿、らしさ、本気で目指すものが明確に打ち出され、
聞いた人が、「いい理念だな、その船に乗りたいな」と共感できる理念・ビジョンが望ましいです。
理念・ビジョンが固まれば、それを実現するために必要な人材、その考えに合う人材が想定できます。
そのような人材が働く会社に対してどのような価値観や制度を期待するか?
ということを考えていくと、先に述べた個性の両極端のうち、どこにエッジを立てるのが良いか見えてくるでしょう。
欲しい人材を手に入れるための方法 懸念点とまとめ
ここまで読まれた方は1つ不安を感じるかもしれません。
そんなに個性を出したら今いる社員が辞めてしまうのではないか?
答えはイエスでありノーでもあります。
イエスというのは、個性を強めると合わない人が出てくるからです。
ノーというのは、社員にとってプラス作用も大きいからです。
どんな個性を打ち出すか考えるときに、会社の強み、社員の持つ強み、既存社員の望む働き方や会社のあり方なども考えるはずなので、
結果的に同じ目的を共有する強い集団に生まれ変わり、以後採用もやりやすくなるでしょう。
離職を思いとどまる社員も出るかもしれません。
よって、会社の個性を出すことで社員が辞めるリスクは限定的と言えます。
個が解放され、働き手の選択肢が多様化する今の時代、
雇用形態を問わずいい人材をひきつけ、長く関わってもらうためには、会社の個性を明確に打ち出すことが求められます。
会社が求める人材が集まってくる、魅力的な会社をつくっていきましょう。
なお、個性のある会社の事例に興味ある方はこちらの本と記事が参考になります。
『完全年功序列、日本一綺麗を謳う青果仲卸に求職者が殺到。伝えるのは「やらないこと」』/BizHint 編集部 https://bizhint.jp/report/420778
書籍:「福島の小さなガス会社がやっていた世界最先端の社員教育/篠木雄司(あさ出版)」
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