現在あなたの会社に「 会議のファシリテーター 」を任せられる人はいますか?
私はお客様の様々な社内会議に参加することがありますが、残念ながら良い議論がされていると感じる会議は多いとは言えません。
議論が噛み合っていなかったり、相手の発言の理解ができていなかったり、偏った意見のまま突き進んでしまったり、議論に参加する人がごく一部に限られていたり・・・
なかなか参加メンバーの英知を結集して意思決定の質を高めていく場になっていません。
このような会議に一筋の光を与え、会議を望ましい方向に導いていくのがファシリテーターです。
今週のブログでは、ファシリテーションの技術とそれをどのように活用するかについてお伝えします。
目次
会議のファシリテーター とは?
会議をより良い会議に転換するには、ファシリテーションを行う人=ファシリテーターが重要です。
ファシリテーターと言うといわゆる「会議の進行・採決」を取り仕切る“議長”を思い浮かべる人もいますが、議長とは少し違います。
ファシリテーターも会議の進行役ですが、それだけではなく、議論を活発化させる促進役という面もあります。
ファシリテーターの動き方イメージは、演劇の俳優です。
会議中、1箇所にずっと座っているのではなく、立ち上がってホワイトボードに議論を整理したり、誰かのそばに近づいて意見を求めたり、一歩引いてしばらく議論の成り行きを見守ったり、まるで演劇の俳優のように様々な動きをする人です。
もしこんな会議があったら、それはファシリテーションが機能していない会議と言えます。
チェックしてみましょう。
□ 会議の目的が曖昧
□ お客様意識だったり、他人事で参加している人がいる
□ 事務局まかせ、議長まかせで協力しない割に、文句を言う人がいる
□ 一部の人だけが意見を言う
□ 上下関係や力関係に左右されて、率直かつフラットな議論がなされない
□ 理解不十分や誤解が生じたまま議論が進み、認識ギャップがどんどん開いていく
□ 議題から論点がどんどんずれていく
□ 会議の時間がよくずれ込む
ファシリテーションで目指す良い会議
ファシリテーションの力を使って目指す会議とはどんな会議なのか考えてみたいと思います。
■ 開催目的、ゴールが明確
■ 参加メンバーが自分自身の役割と参加目的を理解している
■ 多くの人、色々な視点からの多様な意見が出る
■ お互いの発言をしっかり受け止め理解している
■ 立場や力関係によらず率直な意見が出ている
■ 部署や個人の利害を超えて、会社として最善の解に向けた議論ができている
■ 多少話がそれながらも、論点に沿った結論に収斂されていく
■ 時間が守られる
このような会議はフラットで活気があり、深く掘り下げた議論がなされ、最初の案がどんどん磨かれ最善の結論に導かれていきます。
ファシリテーションの力でこのような良い会議に近づけていくには、ファシリテーターは何を行えばいいでしょうか?
ファシリテーション初級編
初歩段階で実践してみるとよいのは、以下の3つです。
分かりにくい話をする人を放っておかない
会議では、
・発言の内容が難解
・やたら話が長い
・話がそれて何を言いたいか分からない
といった人がいるものです。
しかし多くの会議では、その人の発言を皆が理解できていないにもかかわらず、次の人の意見に移ってしまいます。
理解できていないならまだしも、人によって全く別の意味で理解したまま進んでしまうこともあります。
これらを何度か繰り返していると、参加者は議論が噛み合わなくなり、ストレスがたまり、良い結論に辿り着きません。結論が出ても納得感、腹落ち感のないものとなります。
もし分かりづらい意見が出たと思ったら、ファシリテーターのとる方法は2つ。
①「今のご意見をまとめると、「〇〇〇・・・・」という理解でいいですか?」と発言した当人に質問する。
②「今の意見のまとめを、〇〇さん、改めて説明してもらえますか?」と別の第三者を指してみる。
そうすると第三者は「ちょっと今の話はよく理解できなかったので、再度説明してもらえますか」となり、聞き手に伝わっていない事を発言者に知らせることができます。
分かりづらい意見を放置すると周りが理解しないまま話が進んでしまい、後で大きな誤解を招く要因となります。
自分から意見を言わない人から上手く意見を引き出す
残念ながら、多くの会議は声の大きい人に引きずられ議論が偏った方向に暴走したり、上席者ばかりが話しています。
他のメンバーは、内心疑問や違和感を感じているにもかかわらず、何も意見を言いません。
本来「議論」とは、それに対して賛同する人もいれば、別の角度から肉付けをする人がいたり、さらに異論反論も出ることで質の高い意見に練り上げられていくものです。
よって、声なき人の考えもしっかり拾い上げる必要があります。
本当は本人自ら積極的に手を挙げて発言してもらいたいですが、なかなかそうなりません。
いい意見を持っている人に限って黙って何も言わないこともあります。
ファシリテーターは参加メンバーの顔を見ながら、「いい意見や情報を持っていそう」な人に水を向けて、ぜひ意見を述べてもらいましょう。
圧迫する雰囲気をなくし、皆が意見を言いやすい雰囲気をつくる
会議で上司が難しい顔をしていると意見が出づらくなります。
出た意見を頭ごなしに否定したり、マイナス情報に過度に反応したりすると、他のメンバーも発言を控えるようになります。
皆の議論の質が低いとついイライラして自分で全て決めたい衝動に駆られるのが上司の性ではありますが、自分の考えだけでは決していい意見になりません。
管理者は現場の各論に疎いので、現場の率直な感想や意見をもらってこそ議論の質が高まります。
皆が積極的に意見を出しやすい雰囲気、仕掛けを演出するのもファシリテーターの役割です。
ファシリテーションは誰が行うか?
ファシリテーションは誰が行うものでしょうか?
例えば新規事業のアイディアを出し合う会議などでは外部のプロのファシリテーターなどを使って活発な議論を促進することがありますが、日常の会議においてプロをおくことは現実的ではありません。
当面、ファシリテーターを担うのは正に会議を主催しているあなたです。
会議に出たら上座に座って上司然として腕組みするのではなく、活発に動き回りながら、参加メンバーからよりよい意見を引き出し、議論の質を高めるファシリテーション役を担いましょう。
あなたのファシリテーションの質が上がれば、メンバーの中からもファシリテーションを担える人材が育ってくるので、徐々に役割を移していくのもいいと思います。
ファシリテーション中級編
ファシリテーション初級編の対応に慣れてきたら、以下の中級編もマスターしていきましょう。
ファシリテーション技術は大きく次の5つの要素に分けられます。
上記5つの観点から会議の進め方を検証してみると、ファシリテーションが上手く機能している部分とそうでない部分が分かり、改善につなげられるはずです。
初級編でもお伝えしましたが、特に赤枠で囲った部分は、スキルをつけると会議が劇的に良くなる要素です。
1つのテーマについて改善策を話し合ったり、企画を議論したりする会議では、「思考・アイディアを深める」の項目も参考になると思います。
まとめ
週1回開催するとしたら年間50回近くある会議を、毎回ただ漫然と行うのは非常にもったいないことです。
せっかく行うなら、会議を有意義なものにして最善の結論を導き出すとともに、フラットに皆で意見を出し合う習慣を参加者全員で身につけていきましょう。
ファシリテーション技術の活用によって「最善の結論」「人材育成」の両方が達成できます。
ぜひファシリテーションスキルを身につけ、質の高い会議を行っていきましょう。
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