あなたの会社の 社内表彰制度 はうまく機能しているでしょうか?
「機能している」というのは、表彰制度で狙っている効果がしっかり実現できているか?という意味です。
表彰制度はあっても運用方法が間違っていると効果が薄くなったり、社員のモチベーションを下げてしまっていることもあります。
今週のブログでは、表彰制度をどのように運営したらその目的と狙いを実現できるか?についてお伝えします。
目次
社内表彰制度 のメリット
社内表彰制度では一定期間において突出した成果を上げた社員、人並み外れて努力した社員などを表彰します。
その目的、意義には、実は多くのことがあります。
1. 本人のモチベーション喚起
本人の頑張りや結果を表彰することを通じて承認欲求や名誉欲を満たし、さらにもっと頑張ろうという気持ちになってもらうことが可能です。
2. 同僚のモチベーション喚起
表彰を受けられなかった社員に「次こそは私が!」と思わせる刺激を与え、競争意識を喚起する効果があります。
3. チーム全体のモチベーション喚起および結束力向上
表彰は個人表彰だけでなくチーム表彰や部門表彰もあります。
組織として一定の成果に到達した時に出す表彰なので、チーム皆で目標に向かって頑張ろうとする意欲を引き出すことができます。
4. 教育効果
表彰された社員がなぜ表彰されたか、何がすごかったかを知ることで、自分の仕事に活かすことができます。
5. 効果的な報酬配分
表彰は報酬配分の一つの形態とも言えます。
報酬を月給で出すか、賞与で出すか、はたまた表彰として金一封を渡すか、それぞれ意味合いが異なります。
通常の給与や賞与とは別の意味で、表彰で支給する報奨に意味を持たせることができます。
1〜5に当てはまらない、残念な 社内表彰制度
上記の社内表彰制度の目的を踏まえると、例えば以下のような表彰制度運営は効果が薄く、非常に勿体ないやり方であることが分かります。
- 結果発表が地味すぎる
誰が表彰されたのかを社員同士が知らないため承認欲求が満たされず、モチベーション向上につながらない
- 表彰の選考方法に客観性がない
同僚からみて「あの人が表彰されるのはおかしい・・・」と思われてしまい、表彰の重みがなくなる
- 表彰に伴う報奨金が少なすぎる(魅力がない)
せっかく受賞しても表彰の重みを感じられない
- 表彰された理由を伝えていない
何が評価されたのかわからないので、同僚にとって参考にならない。学ぶ機会にならない
- 表彰の対象者が多すぎる
表彰のプレミアム感がなくなる
- 表彰の対象者が少なすぎる
ほとんどの人が自分には関係ないと思ってしまう
- たまに思いついたように行われる
表彰制度に意味を持たせられず継続的な成長につながらない
など
社内表彰制度 のメリットを最大化する5つの方法
上記で述べた5つの目的を実現するために、社内表彰制度をどのように設計したらよいか具体的にお伝えします。
本人のモチベーション喚起
表彰制度を通じて本人のモチベーションを喚起するためには、以下の視点から設計を細やかに行いましょう。
「選考基準~選考プロセス」、「結果発表のやり方」、「表彰効果の持続」、「関係者の巻き込み」、「こまめな表彰」、「表彰の報奨」、それぞれの観点でお伝えします。
選考基準~選考プロセス
表彰対象者の選考は公平かつ透明性高く行いましょう。
社長や役員など特定個人の感覚値だけで決めるのではなく、数値基準を明確に定めるとともに、各部署から選考基準に見合う人材を推薦し、公平に議論した上で対象者を決めるプロセスが望ましいです。
特に全社MVPなどトップクラスの表彰は重みがあるほど受賞者の名誉が高まるので、公明正大の選考プロセスが求められます。
注意点
数値基準を設定する場合、最終結果の数字だけで評価すると、大口顧客を担当している営業担当者が(さほど改善努力などしなくても)毎年1位ということになりかねません。
最終結果の数字も大事ですが、
- 成果を出すためのプロセスに着目する
- 進化度合いの高かった人を表彰する
これらの工夫をして、会社がどのような人材を評価しているかを明確に指し示すことにも意味があります。
結果発表のやり方
表彰される社員の承認欲、名誉欲を刺激することが大事なので、表彰結果はなるべく大きな場で発表しましょう。
全社ミーティングの場で社長から表彰したり、社内報のトップにデカデカと掲載するなど、多くの人に認知させることが大事です。
賞状を渡すのは偉い人からであるほどいいですね。
受賞イベントでは音楽や映像で凝った演出をすると気持ちが高揚し期待感が高まるので、とても効果的です。
表彰効果の持続
大々的に表彰しても、数ヶ月経つと皆の記憶から薄れていきます。
一過性で終わらせず、次の表彰の時まで前回の受賞者が誰であるか分かるようにしましょう。
職場の目立つところに過去の受賞者を貼りだしておくのもいいですし、サービス業などであれば「制服に表彰履歴がわかるバッジをつける」などの方法があります。
グループウェアのトップページから過去の受賞者履歴がすぐに閲覧できるようにしておくのもいいですね。
関係者の巻き込み
表彰結果は社内で知らせるだけでなく、本人の家族に知らせたり、親密取引先にも伝えるなど、結果を知らせる範囲を広げるのも有効です。
注意点
社外の不特定多数が閲覧できるwebサイト等に表彰対象者を載せて名誉を広げる会社もありますが、それはあまりお薦めしません。
ヘッドハンターの餌食となり、あちこちから転職のお誘いがかかるリスクがあるからです。
こまめな表彰
ホテル・旅館、飲食店など、パート・アルバイトがたくさんいる職場では、毎月表彰制度をもうけ、当月活躍したスタッフを表彰するのもいい方法です。
パートアルバイト職は人の出入りが多いので、半年に1回よりも小まめな頻度で行うのがおすすめです。
表彰の報奨
表彰の報奨はインパクトがある方がいいです。
「高額ボーナス」「海外旅行」「10日間の特別休暇」など。
特に全社MVPや社長賞など、上位の表彰対象ほどインパクトを出してください。
同僚のモチベーション喚起
前項の「本人のモチベーション喚起」の仕組みをつくると、社員は「表彰対象者が誰であり、どのような理由で表彰されたか」を知ることができます。
表彰の対象者がまぶしくも羨ましくも映り、刺激、励みになるでしょう。
チーム全体のモチベーション喚起および結束力向上
表彰制度には個人表彰だけでなく必ずチーム表彰を加えましょう。
個人表彰の場合、能力差によりずっと獲得が難しい社員もいます。その社員にも表彰を目指すやりがいを感じてもらうには、チーム表彰がマッチします。
卓球や水泳など個人競技メインのスポーツで団体戦をやるととても盛り上がるように、チームでの受賞は個人受賞よりも喜びが格別なので、皆で目指す価値があります。
教育効果
表彰制度の重要な目的は、本人のモチベーション喚起だけでなく、社員育成にあります。
ふだん社内で「Aさんは優秀だね」とか「Bさんは最近凄く伸びてきているようだね」といった会話は良くなされますが、実際のところ、Aさんがどのような仕事ぶりか、Bさんがなぜ伸びてきたかを同僚は理解していないのが通常です。
表彰制度のいいところは、社内MVPをとった人材が
- なぜMVPに至る活躍を見せたのか?
- 本人がどのような努力をしてきたか?
このような背景をつまびらかにして取り上げることができる点です。
よって、受賞式の場では、選考委員から必ず説明を入れてください。
賞状を授与して終わりではなく、なぜ選んだかの詳細理由を選考委員が述べた後、本人からここまでの結果にいたる努力、改善したこと、苦労したこと、乗り越えた壁などを是非語ってもらってください。
効果的な報酬配分
例えば頑張った社員の年収を「来年から10万円UP!」といっても、月々にしたら1万足らずで、あまりインパクトがありません。
しかも年収を一度10万円UPしたら、翌年以降もその人件費が継続します。
一方で、年度末の表彰の報奨金として一括で10万円を支給すれば、本人にとってインパクトがあります。
会社としてはたった1回きりの10万円の出費ですが、年収を10万円アップするよりインパクトをもたらすことが可能です。
また、「夫婦で旅行券、家族でハワイ、両親と北海道周遊」など本人以外を巻き込んだ報奨にすることで、社員の家族親族に喜びの輪を広げることも可能です。
「研修20万円」と定め、何らかの見聞見識を広げる目的の学びに使ってもらえば、会社が人材育成を重視する姿勢が伝わります。
消費財メーカーであれば、表彰のご褒美として「アフリカツアー」を支給し、現地の人の生活レポートやビジネスチャンスなどの気づきを後日レポートしてもらうのも面白いと思います。
せっかく投資をするのであれば、自社らしいユニークでインパクトのあるご褒美を考えてみてください。
まとめ
社内表彰制度を活用して社員のモチベーションを喚起し、チームの結束を高め、人材育成につなげるやり方について説明しました。
何となく運営されているだけで社員から注目を集めない表彰制度では、せっかくの制度が報われません。
表彰制度の目的を明確にし、それを実現するための仕組みをしっかり設計することで、表彰制度は大きな効果を発揮してくれるでしょう。
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