【図解】 コーチングとティーチング の違いと「切り替え」のタイミング

2021.10.07

皆さんは「 コーチングとティーチング 」をうまく使いこなせているでしょうか?

 
今やコーチングは部下育成においての必須の手法となりました。
変化の激しい時代に自ら考え判断できる人材を育てるには、コーチングが欠かせません。

一方で、コーチングによる指導に悩む管理職もいます。

「部下に問いかけ、考えさせても何も出てこず、仕事が進みません。指示通りやらせた方が早いのですが、どうしたらいいでしょうか?」という悩みです。
 

今週のブログでは、コーチングとティーチングをどのように使い分けるか?というテーマについてお伝えします。

 

「 コーチングとティーチング 」の使い分け

 
新入社員を思い浮かべてみてください。

 

まだ業務経験が全くない状態なので、マナー指導に始まり、電話の取り方、仕事の基本的な知識、議事録の作り方などを教えます。

初歩的な段階なので本人に考えてもらうことはほとんどなく、言われたことをしっかり覚え、反復練習して、身に着けていってもらう時期です。

よって、この時期はあくまでティーチングが主体です。

 

逆に、自分よりビジネス経験が豊富な部下だったらどうでしょうか?

上司が教えられることはほとんどありません。

このような場合は、部下がより高いゴールにたどり着けるよう、コーチング主体にして本人の気づきや内省を促す方法が有効です。

 

ティーチング→コーチング移行図

 
先の例のように、コーチングとティーチングは部下の経験値や能力に応じて変わっていくものです。

それを図式化すると以下のようになります。
 

 
新人のうちはティーチングが主体ですが、本人のレベルが上がっていくにつれ、ティーチングの割合が下がり、コーチングが主体になっていきます。

自分の部下がこの図のどの辺りにいるかを想定しながら、バランスを考えた指導をしていきましょう。

 

新人にもコーチングは必要

 
図を見てもお分かりになるかと思いますが、1つ注意が必要なのは、新人時代においてもティーチングが100%の状態は望ましくないということです。

例えば、営業部署の新人が顧客リストに順番に電話をかけていく場合、一定のルールはティーチングで教える必要があります。

名乗り方、お客様に伝えるべき内容、電話がつながりやすい時間帯などを教えます。

しかし、これを教わった通りにやるだけでは成果につながりません。
 

困った新人は、
 

 
などと聞いてくることでしょう。
 

その時、聞かれた質問全てに「じゃあ次はこうして!」と指示(ティーチング)を与え続けたらどうなるでしょうか?
 

おそらくその新人は何も自分で考えない、うだつの上がらない営業担当者に育つ運命になってしまいます。

 

「ガチャ切りされるんですが、どうしたらいいでしょうか?」と聞かれたら、

上司は「あなたはどうしたらいいと思う?」と切り返すことです。これがコーチングです。

 

「・・・、わかりません」と言われるかもしれませんが、

 

 

このように、本人が解決できるサイズの問いを返してあげましょう。

このコーチングのキャッチボールをするだけで、新人の仕事へのスタンスは変わります。

 

自ら考えて動ける人材を育てるには、新人のうちからコーチングの要素を入れた指導が不可欠です。

 

では、コーチング主体に切り替えるのはいつか?

 
一定のレベルに到達するまではティーチング主体になりますが、どのタイミングからコーチング主体に切り替えるべきか。

これは多くの管理職の悩むところです。

ある日のこの瞬間から切り替え!という単純図式にはなりませんが、徐々にコーチング主体に移行していいと言えるのは、下図記載のタイミングです。
 

コーチングとティーチング

 
このような兆候が見えてきたら、徐々に「ティーチング主体」から卒業です。

子どもが反抗期に入るタイミングに近いと言えるかもしれません。

何でも言われる通りにやることでは飽き足らず、自分でやりたい!と思うタイミングです。
 

大きく伸びる時でもあるので、迷わず「コーチング主体」にしていきましょう。

間違っても「あいつは生意気だ。俺の言う通りに従わせよう」などと思ってはいけません。逸材が育つのを潰すことになりかねません。

 

まとめ

 
コーチングは人材育成において欠かせない手法ですが、相手の経験値や能力に応じてティーチングとともに使い分けていく必要があります。

その時に意識すべきは、
 

  • 新人に対してもコーチングの要素を一定程度残すこと
  • 一定のレベルに到達したら、喜んでコーチング主体に切り替えていくこと

 
それが会社を成長させる「自ら考え行動できる社員」の育成につながります。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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