組織にリーダーが必要なのは言うまでもありませんが、リーダーの力にばかり依存する組織は強くなれません。
リーダーだって足りない能力はたくさんあります。間違うことも迷うこともあります。
それを支えていくのが組織メンバーたちのフォロワーシップです。
今週のブログは、「リーダーを支えるフォロワーシップの重要性とその強化」についてお伝えします。
目次
フォロワーシップ とは?
フォロワーシップとは、「リーダーを支援して組織に貢献しようとする力」のことを言います。
具体的には、リーダーの元で行動するメンバーたちが、リーダーを支えながら、自ら主体的に組織をよくしていこうと行動する力のことです。
「 リーダーの指示通り動くだけで自ら考え行動しない集団 」は、フォロワーシップが存在しない状態と言えます。
例えば、社内で組織横断的な5S活動プロジェクトを立上げる場合、まずプロジェクトのリーダー、副リーダーを決めます。
プロジェクトがスタートして毎週会議が開かれるとしたら、最初の数回は皆が積極的に参加するでしょう。
しかし回を重ねるにつれて、業務上の都合を理由に欠席する人が増え、主体的にプロジェクトに貢献する人が減り、リーダーにばかり負担が集中するという現象がよく見られます。
こうしてフォロワーシップが徐々に弱まっていくと、いずれプロジェクトは存続の危機を迎えることでしょう。
組織においては、リーダーシップとフォロワーシップの双方が噛み合ってこそ、大きな力が発揮されます。
フォロワーシップ の重要性
先駆的な研究と革新的な経営手法で有名なロバート・ケリー教授は「The Power of Followership(1992年)」でフォロワーシップに着目しました。
この著書の中で彼は
「ほとんどの組織において、その成功に対するリーダーの平均貢献度は20%にすぎない。
フォロワーが残り80%の鍵を握っている」
と述べています。
では、なぜそこまでフォロワーシップが重要なのでしょうか?
リーダーも完璧じゃない
リーダーも常に迷い悩みながら決断しています。
リーダー1人の力で適切な結論を出すことは難しいので、フォロワーが建設的な意見を述べたり、リーダーの悩みに寄り添ったり、リーダーの足りない部分を補うことで、リーダーはより良い方向に組織を導いていけます。
リーダーに対する反論も必要
リーダーが自信をもって決断したことであっても、その判断が正しいとは限りません。
リーダーの意見に対して別の見方や異なる意見も必要です。
反論があってこそ健全な議論がなされ、最終的にリーダーはよい決断ができます。
皆が盲目的にリーダーの判断に追従するだけでは、組織は誤った方向に行く恐れがあります。
組織には「決めたら従う」団結力が必要
リーダーが決断したことに対して、誰かが後から文句を言ったり従わない組織は、統制がとれず、皆の行動がバラバラになります。
議論の過程ではリーダー・フォロワーの立場に関係なくフラットに意見を交わすべきですが、
いざリーダーが決断したらそれに従い、徹底して行動するのが強い組織です。
「決めたら従う」フォロワーシップがあってこそ、組織は統制が取れ、全員が一緒に高い目標に向かっていくことができます。
組織は全員が当事者
組織には役割が必要なのでリーダーを選出しますが、リーダーもフォロワーも全員が当事者であることは変わりません。
リーダーだけが汗水たらして苦労しているのにフォロワーはただ漫然とリーダーについていくだけの状態は、組織として機能していません。
階層や立場に関係なく、自ら組織にどのように貢献するか考え行動するフォロワーシップが組織には欠かせません。
フォロワーシップ スタイル
ロバート・ケリー教授は、2つの要素の軸を組み合わせてフォロワーシップを5つのスタイルに分けました。
2つの要素の軸
①批判力が高い - 批判力が低い(依存的)
②組織に積極的に関わり貢献度が高い - 消極的で貢献度が低い
自分がフォロワーとして、5つのうちどのタイプの行動をとっているか見てみましょう。
自身のフォロワーシップの特徴を理解することができます。
5つのタイプを説明します。
- 模範型フォロワー(協働者)
組織の目標に向かって積極的に関わると同時に、批判的な思考も持ち合わせ、組織に大きく貢献します。
- 順応型フォロワー(従事者)
組織への貢献意欲は高いですが、自分の意見はほとんど言いません。
摩擦を恐れ、我慢する傾向があります。
従うだけで主張しないので、ある意味で楽なポジションでもあります。
- 実務型フォロワー(実践者)
組織に適度に貢献し、一定の意見も持っており、組織の中でうまく立ち回れるタイプです。
どっちつかずで日和見的な面もあり、組織の足を引っ張るケースもあります。
- 消極型フォロワー(逃避者)
リーダーに従順に従いますが、自分の考えを述べることはほとんどなく、組織への関わりも薄いタイプです。
5つのそれぞれにタイプに応じて、模範型フォロワーに近づいていけるよう指導することが大事です。
- 孤立型フォロワー(破壊者)
集団に順応するよりも孤立傾向があり、組織に貢献することより、自分の意見を主張し、戦うことにエネルギーを費やします。
建設的批判を投げかけることができる反面、不満分子とみられることもあります。
フォロワーシップ の形成
それでは、あなたの組織のフォロワーシップを高めるために日々の業務を通じてできることを考えてみましょう。
役割を持たせる
自分の担当業務に加えて、組織に貢献する業務を(公式/非公式に)割り振ることで、貢献意欲が刺激されます。
「PCのことなら山田君に聞け」でもいいですし、競合情報収集担当、事務効率改善担当、オフィス美化担当でも何でも構いません。
その人が主導して組織全体に貢献できる役割を担ってもらいましょう。
会議の工夫
全体会議で発言する人が毎回特定メンバーに片寄ったり、リーダー寄りのメンバーばかりが発言する場になると、他の人は発言をしなくなります。
会議で発言する機会がなくなれば、徐々に組織の中心から遠い存在になってしまいます。
年次、男女、出身部署などにとらわれず、色々な人から多様な意見が出るように会議を工夫しましょう。
コミュニケーション活性化、信頼関係構築
組織を構成するメンバー同士の関わり、相互理解、相互協力はフォロワーシップに大きく影響します。
同じ部署の人と大して会話もせず、相手のことも知らなければ、協力しよう、組織に貢献しようという気持ちになりませんよね。
積極的に意見を述べようとも思わないし、逆に変な意見を言って周りから嫌われたらどうしようという心配が先に立ちます。
コミュニケーションや相互理解の場を通じて、組織に一体感を作ることは欠かせません。
リーダーによる声掛け、巻き込み
組織は少し油断をすると、フォロワーシップの発揮度合いが弱まり、主体的に動く人が減ってしまいます。
リーダーは普段からフォロワー全員に目を配り、脱落気味の人がいたら声をかけ、状況についてよく話し合い、その人のネジをまき直してください。
リーダー自身が自分自身の弱みを開示したり、助けてほしい気持ちを率直に伝えることも有効です。
常にフォロワーを円の中心に巻き込む行動が大事です。
まとめ
強い組織では、リーダーシップとフォロワーシップがしっかりと噛み合っています。
フォロワーの仕事はリーダーについていくことではなく、「フォロワーシップという仕事の姿勢」が大切であることを皆に伝えていきましょう。
その上で自分のフォロワーシップの特徴を理解して改善を促すと共に、組織全体としてフォロワーシップを高める工夫をしていってください。
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