「 業績連動型賞与 」は経営の有効ツール | 優秀な社員が辞めない賞与配分法(具体例つき)

2022.06.03
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賞与の配分には会社の考え方・経営の意思が色濃く出ます。 「 業績連動型賞与 」もその一つの形です。

本来「賞与」とは業績に連動して支給する変動給なので、個人のパフォーマンスに応じて変動させることにより、社員間の貢献に応じたメリハリにつながります。

しかし実態としては、賞与がほぼ固定給化し、変動給としてのメリットを活かせていない場合も多くあります。

今週のブログでは、賞与配分を通じて優秀な社員の貢献に報い、優秀な社員の流出を防ぐ考え方についてお伝えします。

 

賞与配分の流れ

賞与配分の流れ

 
賞与の金額を決める標準的な流れは次のようになります。
 
 

①会社としての賞与原資(賞与支給する総額)を決定

 
例えば年間の賞与支給標準を月給3か月分と決めている会社が「今年は業績好調だったので3.5ヶ月分にしよう」と決めます。
 

賞与原資の算定にあたっては、以下の方法のいずれか又は組み合わせで決定します。
 

  • 過去の支給実績を参考に、当期の会社業績を考慮の上で算出
     
  • 会社として定める標準額(例:夏冬合わせて月給の3ヶ月分程度)をベースに業績を考慮の上で算出
     
  • 自社の適正労働分配率や同業他社の労働分配率等を参考にする
     
  • 売上高人件費比率の推移を参考にする
     
  • 利益の還元方針から算出(例:その年の利益を内部留保、株主配当、社員還元に1/3ずつ配分するという方針であれば、その考えから逆算して算出)

 

②社員個々への配分額を算出 

 
社員個々の役職と評価結果にもとづいて決めるのが通常ですが、個人評価だけでなく部署の業績を反映させる場合もあります。
 

 

賞与が固定給化している問題

 
賞与は本来は変動給なので、会社業績または個人業績によってダイナミックに動かせるものです。

しかし実際は固定給化しているケースが多くあります。その理由は2つあります。

 

賞与の金額と月給の合計が社員の生活給になっている

 
賞与も含めたトータル額で生活費を賄っているため、賞与が減らされてしまうと生活に影響が出ます。

例えば、ボーナス時に住宅ローンの返済額を割り増ししているケースなどがこれに該当します。

言い方を変えれば報酬水準があまり高くないので、給与+賞与でぎりぎり社員の生活給をまかなっており、賞与を固定化せざるを得ない状態です。

 

「賞与で差をつける」という考えがない

 
同じ課長であっても人によって業績貢献度合いは異なるのが通常ですが、課長同士の支給額にほとんど差をつけない考え方で賞与設計する会社もあります。

過去から差をつけない習慣が続いていたり、そもそも個人間の評価差をつけにくい業務であったり、評価制度が機能していないなどが原因です。

 

給与と賞与の違い 本来の役割

 
給与と賞与には本来それぞれの役割があります。

 

 
毎月安定的に支給するもので、その人の役割、能力、資質、期待度などにもとづき定めるもの。
生活給の意味合いが強い

 

 
対象期間の成果、貢献度合いに応じて、可変的に支給するもの

 

上記定義のように、賞与は支給を可変的に行うことで、貢献した人にしっかりと報い、そうでない人には奮起を促すよう活用するのが望ましい形です。

 

賞与のメリハリのパターン

 
例えば夏冬合わせて3ヶ月分の支給を決めた会社があったとします。

月給30万円の社員であれば、3か月分で90万円の支給が標準値となります。

仮に月給30万円の社員3人の賞与を、それぞれの成果によってどのように配分するか?を考えてみます。

  

業績連動型賞与

 

あなたの会社はどのパターンに近いですか?
 

パターン1

トップと最下位の差をプラスマイナス10%にとどめているため非常に差が少なく、社員は「頑張っても頑張らなくても大して変わらない」という印象を抱きます。
 

パターン2

AさんはCさんの約2倍となり、それなりにメリハリがつきます。
 

パターン3

AさんはCさんの約3倍となり、かなり明確な差がついています。
 

パターン4

AさんとBさんで6倍近い差がつき、実力主義を強く打ち出した配分と言えます。

 

差をどの程度つけるかは、それぞれ一長一短を踏まえて考える必要があります。

自社の業務が個人の力による差がつきにくく、ほとんどチームプレーに依存するのであれば、そもそも個人差がつかないので一律90万円という考え方もありです。
 

しかし多くの業務においては個人の実力差が出るのが普通であり、それにも関わらず賞与に差をつけなければ、貢献度の高い社員の意欲を下げ、貢献度の低い社員が甘える構造になってしまいます。

 
パターン1ではあまりに少ないので、パターン2〜4の幅の中で、自社に適した配分を決めるのがいいでしょう。

 

組織業績を賞与に考慮

 
「個人差をつけると皆が個人プレーに走ってしまい、チーム全体への貢献を意識しなくなる」という不安がある場合、組織業績を賞与配分の考え方に組み込むのがおすすめです。

 

(例)3か月分の原資のうち、1ヶ月分は所属部署の業績に連動させる

 

先ほどの課長さんであれば下記のような考え方になります。

賞与(90万円)のうち

1/3(30万円)は所属部署の業績によって変動

2/3(60万円)は個人の業績によって変動(先ほどの個人間配分の考え方)

 

業績連動型賞与

(例)会社が評価した各部署の貢献度
 

営業部 ×1.2

製造部 ×0.9

開発部 ×1.1

管理部 ×1.0

アフターサービス部 ×0.8

 

この例の場合

【営業部の課長】は、30万円×1.2=36万円

【アフターサービス部の課長】は、30万円×0.8=24万円

これが所属部署の業績による1/3部分の賞与配分額となります。

 

この例では賞与における組織業績の影響割合を全体の1/3と設定しましたが、個人間の差がつきにくい部署では1/2にするなど、部署毎に可変的にすることも可能です。

 

夏の賞与と冬の賞与の位置づけ

 
多くの会社では中間と期末の2回に分けて賞与を支給しています。

2回ともしっかり業績評価を行い、上記のようなやり方で配分を決めるのが1つのやり方です。

 

この他に、「中間の賞与は固定額とし、期末の賞与のみ業績評価をじっくり行った上でメリハリある配分を行う」という方法があります。 

この方法のメリットは下記です。
 

  • 評価 → 賞与額決定の手間を年に1回に減らせる
     
  • 中間賞与では生活給的に一定額を保証して安心感を与えられる
     
  • 期末賞与では実力で差がつくという位置づけにできる 

 

決算賞与の活用

決算賞与の活用

 
業績が良かった年は決算賞与を活用するのもいい方法です。

通常の2回の賞与で差がつけづらいのであれば、決算賞与でメリハリをつけます。
 

逆に、通常の賞与でメリハリをつける分、決算賞与は差をつけずに皆に公平に分配するという考え方もありです。
 

決算賞与の金額は高くなくても構いません。

「賞与が3回ある」ということが、社員にとって(社員の家族にとっても)嬉しいものであり、効果が期待できます。

 

賞与原資を増やす

 
人材の競争力を高めるためには、報酬面でも競争力ある水準に近づける努力が不可欠です。

人件費への配分を増やすためには、株主還元の見直し、削れる経費の削減、利益率の悪い商品からの撤退や縮小、業務効率化による生産性向上(=一人当たり付加価値の向上)などを強力に推進する必要があります。
 

特に賞与が生活給となっているため個人差をつけられない企業は、賞与配分原資を増やさない限り、優秀な社員に報いることができません。

放置すれば優秀な社員から流出していくリスクもあります。
 

人件費投資をいかに増やせるかが生き残りの生命線といっても過言ではないでしょう。

 

まとめ

 
賞与の配分は会社の人件費施策の重要な要素です。

その配分方法によって、会社全体に対する無言の強烈なメッセージとなります。

会社を支える優秀な社員は自分から給与の不満を言ってくることは稀ですが、それに甘えていると社員の流出を招きます。
 

全員の給与が毎年上がる時代ならともかく、今の「低成長、転職が当たり前の時代」において、貢献度の高い社員と低い社員の報酬に差がつかない仕組みは非常に成り立ちづらいです。

貢献度の高い社員にしっかり報いるためにも、賞与配分に意志を込め、うまく活用していきましょう。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、戦略人事アドバイザー、幹部/管理職育成、組織開発、人事制度づくりなどを行っています。

筆者プロフィール詳細