社員の定着率 を上げるには? 社員が辞めない求心力の作り方

2022.09.15
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社員の定着率 が高い会社に共通するのが「求心力」です。 

ずばり、あなたの会社の求心力は何ですか?
 

社員が「この会社で頑張ろう!」と思い、日々前向きに真剣に仕事に取り組むには、その理由が必要です。

嫌いな会社のために、尊敬できない社長のために、顧客のためにならない商品を売るために、一生懸命努力する人はいません。

人が今そこで本気で働くのは何らかの理由があるからです。
 

その理由こそ会社の求心力です。
 

働き手の求めるものが多様化する中で、会社はいかに人材を魅きつけ、社員に長く頑張ってもらうことができるでしょうか?

今週のブログでは会社の求心力の在り方についてお伝えします。

 

会社の求心力とは?

 
求心力という言葉を辞書で引くと、このように定義されています。
 

  • 物体が円運動をするとき、物体に対してその中心に向かってはたらく力(日本国語大辞典)
     
  • 他人を引きつけ、その人を中心にやっていこうとさせる力(デジタル大辞泉)
     

対義語は「遠心力」です。

 
よく「首相の求心力が低下しており・・・」などと使われるように、「求心力」は組織を束ね、人を引き付けるリーダーの力を意味する文脈で使われます。

 

では会社組織の求心力とはどういうものでしょうか?
  

 
分かりやすいのは社長の求心力です。
 

  • 社長を尊敬している
     
  • 社長に若い時からお世話になったので恩返ししたい
     
  • 社員のことをいつも考えてくれる社長のために頑張りたい

 
これらの気持ちを社員が抱き、社業に邁進している状態です。

このような社員達であれば簡単に退職などしません。会社が危機に陥っても逃げることなく踏ん張ってくれるでしょう。
 

しかし会社の求心力は社長の力だけでしょうか?

実はそれ以外の求心力があります。
 

社会貢献性の高い事業そのものへの思いであったり、好きな商品であったり、経営理念への共感、成長できる環境、家族のような仲間、尊敬できる上司や同僚、人間関係、高い報酬などがあります。
 

創業間もない企業は社長個人が求心力になっていることが多いですが、会社の成長とともに社長と社員の距離が遠くなる中で、別の求心力が必要になってきます

 

求心力の実例

 

ミッション、ビジョン

 
会社が目指すものや価値観そのものが求心力になり得ます。
幾つか事例でお伝えします。

 

リクルート

 
大学発ベンチャーから世界的な企業に成長を遂げたリクルート社の旧社訓は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」です。
 

現在は公式の社訓になっていませんが、今でもリクルートグループの方々は創業者のつくったこの言葉を意識している人が多くおります。
 

  • 何のために仕事をするか?
  • 仕事は自分にとってどういうものであるべきか?
     

これらを心の奥底から問いかける言葉であり、これを励みにチャレンジした精鋭達が今のリクルートの礎を築いたことは間違いないでしょう。

 

京セラ

 
稲盛和夫氏が築いた京セラの経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」
 

会社で働く社員にとって会社がどんな存在であり、会社は世の中に対してどう向き合っていくかを定めています。
 

創業からある時期までは稲盛氏個人のリーダーシップが求心力になっていたはずですが、会社の成長とともに理念自体を求心力におきかえ、皆が理念の実現に向かって邁進する文化を築いてきました。

その企業文化を築き維持するために、京セラフィロソフィを定めて理念教育にエネルギーを注ぎ、社員は毎年「京セラフィロソフィ論文」を提出しています。

 

サイバーエージェント

 
インターネット業界には多くの成長企業がありますが、中でもダントツの成長を持続的に遂げているサイバーエージェントのビジョンは「21世紀を代表する会社を創る」です。

このビジョンの下に優秀な人材が集結し、次々新しいビジネスを生み出しています。

 

ファーストリテイリング

 
ユニクロを経営するファーストリテイリング社のステートメントは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」です。
 

世界的なアパレル企業に成長した背景には、単に業績拡大を目指したのではなく、服を通じて世界を変えていくという思いが、国内はもちろん世界の従業員の求心力になっているのだと思います。

 

企業文化

 
企業文化そのものが求心力になっている会社があります。

 

Zappos

 
米国で靴のEコマースで急成長し、Amazon.comに買収されたザッポスという会社では、10のコアバリューを定め、この考えに賛同する人のみが社員になり、コアバリューに基づいてすべての運営がなされています。

 

Zapposのコアバリュー
 

  1. サービスを通して、WOW!(驚嘆)を届けよ
  2. 変化を受け入れ、その原動力となれ
  3. 楽しさと、ちょっと変わったこと、をクリエイトせよ
  4. 間違いを恐れず、創造的で、オープン・マインドであれ
  5. 成長と学びを追求せよ
  6. コミュニケーションを通して、オープンで正直な人間関係を構築せよ
  7. チーム・家族精神を育てよ
  8. 限りあるところからより大きな成果を生み出せ
  9. 情熱と強い意志をもて
  10. 謙虚であれ

(出典:「ザッポスの奇跡(廣済堂出版)」)

 

例えば1のバリューを体現するルールとして、コンタクトセンターのスタッフは顧客からの問い合せに対してWOW!を実現するためのすべての権限が与えられています。
  

画像引用: Zappos公式サイト(会社案内)https://www.zappos.com/about

 
自社に在庫が無ければ競合他社のサイトを紹介したり、返品は何度でもOK。顧客が困っていたら、代わりに購入して届けたり、顧客に直筆の手紙を書いたり、ありとあらゆる工夫をして、顧客と感情でつながる長期的関係を構築していきます。
 

一般的な顧客の苦情対応に追われるコールセンターとは全く別物の仕事と言えます。

企業文化に合う社員を採用するため、面接は多いと20回。
企業文化に合うか納得がいくまで面接します。
 

入社後の研修期間中(4週間)に企業文化と合わないと思った人は「採用辞退ボーナス(2,000ドル)」を受け取って辞めることができます。

オフィスの席は社員が思いのままに飾り付けし、ど派手な感じ。飼い犬を連れてくるのも自由です。
 

このように企業文化のエッジをとがらせ、それに合う社員を採用し、社員がとことん自分らしく働ける環境づくりをしているので、「自分にとって最高の職場はここ!」と思える社員の集団になっており、企業文化そのものが求心力になっています。

 

職場の関係性

 
弊社のお客様のある会社(IT企業)は社員同士の関係性がとてもよく、オフィスにいくと常に和やかで心地よい雰囲気に満ちています。
 

社長や役員の性格や関係性がそのまま企業文化になったような感じで、意図的に何か仕掛けを行なっているわけでもありませんが、よくコミュニケーションし、困っている人がいたら皆で助けるチームワークがあります。
 

社内イベントを開催すると非常に参加率が高く、コロナ前は帰りがけに色んなグループで飲みに出かけていました。

 

社員は皆「この会社の人が好き。会社に来て皆と交流するのが楽しみ」と言います。

離職率は低く、転職した社員でも、転職先の職場の人間関係がギスギスしているのが嫌で、出戻りする人も多くいます。
 

この会社なら心地よく働けると皆が思っており、関係性の良さそのものが会社の求心力になっていると言えます。

 

働きやすい職場環境

 
働き方改革以降、残業撲滅や柔軟な働き方に力を入れる会社が増えてきました。
 

各社色々な工夫をしていますが、働きやすい環境づくりは一朝一夕にできるものではなく、生産性を向上させながら、社員同士の協力関係も作りつつ、浸透していくものです。
 

週休3日制度、時短勤務、有給取得のしやすさ、育休の充実、勤務時間の柔軟性、リモートワーク…これらを取り入れながら社員同士の不満がたまらない環境をつくれたら、それ自体が求心力になり得ます。
 

「自分に働きやすい環境を用意してくれる会社だから、会社のために仕事で貢献したい、ここで長く働きたい」と思えるのです。

 

成長環境

 
有名シェフのいるフレンチレストラン、有名なお寿司屋さん、有名な建築家の建築事務所などに共通することがあります。
 

  • 就職人気が高い(料理専門学校出身の学生や、建築学科出身の大学生などから)
  • 人気があるので非常に狭き門
  • 給料は高くない
  • 下働きからのスタートで、非常に忙しく休みも少ない
  • 懇切丁寧な研修制度などなく、徒弟性

 

 

職場としてはやや前近代的でブラックと言われかねない環境ですが、それでも就職人気が高い理由はたった1つ。成長です。

 
「ここで修行して学べば高いスキルが身について将来の可能性が広がる」と信じ、あえて厳しい環境であってもここに就職して力をつけようと思うのです。
 

「有名なシェフの●●さんのために働きたい」ではなく、「●●さんの下で働けば成長できる」という理由で仕事に没頭するので、正に「成長できる環境」が求心力になっていると言えます。
 

企業に置き換えた場合、よく同じ業界の中でも「A社は給料は安いけど、すごく成長できる会社だよ」みたいな話があると思います。

仕事の力がつく職場環境、成長できる職場環境も、社員がそこで頑張る大きな求心力になり得ます。

 

高い報酬(ただし、注意が必要)

 
高い報酬を魅力に優秀な人材を採用し、社員のモチベーションを高めている会社もあります。

典型的な例は保険会社の営業職です。

顧客の保険加入の度に高いインセンティブがつくので、社員はお互いしのぎを削って高い報酬を得るべく頑張ります。
 

ところがよくニュースで見るように、保険会社では昔から不正事件が後を絶ちません。

業界トップクラスの大手企業ですらよく問題が発生し、その度に改善策が講じられますが、決してなくなりません。
 

モチベーションを報酬の力で引っ張り過ぎると、勘違いする人が出てくるからです。

お客様を騙してでも、不正を犯してでも、自分の報酬を上げようとする人が出てきます。

その仕事の目的がお客様のためであることを忘れ、自分のお金のための仕事になってしまうのです。
 

 
別の業界でもインセンティブが度を超えて高い会社を見たことがありますが、会社全体を良くしようというマインドの社員はほとんどおらず、皆が自分の報酬のためだけに働いている雰囲気でした。

仮にインセンティブ制度を変更してもらえる金額を減らしたら、あっという間に社員が離散してしまう危うさもありました。
 

優秀な人材に高い報酬を払うのは当然ですが、社員が「この会社で頑張ろう」と思う求心力の源泉をお金だけにおいてしまうと、組織はおかしな方向にいってしまいます。

 

まとめ

社員の定着率

 
社員が「この会社で長く働こう!」 「日々の仕事に本気で取り組もう」という気持ちになるためには何らかの理由が必要です。
 

“今ここで頑張る理由”とも言えます。
 

数ある理由の中でも、とりわけ社員の気持ちを強く結集できる求心力は何だと思いますか?

社長の魅力やリーダーシップは創業初期は主たる求心力になりますが、会社の成長とともに特定個人に依存しない求心力を作り上げなければなりません。
 

ビジョン・ミッション、企業文化、職場の関係性、働きやすい職場環境、成長環境などは、いずれも強力な求心力になり得ます。

最初から多くの求心力を求める必要はありません。どれか1つでもいいでしょう。
 

ぜひ他社にない「自社ならではの求心力、誇れる求心力」をつくっていきましょう。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、戦略人事アドバイザー、幹部/管理職育成、組織開発、人事制度づくりなどを行っています。

筆者プロフィール詳細